米国大統領選挙、まずは3月3日のスーパーチューズデーに注目

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米国は本格的に大統領選挙の季節に突入した。民主党の候補者選びでは、バーニー・サンダース上院議員、ピート・ブティジェッジ前サウスベンド市長が抜け出しつつある。過去の例から見れば、同党の勝ちパターンは、中道系の若手、且つ北東大統領部以外の出身者が候補者となる場合だ。民主党の候補が決まり、本選が接戦になれば、トランプ大統領は対日圧力を強めるだろう。

民主党の候補者選出:トランプ大統領に勝てる可能性重視か!?

米国は、アイオワ州を皮切りに共和、民主両党の候補者選びが始まり、本格的に大統領選挙へ突入した。共和党では、現職のドナルド・トランプ大統領以外に有力な候補者は見当たらない。一方、民主党の場合、過去の大統領選挙における勝利の鍵は、1)年齢、2)政治的根拠地、そして3)政治的立場…の3つが握っていた。

 

まず年齢だが、図表は戦後の大統領の初当選時の年齢を示している。赤の共和党の場合、最も若かったのはリチャード・ニクソンの56歳、平均年齢は62歳だ。緑の棒で示した民主党は、J・F・ケネディ43歳、ジミー・カーター52歳、ビル・クリントン46歳、バラク・オバマ47歳であり、5人の平均年齢は共和党より15歳若い47歳である。つまり、米国の有権者は、共和党候補に「経験と安定」、そして民主党候補には「若さと変化」を求めているのだろう。

 

注:副大統領から昇格したジョンソン、フォード大統領を除く 出所:各種報道などよりピクテ投信投資顧問作成
 
[図表]戦後の米国大統領の初当選時年齢 注:副大統領から昇格したジョンソン、フォード大統領を除く
出所:各種報道などよりピクテ投信投資顧問作成

 

また、各州の選挙人を奪い合う米国大統領選挙では、伝統的に相手が強い州を崩せる候補が有利になる。民主党だと共和党が地盤とする南部や中西部の出身者、共和党ではカリフォルニア州だ。さらに、民主党の場合、本選において無党派層の支持を得る上で、政策面では穏健な中道路線の候補が強さを発揮してきた。

 

アイオワ州で暫定首位に立ち注目を集めるピート・ブティジェッジ氏は38歳、伝統的に共和党の強いインディアナ州サウスベンドの市長を務め、政策的には中道だ。また、ニューハンプシャー州の予備選で3位となったエイミー・クロブチャー上院議員も、民主党の勝ちパターンに近い候補と言える。

 

他方、最有力と見られたジョー・バイデン前副大統領は、政策的には中道だが、77歳の年齢、そして出身地が北東部のペンシルバニア州であり、勝ちパターンのうち2つを満たさない。また、バーニー・サンダース、エリザベス・ウォレン両上院議員は、3つのいずれにも合致しない候補者だ。ブティジェッジ氏、クロブチャー氏が急浮上したのは、民主党員が本選でトランプ大統領に勝つことを意識したからではないか。

 

今後、民主党は22日にネバダ州で党員集会、29日にサウスカロライナ州で予備選を行うが、当面の焦点は3月3日のスーパー・チューズディだろう。従来、6月上旬に予備選を行っていたカリフォルニア州がこの日に移行、全代誓約議員の3分の1が決まる。ここで民主党の候補者は2〜3名に絞られる見込みだ。

トランプ大統領の再選率:過去の例では70%だが…

過去10回の現職が立候補した米国大統領選挙は、現職の再選が7回、新人の当選が3回だった。再選率70であり、11月3日に行われる本選は、現段階において基本的にトランプ大統領が有利と考えられる。

 

ただし、この予備選を通じて、民主党が若くて新鮮なスターを育てるならば、大統領選挙の結果を予測することはより難しくなるだろう。まずは3月3日のスーパーチューズデーが重要であることは言うまでもない。

 

民主党の候補が決まり、混戦になることが予想されると、トランプ大統領の政策は、さらに選挙を意識したものになるだろう。その場合、2016年の大統領選挙における公約が重視され、在日米軍駐留経費の負担問題や通商・為替政策などの面で、日本への圧力が強まるシナリオが考えられる。選挙の動向により、この点には十分に注意が必要だ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国大統領選挙、まずは3月3日のスーパーチューズデーに注目』を参照)。

 

(2020年2月14日)

 

 

市川 眞一

ピクテ投信投資顧問株式会社

シニア・フェロー

 

ピクテ投信投資顧問株式会社 シニア・フェロー

日系証券の系列投信会社でファンドマネージャーなどを経て、1994年以降、フランス系、スイス系2つの証券にてストラテジスト。この間、内閣官房構造改革特区評価委員、規制・制度改革推進委員会委員、行政刷新会議事業仕分け評価者など公職を多数歴任。
著書に『政策論争のデタラメ』、『中国のジレンマ 日米のリスク』(いずれも新潮社)、『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』(日本経済新聞出版社)など。
2011年6月よりテレビ東京『ワールドビジネスサテライト(WBS)』レギュラー・コメンテーター。

著者紹介

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1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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