前回は、異なる容積率にまたがった土地の評価についてお伝えしました。今回は、評価額に大きな影響を与える広大地評価について見ていきます。 ※本連載は、2014年1月に刊行された不動産鑑定士・藤宮浩氏、税理士・髙原誠氏の共著、『あなたの相続税は戻ってきます』(現代書林)の中から一部を抜粋し、土地の評価額を見直して相続税の還付を受けるポイントを紹介します。

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評価額に大きな差がつく「広大地評価」適用の有無

「広大地評価」に該当するかしないか、その評価方法を用いるかどうかで、土地の評価額には非常に大きな差が出ます。「広大地評価」が適用されるかどうかによって、土地の評価額が数千万円も変わることは珍しくありません。それくらい重要なポイントなのです。

 

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「広大地」と認められた土地(広大地評価が適用された土地)は、通常の4割から6割ほど下がるわけですから、「広大地評価」が可能かどうかで相続税の納税額も大幅に違ってきます。相続税申告書に「これはこういう理由で広大地と判断されます」という評価意見書等が添付してあれば、より説得力は大きくなります。

 

「広大地評価」については、その解釈も含めて、複雑でむずかしい論点・争点がたくさんありますが、それを細かく述べていくだけで一冊の本になってしまうほどなので、ここでは重要なポイントだけに触れることにしましょう。

 

「広大地」とは、一般的な個人住宅の敷地としては大きすぎる土地のことです。

 

広大地として認められる面積は、三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)では500㎡以上、それ以外では1000㎡と規定されています。

 

「広大地評価」の適用を受けるには細かい規定がいろいろとありますが、大まかに説明すると、「普通住宅地区等にあり、地域の標準的な宅地に比べて著しく地積が広大な土地」で、マンション適地ではないことが条件になります。

 

広大地は、なぜ評価額が下がるのでしょうか。あまりにも大きな土地は、一般的に個人が住宅の敷地として購入することが少ないため、土地所有者は、現実的には不動産開発業者などに買ってもらうしかありません。

 

一般の市場に比べて、不動産開発業者のみを相手にすれば市場が狭くなりますから、その分、売り主である広大地の所有者は坪単価を買い叩かれてしまいます。したがって広大地に該当する土地の資産価値は、それだけ安く評価されてしかるべきだというわけです。

広大地の評価が低い理由は「潰れ地が必要だから」

広大地が安くなる理由は、業者に買い叩かれるからだけではありません。不動産開発業者は、そのような広大な土地を安く購入し、いくつかに分割して住宅を建てた後、それぞれ別個に販売します。広大な土地にいくつかの戸建開発を行おうとする場合、すべての土地面積をきれいに切り売りことができない可能性が高くなります。

 

つまり、広大な土地を分割しようとすると、どうしても道路に面していない土地ができてしまうので、建物を建てるためには建築基準法上の道路である開発道路(潰れ地)が必要になるからです。

 

造る道路が長ければ長いほど造成費はよけいにかかりますし、その道路の分は個々の住宅の敷地面積には含まれないので、売却できない無駄な土地となるのです。

 

ただし、いくら広大な土地であっても、面積が広ければ広いほどよしとされるマンション適地は広大地に該当しません。たとえば駅から歩いて5分、容積率が300%以上のマンションが適しているような土地は、面積が大きくても需要が高いからです。

 

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また、開発のときに「羊羹切り」や「敷地延長」(図表参照)が可能な土地も、分割が容易で潰れ地が生じないため、広大地として認められません。

 

[図表]分割が容易なため広大地評価が得られない土地の例

 

 

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