前回は、税理士に相続税の申告を依頼しても、相続税を納めすぎてしまうケースについてお伝えしました。今回はその中でも、高額な相続税還付金を受けた事例をご紹介いたします。 ※本連載は、2014年1月に刊行された不動産鑑定士・藤宮浩氏、税理士・髙原誠氏の共著、『あなたの相続税は戻ってきます』(現代書林)の中から一部を抜粋し、土地の評価額を見直して相続税の還付を受けるポイントを紹介します。

調査官は重加算税をかけたがる
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もともと支払った相続税額は1億7500万円

筆者のグループが平成24年に扱った相続税還付手続きの案件の中で、最も還付額が大きかったケースを紹介しましょう。

 

田崎正平さん(65歳・仮名)は、ある地方都市の大地主です。3年ほど前にお父さまを亡くされ、たくさんの土地を相続しました。


顧問税理士に相続税申告書の作成を依頼すると、相続税額は1億7500万円にものぼったそうです。いかに資産家でも、そんな大金を現金ですぐに用意できるわけはありません。田崎さんは金融機関から借入を起こし、なんとか相続税を納めました。


その後、たまたま田崎さんのお知り合いの保険代理店を営むAさんが、当グループのセミナーを受講し、田崎さんにこう言って勧められたそうです。「納めた相続税額が大きく、またその資産の大部分が土地である場合は、多額の相続税が還付される可能性があるそうです。一度、見てもらったらいかがでしょう」


田崎さんは「そんなうまい話があるわけない」と乗り気ではありませんでしたが、熱心に勧められるので、「話だけでも聞いてみようか」ということになったのです。

 

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まったく本気にしていない田崎さんだったが・・・

私たちがはじめてご自宅までご説明にうかがったときも、田崎さんはまったく本気にしていない様子でした。つまらない冗談でも聞いているかのように「ふーん」と相槌を打ち、苦笑いを浮かべておられます。


申告書を拝見すると、「広大地評価」が明らかに可能なのに、適用されていない土地がいくつも見つかりました。もしかしたら1億円規模の還付になるかもしれない・・・と考えられましたが、この段階では「少なくとも3000万、4000万円くらいは戻る可能性があります」と申し上げておきました。


私たちの説明を聞き終わった田崎さんは、それでも一向に信じてくれる様子がありません。最後には、こう言って大笑いされました。


「もしも税金がまったく戻らなかったら、そちらにお金を払わなくていい、つまり完全成功報酬ということだね。それなら、うん、やってみたらいいよ」


「ただし、うちはハナから国税局出身の権威ある税理士の先生に申告をお願いしたんだから。土地評価にしてもガチガチにやってもらってるからね。悪いけど、『くたびれ儲け』になるよ。むしろお宅らがやった方が税額が上がっちゃうんじゃないの? わっはっは」

「広大地評価」が適用されているか?

相続税申告書をお預かりして事務所に戻り検討してみると、やはり「広大地評価」がまったく無視されています。

 

「広大地評価」という評価方式が適用できるかどうかで、土地の評価額にはとんでもなく大きな差が生じます。適用しなければ土地の価額が高くなり、それだけたくさんの相続税を納めなければならないのです。

 

私たちは「広大地評価」のほかにも減額できる要因を細かくチェックし、田崎さんが相続した財産の総額を再計算しました。最初の申告書では相続税額が約1億7500万円でしたが、私たちの計算では約4700万円となり、なんと1億3000万円近くも相続税額が下がったのです。

 

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私たちは還付手続きのための書類を作成し、管轄税務署に提出しました。何度か税務署担当者とのやりとりがありましたが、最終的には私たちの評価が認められ、間もなく田崎さんの指定した銀行の口座には約1億3000万円が、管轄税務署から相続税の還付金として振り込まれました。

 

 

驚いたのは田崎さんです。国税局OBの、当該税務署にはいちばん顔が利く偉い税理士だったはずなのに・・・というわけです。


ここまで高額になるケースは珍しいとしても、このような例は非常によくあることなのです。どの相続人も信頼する税理士に依頼するわけですが、相続した財産の中に土地が多く、ある程度の額の相続税を納めた方の場合には、かなりの相続税が戻ってきています。


なぜそんなことが起こるのか、次回からじっくり解説していきたいと思います。

 

 

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