税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
ベトナムは「米国寄り」「中国寄り」どちらなのか
◆ベトナムと中国・米国
現在のベトナムは、対米貿易黒字が増えている。米中貿易摩擦の影響で、中国を生産拠点としていたグローバル企業のサプライチェーンの再編が加速化し、ベトナムへの生産拠点のシフトが活発化しているためである。
スマートフォンや衣料品を中心としたベトナムの対米輸出が前年比+28%伸長し、総輸出も8.1%伸びた。堅調な雇用状況から内需も好調であり、個人消費などの最終消費支出は前年比+7.2%であった。このような要因から、ベトナムは「米中貿易摩擦の恩恵を最も受けている国」といわれている。
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他方、同じ社会主義国として重要な中国は、米国、欧州に次ぐ輸出相手国である。輸入を合わせた貿易総額では最大(全体の22.6%、1,169億ドル/2019年)であり、もちろん無視できない存在である。
米中が鋭く対立する局面で、はたしてベトナムは、米国寄りなのか? 中国寄りなのか?
結論からいうと、ベトナムやベトナム人は、間違いなく米国を向いている。ホーチミン市民に、「外国ではどこの国が最も好きか?」「興味があるか?」と聞けば、ほぼ間違いなく「米国」と返ってくる(日本は「アジアでは」一番ということになっている)。
悲惨なベトナム戦争のことが印象に残っている人や、ハリウッド映画を見て、米国兵にベトナム人がいいようにやられてしまっている…というようなイメージを持っている人は、「米国のことをさぞかし憎んでいるだろう」あるいは「表面的にはいい顔をしているが、腹の底では嫌っているのではないか」と思うかもしれないが、実はそうではないようだ。
ベトナム人は極めて柔軟で現実的な思考をする人たちであり、「自分たちの生活を向上させる経済的発展のためにどうすればよいか」という視点から、過去のしがらみに捉えられることなく合理的選択のできる人々なのである(この点は、先の大戦で米国に敗れた日本人についても同様のことがいえなくもない)。
◆米国志向の強いベトナム
ベトナムの英語教育は幼稚園から始まり、日本語やほかの外国語教育が小学校3年以降から始まるのに比べて極めて早い。ベトナム人の英語能力ランキング(EF:Education First)は世界100ヵ国中52位で、日本(53位)より高い。留学先でも日本、韓国についで米国への留学生が多いと推測される(JVRC調べ)。留学後米国で働く人も多く、帰国しても就職先として米系企業の人気は高い。
ベトナムは、経済面では官民挙げて米国との結びつき強化を志向している。対米貿易黒字の増加によって、米財務省から為替操作国と認定される可能性(現在は為替監視国とされている)や、一部鉄鋼製品で見られるような制裁的な関税によって揺さぶられる可能性も否定できないが、それでも米国志向は萎えることはないと考えられる。
ベトナムと中国の「絶妙な政経分離」の関係性
◆ベトナムと中国の関係
日本人が誤解しがちなのは、ベトナムと中国との関係である。
ベトナムと中国の関係はベトナム戦争終結までは良好といえたが、1978年のべトナム軍のカンボジア侵攻(中国寄りのポル・ポト派への攻撃)とそれに呼応した1979年の中越戦争(中国によるベトナムのカンボジア侵攻に対する報復)によって両国の関係は悪化した。
ただし、経済的な交流は活発に続いており、現在でもベトナムは中国から多くの素材・半製品を輸入し、完成品を中国に輸出するという貿易が盛んである。また、一般消費財や鉄鋼等も多く輸入されており、中国とは経済的には切っても切れない縁となっているのだ。
ところが、政治的には、両国は南シナ海の西沙諸島、南沙諸島の領有権を激しく争っている。最近のニュースでは、次世代通信システム5Gの通信機器開発に際し(同国最大手のベトテルは世界で6番目の5G機器開発会社となった)、ほかのアセアン諸国が採用する中国製品ではなく、北欧製品を使うなど独自の路線をとることが報じられている。これは中国との対立関係が影響しているとされている。
つまり、ベトナムと中国は、「政治的には対立しながらも経済的には相互依存する」という見事な政経分離が進んでいるのだ。
このように、ベトナムが経済面では米国を中心(本命視)としながらも、中国ともつかず離れずの関係を維持し、日本、アセアンとも良好な関係を維持するという巧みな等距離外交で成功している事実は無視できない。
来年2021年の初頭には、ベトナム共産党の頂点である書記長が変わる。現任のグエン・フー・チョン書記長の後継者は2020年半ばには見えてくるともいわれているが、候補者として名前が挙がる人々はいずれも欧米への開放経済推進派であるとされ、現行の経済政策はより積極化するとの見方が強い。
近代化・好景気に伴い急増する富裕層
◆ベトナムの近代化と富裕層
新興国の経済成長を語る場合、国全体の一人当たりGDPで経済水準を図るのが通常のことであるが、現実にはもちろん都市部と農村部では生活水準の差がある。
ベトナムの場合、最大の経済都市ホーチミン市の一人当たりGDPはすでに6000ドルを超えており、首都ハノイも5000ドルと、中間層どころか富裕層が増えている。
英Knight Frank社の「The Wealth Report 2019」は、ベトナムの百万長者($Millionaires)の数は2018年の時点では12,327人であるものの、2023年には15,776人に増えると予想(+28%)しており、伸び率は世界全体(+19%)を大きく上回っている。また、億万長者($Billionaires)も2018年時点では4人いるとされていた(世界全体では2,229人)。
テト(旧暦の正月)を前に、日本製の高級品(資生堂の化粧品や高級ウィスキー)が高値で飛ぶように売れていた。大都市では1億円を超える高級マンションが次々と販売され、2019年の自動車販売台数は、前年同期比+12%の32万台と過去最高を更新。貴金属の宝飾品を取り扱う企業の売上高は17%以上、利益は20%以上の伸びを見せている。
民間企業のIPOも進み、俗にいう「富豪」も増え、米国で成功して戻ってきた越僑(えっきょう:国外居住するベトナム人や、外国籍を持つベトナム系移民のこと)と呼ばれる人達とともに、日本のバブル時代さながらの好景気に酔っている人々も少なからずいるのである。
このように、今日のベトナムでは、アオザイ(Áo dài)を着てノン・ラー(NÓN LÁ:伝統的な葉笠)を被った女性がクアン・ガイン(QUANG GÁNH:天秤棒とかご)を持つ姿に代表されるノスタルジックな風景とはかけ離れた工業化・近代化が進んでいることを理解していただきたい。
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