「桜を見る会」を巡る与野党の攻防…安倍首相の去就に影響も

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『桜を見る会』の関連を巡る政権と野党の攻防が激化しているが、この件で安倍首相が衆議院を解散する確率は高くない。むしろ、内閣信任案などによる事態の収拾を目指すだろう。ただ、今回の件は安倍首相の去就に影響を及ぼす可能性がある。ポスト安倍候補の動きも活発化し、政治も市場も「安倍政権後」の想定が始まるのではないか。

『桜を見る会』問題:安倍首相は異例の対応で早期収拾を図る

11月20日、安倍晋三首相の在任記録が通算2,887日となり、歴代最長を記録した。もっとも、首相周辺に高揚感がないのは、足下、安倍政権が内閣総理大臣主催の『桜を見る会』、安倍首相の後援会が開催した『前夜祭』への疑惑を問われているからだろう。安倍首相は、官邸で数回にわたって即席の会見を開き、その度に異例とも言える丁寧さで記者団の質問に答えている。

 

そうしたなか、読売新聞、朝日新聞、産経新聞が行った最新の世論調査における内閣支持率を見ると、1ヶ月前と比べいずれも低下したが、まだ極端な変化は見られない(図表)。桜を見る会に関連した問題のみならず、菅原一秀前経産相、河井克之前法相の実質的な更迭、萩生田光一文科相の失言と大学入試への英語4技能民間テストの導入見送り…政権の不手際が続いたものの、世論は安倍内閣に依然として好意的だ。

 

出所:報道各社の庁舎よりピクテ投信投資顧問が作成
[図表]安倍内閣の支持率の変化 出所:報道各社の庁舎よりピクテ投信投資顧問が作成

 

安倍首相は、支持率が安定している間に一連の問題の収拾を図る意向と見られる。自民党総裁としての任期があと2年になるなか、自らの疑惑をいつまでも引きずれば、レームダック化の可能性があるからだろう。

解散・総選挙:話題性はあるが確率は高くない

一部のメディアは安倍首相が衆議院を解散し、改めて国民に信を問うシナリオを指摘している。しかしながら、解散後に想定外の不都合な事実が明らかとなった場合、政権にとり取り返しのつかない事態になりかねない。内閣総理大臣が解散を選択するのは、衆議院議員の任期切れが近いなど止むを得ない状況を除き、選挙に勝てる目算が立つ時に限られる。

 

むしろ、内閣信任決議の方が可能性は高い。1992年の宮澤喜一内閣、2008年の福田康夫内閣の2例に止まるが、タイミングを選んで可決すれば、一事不再議の原則により国会内における野党の抵抗を抑止できる。また、与党内で安倍首相に批判的なグループも賛成せざるを得ず、事態の鎮静化を図る1つの選択肢だろう。

次の焦点:ポスト安倍レースが本格化する可能性

石破茂元自民党幹事長は、17日、フジテレビの番組に出演し、安倍首相が任期途中で退任、国会議員投票のみで次期自民党総裁を決める手法を強く牽制した。これは、裏を返せばそのシナリオに蓋然性があることを意味しよう。安倍首相にとって、後継者を実質的に指名し、退任後も強い政治力を維持できるからだ。

 

もちろん、同首相が2021年9月まで続投を目指すことも十分考えられる。もっとも、衆議院の任期は4年のため2021年10月までだ。その場合、次の総選挙も安倍首相の下で行われる可能性が強まり、自民党が議席を減らせば同首相の求心力は一気に低下しかねない。桜を見る会の問題は、解散のタイミングと密接に絡み、安倍首相が自らの去就を判断する重要な材料になるのではないか。

 

いずれにせよ、一連の政権の混乱により、安倍首相の後継者争いに拍車が掛かる可能性が強い。また、ポスト安倍レースの本格化は、それ自体が安倍政権の消長に影響を与るだろう。市場においても、頭の体操として、「安倍政権後」を想定すべき時期に来たと言える。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「桜を見る会」を巡る与野党の攻防…安倍首相の去就に影響も』を参照)。

 

(2019年11月22日)

 

市川 眞一

ピクテ投信投資顧問株式会社
シニア・フェロー

ピクテ投信投資顧問株式会社 シニア・フェロー

日系証券の系列投信会社でファンドマネージャーなどを経て、1994年以降、フランス系、スイス系2つの証券にてストラテジスト。この間、内閣官房構造改革特区評価委員、規制・制度改革推進委員会委員、行政刷新会議事業仕分け評価者など公職を多数歴任。
著書に『政策論争のデタラメ』、『中国のジレンマ 日米のリスク』(いずれも新潮社)、『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』(日本経済新聞出版社)など。
2011年6月よりテレビ東京『ワールドビジネスサテライト(WBS)』レギュラー・コメンテーター。

著者紹介

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1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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