本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●投資先に迷うのは、2段階の投資行動が関係、「今、何に投資したらよいか?」は第1段階の質問。

●2段階の投資行動は一見効率的だが、第2段階で「いつ、売却したらよいか?」という迷いも生じる。

●1つの答えは「複数資産への投資を検討してはいかがですか?」というポートフォリオの考え方である。

投資先に迷うのは、2段階の投資行動が関係、「今、何に投資したらよいか?」は第1段階の質問

「今、何に投資したらよいか?」という質問をよく耳にすることがあります。今回のレポートでは、この質問に対する1つの答えを考えてみます。例えば、個人投資家であれば、投資信託などを選定する際、何に投資すればよいのか迷うことが多いように思われます。確かに足元では、米中貿易協議の進展次第で、市場がリスクオン(選好)に傾くことも、リスクオフ(回避)に傾くことも、想定されます。

 

投資先に迷うのは、次のような2段階の投資行動が関係していると推測されます(図表1)。投資信託を例にとれば、①市場の見通しに関する情報を収集し、投資信託を購入する。②その後、相場が投資判断に合致した動きとなり、購入した投資信託に含み益が発生すれば、売却して利益を確定する。そして、再び①に戻り、これを繰り返すという行動です。「今、何に投資したらよいか?」という質問は、①の段階での質問ということになります。

2段階の投資行動は一見効率的だが、第2段階で「いつ、売却したらよいか?」という迷いも生じる

この2段階の投資行動について、実際に相場が投資判断通りの動きとなれば、利益確定の機会を得られるため、一見、効率の良い投資行動のように思われます。確かに、投資→利益確定、投資→利益確定を、長期にわたって繰り返せば、資産を増やすことは可能です。しかし当然ながら、相場は必ずしも投資判断通りに動くとは限らず、毎回、利益を確定できる保証はありません。

 

また、仮に購入した投資信託に含み益が発生しても、今度は②の段階で、「いつ、売却したらよいか?」という新たな迷いが生じます。つまり、もう価格が上がらないならばすぐに売りたいが、まだ上がるならばもう少し待ちたい、という迷いです。もし、何とか利益確定が出来ても、様々な判断に疲れてしまえば、しばらく投資は休みたいという気持ちになるのは当然です。ただし、これはこれで、投資機会を逸してしまうことにもなります。

1つの答えは「複数資産への投資を検討してはいかがですか?」というポートフォリオの考え方である

では改めて、「今、何に投資したらよいか?」という質問に対する回答を考えます。1つは、「複数資産への投資を検討してはいかがですか?」というものです。例えば、単純に株式と国債に投資すれば、強気相場では株式の上昇が、弱気相場では債券の上昇が、それぞれ期待できます。そのため、相場の方向性が急変しても、過度に一喜一憂する必要はなくなります。このような複数資産の組み合わせを、「ポートフォリオ」といいます(図表2)。

 

一般に、株価が上昇すれば、国債価格は下落する傾向があるため、当初の資産配分に戻すには、株式を売って、国債を購入することになります。つまり、売却・購入のタイミングは、相場の変動ではなく、資産配分の変動によることになります。この資産配分の調整を「リバランス」といいます。また、ポートフォリオは継続保有できますので、前述の投資機会を逸するリスクは低下します。なお、ポートフォリオの構築方法については、また別の機会でお話ししたいと思います。

 

(注)個人投資家の投資行動に関する一般的な例。 (出所)三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]2段階の投資行動 (注)個人投資家の投資行動に関する一般的な例。
(出所)三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)ポートフォリオに関する一般的な考え方。 (出所)三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]ポートフォリオの考え方 (注)ポートフォリオに関する一般的な考え方。
(出所)三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「いま何に投資し、いつ売却すべきか?」という質問への回答』を参照)。

 

(2019年11月19日)

 

市川雅浩

三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト


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