稼働率が最も落ち込むのは、雨の多い「9月」
前回の続きです。平均を割ってしまうのが、8月16日です。ここからどんどんグラフは下がっていき、8月中旬から10月下旬までは平均よりも低くなります。特に大きく下がる時期としては、8月30日から10月下旬です。この期間は稼働率が40%~50%くらいで推移しています。
9~10月が不人気の理由の1つは、9月が雨の時期だということです。海外の旅行情報でも、「9月の日本はあまりお勧めではない」と紹介されています。この時期は日本人もあまり旅行をしないため、相対的にホテルの予約が取りやすいという背景もあります。Airbnbを使わずにホテルに行く外国人が増えるわけです。
[図表1]9月の稼働率
[図表2]日ごとの稼働率の表示(8〜10月)
10月後半からグラフは回復していき平均を上回りますが、11月中旬にはまた平均を下回ってきます。次に平均よりも上がってくるのは、12月のクリスマス以降の年末年始です。1年で最も高い値は、12月31日の95%です。1月1日も87%と高く、年末年始は非常に高水準の稼働率で推移していきます。
年末年始を越えるとピークが過ぎて、すぐに平均を割り出します。1月4日からはもう63%以下になり、1月5日にはかなり低い値にまで落ちます。
日本人ホストの感覚からすれば、1月5日にはまだ正月プライスで貸そうとするのですが、外国人にとっては割高感があるため、敬遠されてしまうようです。そして、1月5日からはずっと平均を下回り続け、ようやく上がってくるのが3月20日頃からです。
[図表3]年末年始の稼働率
[図表4]日ごとの稼働率の表示(1月)
ただし、2月で唯一平均を上回る日があります。それが2月20日か23日です。ここは旧正月です。中華系の人たちが新年を祝って日本に押し寄せるので、ここはグラフが上がります。しかし全体的に言えば、冬の時期1~3月中旬までは、Airbnbのオフシーズンということになります。
稼働率は「季節や祝祭日」などの影響で大きく変わる
こうして1年を通して見てみると、稼働率が最も落ち込むのは夏の終わりから秋の終わりだと分かります。11月の紅葉シーズンになると増えるのですが、それまでの夏の終わりから紅葉前は、暑くもなく寒くもなく紅葉もない、外国人にとっては〝日本の四季を感じにくい中途半端な時期〟だと言えます。
しかも先ほども述べたように9月は雨が多いということで、Airbnbでは最悪のシーズンと言えるかもしれません。
なお冬になると、寒さを楽しみたいという旅行客が増えます。特に冬がほとんどない東南アジア系の旅行客は、寒さを体感してみたい、雪を見たいということでこのシーズンに訪れます。タイの人が雪を見たいといって真冬の1月に札幌に行き、ついでに東京や大阪、京都にも足を延ばすといったプランなどです。
Airbnbは年間を平均すれば高い稼働率を誇りますが、日本の四季や祝祭日によって波があることは頭に入れておく必要があります。
日本人がホテルを押さえる時期には、Airbnbの需要が上がります。実際にAirbnbを始める場合には、ホテルの稼働率とAirbnbの稼働率の両方を見ることが大事になってきます。ホストはそれを見越してその時点の相場に合わせて価格を設定することがポイントとなります。
ホテルが埋まる時期は価格を高く、ホテルが埋まらない時期は価格を抑えるというのが戦略になります。