不動産の知識が少ない税理士に相続税の申告を任せ、結果として税金を多く納めすぎているケースは非常に多くあります。 ※本連載は、2014年1月に刊行された不動産鑑定士・藤宮浩氏、税理士・髙原誠氏の共著、『あなたの相続税は戻ってきます』(現代書林)の中から一部を抜粋し、土地の評価額を見直して相続税の還付を受けるポイントを紹介します。

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ときには億単位で相続税が「還付」されることも

一度納めた相続税でも、5年以内であれば戻ってくる可能性があります。資産家の方や不動産を複数お持ちの方にとって相続税は高額になりやすいため、戻ってくる額も10万円、20万円ではありません。

 

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代々農家の方で、ご自身が使っている軽トラックが古くなったから「もし相続税が戻ってきたら買い換えようかな」くらいの軽い気持ちで依頼された方がいらっしゃいました。

 

ところが土地を正しく評価してみると大幅に相続税額が下がり、3800万円もの相続税が戻ってきたのです。元々戻ってくるとは思っていなかったお金ですからご家族も大喜びで、軽トラックどころか、娘さんのためのマンションを購入されたそうです。

 

娘さんにマンションを購入してあげることは、次の相続税対策にもなります。また、還付金で生命保険に加入し、同じく将来の相続対策に利用するという方も少なくありません。想定外の特別ボーナスのようでありながら、税金のかからない還付金ですから、さらに大きなメリットに転換することもできるわけです。

 

筆者の会社の実績から平均して考えると、還付金は納めた相続税額の2割程度です。多くは数百万円から数千万円、ときには億単位で還付されることもあります。

 

「うちは、親の命日から5年ぎりぎりだぞ」という方は気を揉まれるかもしれませんが、還付の期限をもう少し正確に表現すると、相続税の申告期限から5年以内です。相続税は、相続が発生してから10カ月以内に申告しなければなりませんので、実際には亡くなられた日の翌日から5年10カ月以内なら、相続税の還付を受けられる可能性があります。

 

「でも、それは例外的なケースでしょう。うちはきちんと税理士の先生に依頼して申告したから、税金を払いすぎているわけないよ」

 

みなさん、そうおっしゃいます。ところが、相続税還付で当グループにご相談に見えた方のおよそ7割の方に相続税が戻っているのです。当グループの相続税の見直し業務は平成5年にスタートし、これまで20年以上にわたって行ってきました。

 

その間、見直しを行った相続税案件は2500件を超え、平成27年だけでも300件以上にものぼっています。そのほとんどが、税理士に依頼して相続税申告書を作成し、その相続税評価額に基づいて納税を行っていたにもかかわらずです。

 

依頼した相続人の方はもちろん何の疑問もなくその税額を納めましたが、あらためて土地評価額を見直してみたら税額は大幅に下がり、還付となったのです。

税理士の土地評価額が高すぎる理由とは?

相続税の申告は、すべて税理士にお任せ、「丸投げ」という方が多いと思います。税理士は「税金のエキスパート」であり、相続税評価額はどの税理士が評価しても大差はないと信じているからでしょう。

 

しかし、ここに盲点があります。じつは不動産、なかでも土地については、申告業務をした税理士の評価額では高すぎるケースがほとんどなのです。申告された土地の評価をわれわれ不動産鑑定士があらためてやり直してみると、さまざまな「減額すべきポイント」が発見されます。

 

「縄延び」や「縄縮み」(公簿に記されている面積と実際の面積が違うこと)は珍しいことではないので、場合によっては土地家屋調査士に依頼して、現況測量をする必要もあります。役所調査等によっても、その土地の評価額を安くできる、新たな減額要因を発見できる場合がたくさんあります。しかし、相続税申告書を作成するとき、こうした徹底的な調査を行う税理士はまれなのです。このような落とし穴は、このほかにも多々あります。

 

土地評価は税理士の専門分野ではありませんから、仕方ない面もあるでしょう。そこを土地評価の専門家である不動産鑑定士の目で徹底的に見直し、納税者に最も有利な評価額を算出し、税務署に提出します。

 

税務署は、それが正しい評価であれば、申告内容の変更を認め、納めすぎていた税金を納税者に返してくれるのです。

 

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土地の価値(価額)は一概に路線価×地積では決められません。一つ一つの土地にあるさまざまな条件を精査して、一体いくらが適正であるのかが決められます。そこに大きな誤差が生じてしまうことは、ある面では仕方ないことともいえるでしょう。

 

ですから、相続財産の額が大きく、土地の占める割合が大きいケースにおいては、還付の可能性がより高まるというわけです。もちろん土地評価のルールに従って、法的に正しい土地評価をするわけですから、税務署も積極的に検討してくれます。間違っても、税務署ににらまれるようなことはありません。

 

 

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