コロンボ証券取引所の上場について、スリランカの証券取引委員会(SEC)は新たな基準を設けました。証券市場の流動性を高めるというSECの目指す方向は正しくとも、そのための手段が誤っていると考えられる理由についてお伝えします。

目的は「市場の健全化」と「社会への利益還元」

スリランカの証券取引委員会は、発行済み株式の一定数が、多くの一般株主に保有されることを、上場継続の条件に打ち出した。浮動株比率を上げようとするこの新たな規制の導入について、取引委員会は2つの目的を掲げている。

 

ひとつは、より良い価格発見機能を伴った、流動性と透明性の高い市場を創出すること。もうひとつは、上場企業によって生み出された利益を市民へ還元する機会の提供である。この2つが望ましいことであるのは明らかだ。しかし、証券取引委員会は不明瞭なロジックで持って、一方的にルールを押し付けようとしている。

証券取引委員会が誤っている3つポイント

なぜ証券取引委員会の持ち出す論理が誤っているのか、以下3つの点から説明をする。

 

第一に、企業が上場/上場廃止をするのは必要に応じてのことである。企業は資本を調達するために、株式公開するのであって、スリランカの人々に利益を還元したいという利他的な理由からではない。そして、新たな資本金が必要でなくなった際には、上場を廃止するのだ。証券取引委員会のロジックは、証券市場の役割と、企業が株式を公開する動機を貶めるものだ。

 

第二に、証券取引委員会は民間企業の資本配分に関して、介入するべきではない。企業が証券市場と向き合うコンディションは刻々と変わるものである。経営陣は企業のビジネス、そして長期的な成長戦略について、株主の期待に応える責任がある。見返りを期待する株主を失望させてしまえば、その株は投資家から見向きもされなくなり、結果、企業は資本調達コストを高めてしまう。株価が過小に評価されていると経営陣が考えれば、株主利益を最大限に高めるなどのテコ入れ策が自由に行えるべきであり、今回導入された浮動株比率についての条項に妨げられるべきではない。

 

第三に、投資家がどの銘柄を、どれだけ保有するかについて自由に決定することは、いかなる場合でも妨げるべきではない。株主の数を減少させ、市場の流動性を低下させるような他の投資家たちの動きについて、80%超の株を保有している支配株主に、その責任を負わせることは理不尽である。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年2月に掲載した記事「THE SEC’S ILL–THOUGHT-OUT LIQUIDITY IMPROVEMENT PLAN HAS BACKFIRED」を、翻訳・編集したものです。

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