2020年1月分景気動向指数(速報値)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

先行CI前月差▲0.7と2ヵ月ぶり下降、一致CI前月差+0.3と4ヵ月ぶり上昇

 

一致CIの3ヵ月後方移動平均の前月差▲0.46で4ヵ月連続の下降

 

1月分の機械的な基調判断は6ヵ月連続「悪化を示している」

 

 

 

●1月分の景気動向指数・速報値では、先行CIが前月差▲0.7ポイント下降した。2ヵ月ぶりの下降になった。速報値からデータが利用可能な9系列で、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、消費者態度指数、マネーストックの4系列が前月差プラス寄与に、新規求人数、新設住宅着工床面積、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列が前月差マイナス寄与になった。

 

●1月分の一致CIは前月差+0.3の上昇になった。4ヵ月ぶりの上昇である。速報値からデータが利用可能な7系列で、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業と生産・消費関連中心に5系列が前月差プラス寄与になったが、投資財出荷指数と有効求人倍率の2系列が前月差マイナス寄与になった。

 

●1月分の一致CIの指数水準は2015年=100として94.7となった。なお、直近のピークは17年12月分の105.4で、足元の水準はそれに比べると10.7ポイント低い。19年で最も高かった5月分の102.4に比べると7.7ポイント低い水準だ。

 

●一致CIの3ヵ月後方移動平均は前月差▲0.46ポイントと、4ヵ月連続の下降になった。7ヵ月後方移動平均は前月差▲0.66ポイント下降し、15ヵ月連続の下降になった。

 

●最近の、一致CIを使った景気の基調判断をみると、5月分・6月分・7月分と「下げ止まり」の判断だったが、8月分で「悪化」に下方修正された。9月分・10月分・11月分・12月分に続き、1月分も6ヵ月連続して、基調判断は「悪化」継続になった。前月差は上昇したものの、3ヵ月後方移動平均が前月差下降である。

 

●なお、1月分までが不変で、2月分以降一致CIが毎月前月差+0.5ずつ上昇すると、20年2月分で3ヵ月後方移動平均の前月差が0.00とマイナスでなくなる。そして4月分で3ヵ月後方移動平均の前月差の3ヵ月累計が前月差+0.93と1標準偏差分の0.90を上回る。かつ当月の前月差の符号がプラスであるため、基調判断は「下げ止まり」に転じることになる。しかし、こうした回復シナリオは新型コロナウイルス感染拡大の影響で崩れ去る可能性が大きそうだ。

 

●1月分の先行DIは33.3%と景気判断の分岐点の50%を2ヵ月ぶりに下回った。速報値からデータが利用可能な9系列中、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数の3系列がプラス符号に、最終需要財在庫率指数、鉱工業生産財在庫率指数、新規求人数、新設住宅着工床面積、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列がマイナス符号になった。

 

●一方、1月分の一致DIは57.1%と景気判断の分岐点の50%を4ヵ月ぶりに上回った。速報値からデータが利用可能な生産指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の4系列がプラス符号に、鉱工業生産財出荷指数、投資財出荷指数、有効求人倍率の3系列がマイナス符号になった。

 

 

●3月24日発表予定の1月分景気動向指数・改訂値では、先行CIに新たに実質機械受注(製造業)が加わる。機械受注の発表日は3月16日である。また在庫率関連データが3月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●1月分景気動向指数・改訂値では、一致CIは所定外労働時間指数が新たに加わる。1月分速報値は93.6と12月分の91.4から上昇した。1月の確報値の発表日は4月7日なので、景気動向指数・改訂値では速報値が使われよう。前月差寄与度は+0.46程度で上方修正要因になろう。一方、DIではマイナス符号として加わることになろう。他の系列の符号が変わらなければ、一致DIは50.0%で速報値の57.1%から下方修正になってしまう。生産指数関連データなどが3月17日発表の確報値段階でどのようにリバイスされるかが注目される。

 

●2月分の先行CIの採用系列で速報値からデータが利用可能な9系列中、現時点で数値が判明しているのは、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列である。中小企業売上げ見通しDI1系列が前月差僅かなプラス寄与に、消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数の3系列が前月差マイナス寄与になることが判明している。

 

●また、2月分の先行DIでは、数値が判明している消費者態度指数、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの4系列で全系列がマイナス符号になることが判明している。2月分速報値段階の先行DIは0.0%以上55.6%以下になることが確定している。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年1月分景気動向指数(速報値)』を参照)。

 

2020年3月6日

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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