2020年「米国経済」は安定成長…年後半は大統領選に注視

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●実質GDPは、2020年が前年比+2.1%、2021年は潜在成長率並みの同+1.8%を予想する。

●2020年は緩やかな成長のもと政策金利は据え置き、10年国債利回りは徐々に水準切り上げへ。

●大統領候補は民主党で混戦、共和党はトランプ氏が最有力、選挙戦展望の材料はまだ揃わず。

実質GDPは、2020年が前年比+2.1%、2021年は潜在成長率並みの同+1.8%を予想する

米国は2019年12月13日、中国との貿易協議において第1段階の合意に達しました。これにより、貿易問題を巡る過度な悲観論が後退し、米企業の生産活動は、在庫調整の一巡を経て、持ち直しの動きが期待されます。また、個人消費についても、足元で雇用者数の伸びが確認されており、この先、底堅い推移が見込まれ、国内最終需要を支えると思われます。

 

弊社は2020年の米実質GDP成長率について、前年比+2.1%を予想しています(図表1)。2019年と同様、2%台前半の成長を維持するものの、成長ペースは幾分緩やかになると想定しています。2021年の米実質GDP成長率については、長期にわたり景気拡大局面が続くなか、潜在成長率近辺の前年比+1.8%への減速を予想しますが、直ちに景気後退に至るとはみていません。

2020年は緩やかな成長のもと政策金利は据え置き、10年国債利回りは徐々に水準切り上げへ

なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)は12月の声明で、現在の金融政策スタンスは適切との考えを示し、政策判断は海外の動向や抑制されたインフレ圧力など、景気見通しに関する情報を重視するとしました。ここから読み取れる当局のメッセージは、政策金利は当面据え置くものの、先行きは海外情勢や物価動向次第で利上げも利下げもありうる、と推測されます。

 

弊社は2020年の米経済成長について、前述の通り緩やかなペースを見込んでいます。そのため、物価に強い圧力は生じにくく、政策金利は2020年いっぱい据え置かれる可能性が高いと考えます。米10年国債利回りについては、2020年に入り、しばらくレンジ相場が続いた後、米経済の緩やかな持ち直しとともに、ゆっくりと水準を切り上げる展開を予想しています(図表2)。

大統領候補は民主党で混戦、共和党はトランプ米大統領が最有力、選挙戦展望の材料はまだ揃わず

米国では2020年11月3日に大統領選挙が行われます。民主党では、大統領候補の指名争いが混戦模様となっており、中道派(オバマ政策への回帰を主張)とリベラル派(資本主義の弊害への対応を主張)の溝が深まっています。同年3月3日にはスーパーチューズデー(多くの州の予備選・党員集会が集中する序盤戦のヤマ場)を迎えるため、主要候補の注目度は今後、一層高まるものと思われます。

 

一方、共和党は、民主党とは対照的に、トランプ米大統領が最有力候補となっています。民主・共和両党の大統領候補は、全国大会(民主党は2020年7月13日、共和党は同年8月24日)で正式に決定します。年後半は、大統領候補の掲げる政策内容や支持率の動向に、金融市場が一喜一憂し、また、2021年の米経済見通しにも影響が及ぶ可能性があります。米大統領選挙を展望するには、現時点でまだ十分な材料が揃っていませんが、引き続き注視していきたいと思います。

 

(注)2019年12月16日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。消費者物価指数は個人消費支出(PCE)物価指数。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]米国経済の見通し (注)2019年12月16日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。消費者物価指数は個人消費支出(PCE)物価指数。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)データは2015年1月から2019年11月までが実績値。2020年1月から12月までのレンジは2019年12月18日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。太線は予想レンジの上限と下限。  (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]米国10年国債利回りの予想レンジ (注)データは2015年1月から2019年11月までが実績値。2020年1月から12月までのレンジは2019年12月18日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。太線は予想レンジの上限と下限。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年「米国経済」は安定成長…年後半は大統領選に注視を参照)。

 

 

(2019年12月24日)

 

 

市川雅浩

三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト


株式会社三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・シニア ストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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