前回に引き続き、不動産ポータルサイトの情報が当てにならない理由を見ていきます。今回は、そもそも不動産広告の表示基準はどうなっているのか、この点についても整理してみましょう。

厳格に決まっている不動産広告の表示ルール

不動産ポータルサイトの情報は極めて少ないものが目立ちます。時間があれば各物件の詳細な情報を確認してみてください。「間取りが分からない」「写真がない」、中には「価格と住所以外の情報がない」といった圧倒的に情報がスカスカの物件が本当にたくさん見つかるはずです。

 

さらにその情報も正確かどうか分かりません。そこには同業者としては、はずかしながら不動産業者のモラルの問題があります。そもそも不動産表示に関する公正競争規約では、嘘をつかないことはもちろん、消費者が不動産を選ぶ際に表示するべき事項が定められています。

 

不動産広告には以下の事項についてバラバラな表示とならないように、いろいろな表示基準があります。

 

●物件の内容・取引条件等に係る表示基準
 1 取引態様
 2 物件の所在地
 3 交通の利便性
 4 各種施設までの距離または所要時間
 5 団地の規模
 6 面積
 7 物件の形質
 8 写真・絵図
 9 設備・施設等
 10 生活関連施設
 11 価格・賃料
 12 住宅ローン等
 13 その他の取引条件
●節税効果等の表示基準
●入札及び競り売りの方法による場合の表示基準

 

たとえば、4「各種施設までの距離または所要時間」の場合の基準は、徒歩時間は1分で80メートルとして表示することになっています。また、不動産広告は「宅地建物取引業法」と「不当景品類及び不当表示防止法」によっての誇大広告が禁止されています。

 

そこで公正競争規約では、次のような用語について表示内容を裏づける合理的な根拠がある場合を除き、その使用を禁止しています。

 

 特選、厳選
 日本一、抜群、当社だけ
 完全、完ぺき、絶対
 格安、掘出、底値
 完売など著しく人気が高く、売行きが良いことを意味する用語
 最高、最高級など最上級を意味する用語

 

皆さんは新聞折り込みの不動産チラシなどで「眺望最高」「日当たりバツグン」といった売り文句を日常的に見ていませんか?残念ながら不動産業界はいまだにこのようないい加減な業者が多いため、広告の信用性も高いとはいえないのです。

 

サイト情報にまつわる悪質な業者の手口とは・・・

業者のモラルという意味では、以前私のところへ相談に来た医師でこのような人がいました。

 

彼は不動産運用に関してすでにかなり勉強しており、インターネットを駆使してある中古物件を見つけました。現状で満室。しかも利回りが周辺の相場よりも若干高く、価格も手が届く範囲だったそうです。直接現地へ行って物件を確認しましたが、特に問題は見当たりません。そこで購入を決意。ローンの審査もすんなり通り、売買契約をします。

 

ところが数日後、再度現地に行くと衝撃の事実が。2階の1部屋にカーテンがなく、どう見ても入居者がいる気配もないのです。急いで仲介した不動産会社に駆け込み、問いただすと「満室という表示がありましたか?それならサイト運営会社のミスですね」と言われたそうです。

 

その開き直りぶりから、どう考えてもわざととしか思えません。そこで知り合いの医師の紹介で私のところに相談に来たわけです。結局この契約はさまざまな交渉の末、解除できました。

 

悪質な不動産業者は、このようなマンガや小説にしか出てこないようなセコい手で何とか成約に結びつけようとします。やはりサイト情報の内容には細心の注意が必要といえるでしょう。

 

 

本連載は、2015年1月30日刊行の書籍『資産10億円を実現する医師のための収益物件活用術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

資産10億円を実現する 医師のための収益物件活用術

資産10億円を実現する 医師のための収益物件活用術

大山 一也

幻冬舎メディアコンサルティング

旧来の医療体制が瓦解し始めた今、医師たち一人ひとりに求められているのは勤め先の病院に頼らない、自らの開業をも見据えた確固たる基盤づくりであり、なかでも最も重要なのは資産形成である。資産形成にはさまざまな方法があ…

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