2016年、電力事業はどう変わるのか?
本連載では、今まさに我々がその過程にいる電力システム改革といわれる「第5次電気事業制度改革」で、電気事業、電力業界がどのように変わっていくのかを解説します。
電力自由化の総仕上げともいえる今回の電力システム改革は、5年程度の時間をかけて3ステップで進められています。これまでの電気事業制度改革と比べても、非常に大規模な取り組みです。
この大変革をきちんと理解するためにも、あらためて電気はどのようにつくられ、どうやって需要家のところまで届けられているのかをまず確認しておきましょう。
発電した電気が家庭に届くまで
発電所では、さまざまな燃料などのエネルギーでつくり出された高温・高圧のガスや蒸気でタービンを回転させています。タービンの軸に取り付けられた磁石が回ると、周囲に張り巡らせたコイルに電流が流れます。この「電磁誘導」という現象を利用して、電気はつくられているのです。
再生可能エネルギーである風力発電や地熱発電も基本的な原理は同じですが、太陽光発電は少し異なり、「光電効果」という現象を利用して発電しています。
火力、水力、原子力など大規模な発電所でつくられる電気は、通常数千V~2万V程度で発電されますが、送電ロスを少なくするために27万5,000V~50万Vという超高電圧に昇圧されて送電線に送り出されます。
送り出された電気は、超高圧変電所・一次変電所・中間変電所などを通って徐々に降圧されていきます。そして、配電変電所に届いた電気は、配電線を通じて最終的に柱上変圧器(電柱の上にあるポリバケツのように見えるもの)で、100V/200Vに降圧されて家庭に届けられています。
ちなみに、通常「送配電」とひとまとめにいわれますが、「送電」とは、発電所から変電所、変電所から変電所へと電気を送ることを指し、「配電」とは、配電変電所から電柱などによって各需要家に電気を送ることを指しています。
電気がつくられてから我々が利用するまでを簡単に説明するとこのようになりますが、そこには「電気をつくる人」「電気を運ぶ人」「電気を販売する人」がいるという点を押さえておきましょう。
[図表]電気が届くまで(東京電力の例)