2019年11月分「機械受注」データの分析

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

11月分機械受注(除船電民需)は前月比+18.0%と5カ月ぶりの増加

 

機械受注(除船電民需)の大型案件は運輸業・郵便業の2件(鉄道車両)

 

10~12月期前期比は増加か。横ばい達成には12月の前月比▲6.5%必要

 

3カ月移動平均前月比は3カ月ぶりに増加に。「足踏みがみられる」の判断継続

 

 

 

●11月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+18.0%と5カ月ぶりの増加になった。3カ月移動平均は前月比+2.7%で3カ月ぶりの増加となった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+5.3%で2カ月ぶりの増加になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回10月分では大型案件は0件だったが、今回11月分では運輸業・郵便業で鉄道車両2件があったという。鉄道車両の大型案件があった運輸業・郵便業の11月分・前月比は+146.4%と大幅な伸び率になった。

 

●11月分製造業の前月比は+0.6%と4カ月ぶりの増加。製造業17業種中、10業種で増加し、減少は7業種だった。

 

●11月分非製造業(除船電民需)の前月比は+27.8%と2カ月ぶりの増加になった。10月分の電力業は大型案件が原子力原動機1件だったが、11月分の電力業は大型案件が火水力原動機1件だった。前月比は▲4.2%の減少になった。電力業を含む、非製造業全体では前月比+24.9%と2カ月連続の増加になった。非製造業12業種中、4業種が増加で8業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回10月分では合計4件。内訳をみると、電力業の1件の他は、官公需1件(鉄道車両)、外需2件(その他重電機1件、電子計算機等1件)であった。今回11月分では合計10件。内訳をみると、前述の運輸業・郵便業2件(鉄道車両2件)、電力業1件の他は、外需7件(航空機1件、船舶6件)であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は11月分で前月比+1.7%と2カ月ぶりの増加となった。前年同月比は▲10.4%と7カ月連続の減少になった。

 

●外需は11月分で前月比▲11.5%で2カ月ぶりの減少になった。前年同月比は▲39.4%と8カ月連続の減少になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、18年10月分と11月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断だったが、18年12月分に「足踏みがみられる」に下方修正され、19年3月分まで4カ月連続して「足踏みがみられる」という判断だった。4月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」という判断に上方修正された。5月分・6月分・7月分に続き8月分でも「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」という判断で据え置きとなった。9月分では前月比が3カ月連続減少かつ3カ月移動平均が▲4.0%の減少に転じたことなどから下方修正され、18年10月分・11月分以来の「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断になった。

 

●前回10月分では前月比が4カ月連続減少かつ3カ月移動平均が2カ月連続減少したことなどから下方修正され、18年12月分~19年3月分以来の「機械受注は、足踏みがみられる」という判断になった。今回11月分では前月比が5カ月ぶり増加かつ3カ月移動平均が3カ月ぶり増加となったものの、「機械受注は、足踏みがみられる」という判断は据え置きとなった。

 

 

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比見通しは+3.5%である。10~12月期の前期比実績は見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)からの10年間でみると、上振れ7回、下振れ3回であり、上振れしやすい傾向がある四半期である。しかし、今回は微妙だろう。

 

●10~12月期の前期比見通しの達成には、12月分で前月比+3.1%が必要だ。しかし、前期比0.0%には12月分の前月比が▲6.5%でよい。仮に12月分の前月比が反動で減少したとしても小幅な減少率であれば、10~12月期の前期比はプラスになることになる。

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの最近の動きをみてみよう。18年12月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同5人)、設備投資関連・先行き判断DIが50.0(同9人)。19年1月調査では設備投資関連・現状判断DIは44.4(同9人)と悪化したが、設備投資関連・先行き判断DIが58.3(同12人)。このころはまだ、底堅い動きだった。

 

 

●19年に入ると、米中貿易摩擦など先行きの不透明材料を受けて、設備投資関連・現状判断DIは8月に36.5(同13人)、11月に35.4(12人)まで、設備投資関連・先行き判断DIは6月・9月に31.8(同11人)まで低下した。

 

●12月には、設備投資関連・現状判断DIが48.2(同14人)と7月50.0以来の水準に戻ったことは明るい材料だ。なお、設備投資関連・先行き判断DIは11月には51.6(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、12月には、設備投資関連・現状判断DIが40.3(同18人)となった。グラフからは設備投資関連DIの底堅さが感じ取れる。

 

●12月調査・現状判断理由では「投資関係では、精密機械関連が少し回復しているようである。ただ、様々な工場の設備投資や工場内の機械設備投資関連の需要は依然として厳しく、先行きの見通しも厳しい感じである。不安はあるが、一部には少し明るさがみえてきており、新年に期待している。(北陸・税理士(所長))」という声がある一方、「米中貿易摩擦を要因とした主要取引先からの受注減少や設備投資の延期が当社の売上に与える影響は大きい。(中国・電気機械器具製造業(総務担当))」といった意見がみられる。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年11月分「機械受注」データの分析』を参照)。

 

2020年1月16日

 

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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