株価が上がりやすい「割安株」の見つけ方
割安な株を探すとき、どうやって割安度を測るでしょうか? ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析を使う方もいれば、事業内容を見て判断する方もいるでしょう。どちらにせよ気を付けなければならないのは、万年、割安の銘柄を買ってしまうことです。
後で紹介するPERやPBR、配当などから判断して、非常に安くなっている銘柄は散見されます。しかし良く調べてみると、その銘柄は数年間、割安なまま放置され、出来高も減少していることがあります。このような銘柄は事業の転換や経営者の交代など、会社組織の抜本的変化がないと株価も上がらないことが多いです。それどころか、業績が悪くなり最後には上場廃止・倒産という場合もあります。
あなたの判断基準で割安度を測ることは良いのですが、株式を購入した後、株価上昇や配当などで、あなたの資産が増えなければ意味がありません。優良株が一時的に安くなっているところで購入したいと考えるなら、その会社の成長性・事業安定性・配当が重要な判断材料になることを覚えておいてください。
「株の割安度」を測る3つの目安
ここでは株の割安度を測る3つの目安を紹介します。少しでも株の勉強をされた方なら、知っているのモノばかりです。この値の読み取り方によって、会社のどのような状態を表し、どんな時間軸で株価の上昇を見込むべきかの、参考になるように解説します。
・PER(株価収益率)
株価の割安度を測る指標として、最も有名なものの一つです。算出方法は、一株当たりの利益で株価を割ります。値の目安としては、大型の安定株で12~20程度になります。株の割安度判断としては、値が低いほど割安といえます。無料の株式関連サイトで確認できるので、自分で計算する必要もありません。
PERの判断における、注意点を2つ挙げます。一つ目は、値の目安が業種ごとに異なるということです。例えば2019年7月の東証一部で、業種別PERが最も高いのはパルプ・紙で、30以上です。一方、最もPERが低いのは石油・石炭製品で7程度です。この2業種をとっただけでも先ほどの目安(12~20)から外れていることがわかります。
2つ目は、規模別でも大きく異なるということです。東証一部の平均PERは20.7ですが、マザーズの平均PERは113です。これだけ大きな違いがあるので、安易にPERが一桁だから買うというのは、避けるべきでしょう。
ここで最も大事なのは、投資の時間軸に対するPERの判断です。PERは利益を基準に大きく変化するので、四半期決算の業績進捗で株価に大きな影響を与えます。購入した銘柄の決算発表期間が、投資継続判断の期間になると考えておかないと、業績の進捗が悪いにもかかわらず、株を持ち続けることになってしまいます。
・PBR(株価純資産倍率)
PBRは、株価が一株当たり純資産の何倍まで買われているかを見る指標です。企業の持つ純資産を尺度としているので、PBRが1未満になると、その会社が保有しているために、その資産(土地や設備など)の価値が、下がってしまうということになります。大きな枠でいえば、その会社の株式を買い占めると、その価格よりも高い資産を手に入れられることになります。そのため、企業の解散価値を表す指標として語られることも多いです。
純資産は、毎年の純利益のうち、内部留保したものが積みあがった結果です。そのため、業績が悪化して純利益が減っても純資産は積み上がります。よって、株価が一定でもPBRは下がっていくのです。この点を踏まえて、株式購入の際は1年以上の保有による、キャピタルゲインやインカムゲインを見込むときの判断基準にするとよいでしょう。
・ROE(自己資本利益率)
ROEは、純資産(自己資本)に対してどれだけの純利益を生み出したかを測る指標です。計算方法は、当期純利益を自己資本で割り、パーセンテージで表示します。日本では、ROEが9%以上なら優良企業とみなされることが多いです。
この指標の特徴は、算出に株価が関わっていないということです。そのため、純粋に投入した自己資本から生み出した純利益を評価できるので、その企業の稼ぐ力を評価できます。さらに、自己資本は毎年の利益の積み上げで増加します。もし、毎年の利益が一定で自己資本だけが増加するとROEは低下します。投資額に対して利益が小さくなっていくことを表すので、その会社の事業が利益を生み出しにくくなっているといえます。ROEの低下を避けるため、利益の使い方を工夫し、配当を増やしたり、自社株買いをすることもあります。この場合、株主に利益が還元されるので、投資価値が上がっていることになります。
株式購入の判断に使う場合、過去5年分のROEを確認し、安定しているようなら株価が下げたところで買えば、比較的短期で上昇を期待できるでしょう。