「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
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「世界の工場」であった中国から、企業が続々移管
2018年夏からの米中貿易摩擦の激化に伴った、米国への輸出関税負担増を逃れようと、中国(資本)系企業はもちろん、米国、日本、韓国資本のグローバル企業がサプライチェーンを見直し始めている。具体的には、中国内の生産拠点を、中国外に移管する動きが活発化している状況だ。また、新型コロナウイルスの蔓延によって、中国への製造拠点集中のリスクが、さらに浮き彫りとなってきている。
移管先候補としては、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、カンボジア等、アセアン諸国の多くが挙がっている中で、ベトナムは最も人気が高い国の一つだ。
中国に隣接する地理的優位性※1だけでなく、ベトナムの労働コスト(製造業の作業員で月額基本給$236※2)が、中国(同$493)との比較ではもちろん、タイ($446)、マレーシア($414)、インドネシア($348)と比べても低いことが理由としてあげられる。
※1 ベトナム北部の産業集積地は、中国の珠江デルタにほぼ隣接しており、もともと経済的な繋がりが強い。
※2 ジェトロ;2019 年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査
とはいえ、ベトナムのインフラが、「アジアの工場」たる中国の代替地として役割を果たせるのか、注目するところだ。
過去数年間、順調な経済発展を遂げてきたベトナムでは、産業成長や生活向上を望み、社会インフラに対する需要が高まっていた。
特需ともいえる外資グローバル企業の生産移管によって、その需要はさらに強まるため、供給不足が経済発展のボトルネックになるのではないかとの懸念も生じている。そこでインフラ整備の現状について、最も懸念される電力と港湾を中心に簡単にまとめてみた。
開発の遅れが見られる電力、整備が整いつつある港湾
<電力>
高い経済成長を続けているベトナムでは、電力需要が急速に伸びており、ここ数年は電力不足が懸念されている。ベトナム電力総公社(EVN)の2018年アニュアルレポートによると、同年の発電設備容量は4万8,573MW(輸入を含む)であった。電源構成比では水力発電(35.1%)と石炭火力(38.1%)の比率が高く、近隣諸国から若干の輸入もあることが特徴である。
同年の総発電量は21万2,900GWh(その内、水力発電が40%、石炭火力が39.5%、ガス・石油火力が19%、輸入電力が1.5%)であった。2019年1-10月期は水力発電が29%、石炭火力が48.5%、ガス・石油火力が18.6%、再生可能エネルギーが2.1%、輸入電力が1%を占めた。2019通年は、降水量が最低水準であったことが原因で、水力発電量は前年比20%以上減少すると予想されている。
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地域別の電力需要を見ると、中部と北部は当面問題ないが、南部では需給のバランスが崩れている。そのため、南部は北部・中部から受電している。なお、2021-2025年は電力不足が一層深刻化すると予想される。電源・送電網開発が計画の60-70%に留まり、送電の電力損失率も7%前後から改善されていないことが原因だ。
各電源開発プロジェクトの遅れや想定以上の需要増もあり、現状、隣国のラオスや中国から電力を輸入している。
電力不足の解消・供給の安定化に向け、2016年に政府は、第7次国家電力マスタープラン(PDP7)を改定し、2030年までに総発電量57万2,000GWh、発電設備容量12万9,500MWを計画している。改定PDP7の計画通りに電源開発が実施されれば、電力の安定供給が見込まれるが、電源開発の遅れや想定以上の需要増等による電力不足のリスクは依然として残っている。
<港湾>
ベトナム海事局によると、現在同国には45の港湾があり、2018年の取扱貨物量は5.3億トンだった。地域的には全体の62%を南部が、26%を北部が、残り12%を中部が占めている。
また同年のコンテナ取扱量は1,806万TEUで、南部が全体の70%、北部は26%を占め、中部は4%である。2018年コンテナ取扱量は輸入(+10%)、輸出(+9%)ともに伸び、国内向けの急伸(+83%)と合わせて全体で20%の伸びとなった。代表的な港としては北部のハイフォンとラックフェン、南部のホーチミン、カイメップ・チーバイ、中部のダナン等がある。
ベトナムでは以前から、経済発展とともに増大する貨物量に対応した港湾設備が不十分ではないか、といわれてきた。南北に長い海岸線があるという有利な地形である反面、大型貨物船が接岸できる大深水港のないことが貿易上の弱点だった。
しかし近年、日本を中心とした ODA(政府開発援助)によって、南部と北部の主要港を中心に港湾整備が進み、その取扱能力は大幅に改善されている。
日本の国土交通省の統計によると中国の2017年の取扱コンテナ数は約2.14億TEUで世界第1位、全世界の28.4%を占める。同年のべトナムは1,228万TEUであり、シェアは1.6%である。
2017年の同データ上では、ベトナムはアセアンのなかで、シンガポールやマレーシアにこそ及ばないが、すでに、タイ、フィリピンを凌ぐ水準である。データ出所が異なり、単純比較はできないものの、最近のインフラ増強によって、2018年の数字(未発表)ではインドネシアを上回った可能性もある。
世界で群を抜く中国に対して、ベトナムの規模は約6%相当に過ぎない。しかし、グローバル企業の製造拠点の移管先として考えられる競合国(インドネシア・タイ・フィリピン)を超えた取扱量規模に達していることは、十分に推測できる。
懸念材料は残るが、着々と整備は進められている
自由貿易協定の充実度、労働のコスト/質、他のアセアン諸国対比での貿易インフラのキャパシティー及び中国との地理的な近さ等を考えると、ベトナムが移管先の第一候補に挙げられるのは十分な理由がある。
一方、ほかのインフラ整備では不十分な部分もある。南北を結ぶ国内交通に関し、高速道路は事業が始まったばかりであり、高速鉄道は予算の関係で進んでいない。空港の整備・拡張、都市内地下鉄網の整備も急がれている。
南部を中心とした電力不足の懸念は今後さらに高まるものと予想される。よって、さらなるインフラ整備は同国にとって依然、喫緊の最重要課題であることは論を待たない。
政府は現在、過去のGDP計算を見直している。これまでの統計実務では補足できなかった「地下経済」と呼ばれる経済活動を、正しく反映させるための作業である。すでに公表されている2011-2017年分の修正値では経済規模(GDPの実数)が平均25%上方修正された。
重要なことは、このGDPの過小評価の修正によって、政府が定めている公的債務の対GDP比率が下がる点である。これによって政府は従来の財政規律(同比率を65%以下に抑えること)を維持しつつ、インフラ整備資金の調達枠が広がるということで、ファイナンス面では好材料といえよう。
現在の同国のインフラに弱点がないわけではないが、インフラ整備は着々と進められており、日本をはじめとした海外からの協力も受けられる環境にある。今後の改善に期待したい。
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