通勤地獄の「田園都市線」…渋谷系女子が住みやすい街は?

どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえるだろう。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 今回は取り上げるのは、東急田園都市線。渋谷勤務の女性会社員が住みやすい街とは?

田園都市線駅の平均家賃、交通利便性は?

東京でも人気路線の東急田園都市線
東京でも人気路線の東急田園都市線

 

再開発でたびたび話題にあがる渋谷。ここから神奈川県大和市の「中央林間」駅を結ぶ東急田園都市線は、「三軒茶屋」や「二子玉川」、「たまプラーザ」など人気エリアを通るうえ、「渋谷」からは東京メトロ半蔵門線に乗り入れ都心へのアクセスも良好のため、居住地としても人気の路線である。

 

東急田園都市線で話題になるのは、混雑や遅延の問題だ。「よく遅れる」というイメージがあるが、国土交通省の統計によると、10分以上の遅れが生じるのは2週間に1回以上だという。また混雑率は、通勤時間帯の平均で184%(「渋谷」~「池尻大橋」)。180%で、「折りたたむなど無理をすれば新聞を読める」、200%で「体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」というのが目安であり、主要31区間の平均混雑率は165%ということを考えると、都内を走る鉄道路線のなかでは、やはり「混んでいる」といえるだろう。

 

このような路線で住みやすい街(駅)はどこなのだろうか。渋谷勤務の会社員である、20代女性を想定して考えてみる。

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の20代女性会社員の平均給与は25歳未満で24.63万円、30歳未満で28.07万円となっている。そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額は、25歳未満で18.6万円、30歳未満で21.5万円。適正家賃は手取り月収の1/3以内と考えると、都内勤務、20代女性会社員の場合、6.2万~7.8万円が家賃の目安となる。

 

最寄り駅から徒歩10分圏内の1K・1DKの平均家賃(図表1)を見てみると、「池尻大橋」と「用賀」を除けば、適正家賃内となる。しかし女性となると物件のセキュリティにはこだわりたい。そこで「オートロック付」を条件に加えると、適正家賃をクリアするのは、都内ではゼロ。多摩川を渡り、神奈川県に入ると、急行停車駅では「溝の口」だけという結果であった(ほかの急行駅は、駅周辺に該当する物件数が少なく、平均家賃の信ぴょう性に欠ける駅だった)。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(1月10日時点) ※各駅から徒歩10分圏内の物件の家賃より算出
[図表1]東急田園都市線駅の平均家賃 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(1月10日時点)
※各駅から徒歩10分圏内の物件の家賃より算出

 

田園都市線沿線で適正家賃かつセキュリティの充実した物件を探すのであれば、都内駅10分圏内で探すのは難しい。駅チカ物件であれば多摩川を渡り、神奈川県下の駅周辺で探すのが現実的だ。少々無理をして家計に占める住居費率をあげて部屋を探すか、絶対条件からセキュリティを外せば、選択肢は広がっていく。

 

次に平日通勤時間帯の「渋谷」までの所要時間を見てみよう(図表2)。東急田園都市線の駅数は全部で27あるが、「駒沢大学」で最長10分、「二子玉川」で最長20分、溝の口だと最長25分となる。また急行停車駅に限ると、以降「たまプラーザ」で最短27分、終点「中央林間」でも40分だが、通勤時間帯のコアタイムには急行電車の運転はなくなる。田園都市線の通勤時間帯の混雑具合も加味すると、できるだけ「渋谷」の近くをよしとするのが、居住地選びの1つの考え方になるだろう。そこで、ここからは通勤時間帯で「渋谷」まで20分以内の駅に絞って見ていこう。

 

[図表2]東急田園都市線の平日通勤時間帯の「渋谷」までの所要時間の目安

田園都市線の都内駅周辺の安全性は?

女性の一人暮らしであれば、街の安全性も考慮したい。そこで「池尻大橋」~「二子玉川」間の各駅の犯罪件数を見ていこう(図表3)

 

出所:警視庁「平成30年度区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」より、対象エリアの犯罪認知件数をカウントして作成
[図表3]東急田園都市線都内駅の犯罪認知件数 出所:警視庁「平成30年度区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」より、対象エリアの犯罪認知件数をカウントして作成

 

警視庁が発表している「平成30年区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数」によると、この6駅の犯罪件数は[図表3]の通り。繁華街的要素も強い「三軒茶屋」が頭ひとつ抜けており、「渋谷」から近い「池尻大橋」、百貨店など大規模な商業施設が立地する「二子玉川」がそれに続く。一方、住宅地的要素が強い「桜新町」や「用賀」は、犯罪件数が少ないという傾向にある。

 

さらに細かく見ていく。一人暮らしであれば、気をつけたい犯罪は、まず「侵入窃盗」だろう。昨今はセキュリティのしっかりした家屋が多いので、窃盗被害は減少傾向にあるが、6駅を比較すると、「三軒茶屋」が一番多く1年で16件。町丁別に見ると、三軒茶屋1丁目が8件と多い。このエリアは雑居ビルや店舗が多く、これらで窃盗被害が起きているのではないかと推測される。一般住宅が狙われているわけではないが、用心するに越したことはない。

 

またどのエリアでも共通するのが、一番多い犯罪が自転車の窃盗だ。特に駅近くは狙われやすいので、駅までの通勤で自転車を利用するのであれば、注意すべきだろう。

国民的マンガゆかりの街「桜新町」

最寄り品はひと通り揃う、利便性の高い「桜新町」駅前
最寄り品はひと通り揃う、利便性の高い「桜新町」駅前

 

ここまで、家賃、交通利便性、街の安全性の3つの項目を見てきたが、渋谷勤務の20代女性が混雑する田園都市線で部屋を探すのであれば、通勤時間帯で「渋谷」まで15分弱、家賃も比較的安く、街の安全性も高い「桜新町」が優位だといえる。適正家賃1/3を超えるが、手取り月収の40%弱で駅チカ・オートロック付の物件もかなう。

 

そんな桜新町は、東京信託株式会社(現:日本不動産)によって計画住宅地として開発された歴史ある街である。当時は「東京の軽井沢」とも称され、人気を集めたのだとか。この街を有名にしたのが漫画『サザエさん』。原作者の長谷川町子が、昭和初期にこの付近に居住していたことから、1985年に「長谷川町子美術館」が開館し、駅から美術館まで続く桜新町商店街は、通称「サザエさん通り」の愛称で親しまれている。ちなみに、商店街にあるセブンイレブンは、もともと酒屋で、『サザエさん』に登場する「三河屋さん」のモデルといわれている。

 

駅の南側のエリアはかつての計画住宅地で、北側は比較的新しく開発されたエリアで道幅も広く整然とした住宅地が広がる。駅周辺には前述の商店街のほか、スーパーマーケットやファストフード店やカフェなどが集積し、最寄り品はすべて駅前で揃う。

 

また駅から徒歩20分弱のところには、数々の馬事関連の施設が揃う馬事公苑がある。「日本庭園」や野鳥が住む「武蔵野自然林」などもあり、休日にゆったり過ごすには最適な場所だ。成熟した住宅地と人情味あふれる商店街、緑豊かな公園と、桜新町はバランスの取れた住環境が魅力だといえるだろう。

 

田園都市線沿いには、ほかにも良好な住環境の駅が点在する。今回の結果を参考にしつつ、自身の優先する条件で居住地を探していただきたい。

 

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している(写真は編集長の立本正樹)。

著者紹介

連載データから紐解く「住みやすい街」

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