海外資本を獲得するため「流動性」に固執
証券市場における流動性は、海外資本の争奪戦に勝つための要である。そして世界の市場に打って出ようとする民間企業にとっては、海外からの資本を得ることが戦略上、重要になっている。企業が海外資本を得るためには、外貨建てで社債を発行するか、あるいはより一般的には株式を証券市場に上場する。
スリランカの証券取引所、証券取引委員会それに証券会社は、とりわけ海外から資本を呼び込むためには、市場の流動性を高めなくてはいけないという脅迫観念にかられている。潤沢な資本は、コストを削減して生産性を高め、新たな投資機会や雇用を創出し、さらなる経済成長を促す。
しかし、証券市場の活性化を焦るあまりに、強引な手法をとる当局の不明瞭なロジックが、金融システムに深刻なダメージを与えている。
新しい上場基準の導入で、上場廃止が増加
2014年、スリランカの証券取引委員会は、コロンボ証券取引所に上場している企業に対し、継続して上場するための新基準を導入した。それによって上場企業は、2015年の終わりまでに、発行株式のうち最低15%を、少なくとも500人以上の一般株主が保有するように求められた。さらに2016年終わりまでには、20%以上を750人以上の一般株主が保有することが求められる。
ここで問題となってくるのが、「一般株主」の定義である。証券取引委員会によれば、上場企業の親会社や経営陣とその家族は一般株主には含まれない。またオープン・エンド型の投資信託か、同族企業以外の資産管理会社を除いて、株式の5%以上を保有する団体も、一般株主の定義には含まれないとされる。
期限までに、この基準を満たせなかった企業は、期限の延期が認められる可能性はある。それでも尚、基準に達しなかった場合、当該銘柄はおそらくデフォルト・ボードへと移行され、取引は停止されて、上場廃止に追い込まれるだろう。証券取引委員会はこの2014年の上場基準を満たさない企業に、上場廃止を強いることはないが、企業からすれば他に選択はないのである。これまでにFinlays ColomboとMetropolitan Resource Holdingsの2社は、上場廃止のプロセスを開始した。また、その他の多くの大企業が上場廃止の意向を表明している。
市場には流動性が求められる一方、証券取引委員会が曖昧なロジックに基づいて定めた、一般株主の最低人数に関するこの規制は、企業の上場廃止というダメージがこれ以上拡大する前に、完全に撤廃されるべきである。
次回は、この新たな上場基準が導入されたその背景についてご紹介します。