本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

7~9月期実質GDP第1次速報値・前期比は4四半期連続プラス成長に

 

外需・前期比寄与度プラスに転じる。設備投資、公共投資しっかりした前期比に

 

 

●11月14日に発表される7~9月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比+0.2%程度、前期比年率+0.9%程度と4四半期連続のプラス成長になると予測する。

 

●7~9月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は+0.1%程度を予測する。内訳をみると、民間需要の寄与度が▲0.1%程度のマイナス寄与度に、公的需要の寄与は+0.2%程度のプラス寄与度と予測する。

 

●実質個人消費が9月に駆け込み需要がみられたものの7~9月期全体では前期比▲0.2%程度のマイナスを予測する。一方、設備投資は前期比+0.7%程度とプラスの前期比になると予測した。

 

●外需は、輸出が+0.2%程度と前期比増加に、控除項目の輸入が前期比▲0.3%程度前期比減少になるため、外需の前期比寄与度は+0.1%程度とプラスになるとみた。

 

●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の7~9月期前期比は▲3.9%の減少になった。一方、非耐久消費財出荷指数は同+1.5%の増加だ。GDPの個人消費算出には直接使用されないが、同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の7~9月期前期比は+3.2%の増加だ。また、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の7~8月分平均比対4~6月分平均比は▲1.8%の減少である。乗用車販売台数の7~9月期前期比は+3.0%の増加になった。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の7~8月分平均比対4~6月分平均比は▲0.8%の減少である。消費税増税前の駆け込み需要を考慮しても7~9月期第1次速報値では個人消費の前期比は総合的に判断すると前期比▲0.2%程度のマイナスになると予測する。

 

●設備投資の関連データである資本財出荷指数の7~9月期前期比は+3.6%の増加になった。資本財(除く輸送機械)は同+2.8%の増加である。一方、建設財は同▲0.5%の減少になった。またソフトウエアなどの設備投資は底堅いとみられる。供給サイドから推計される7~9月期実質設備投資・前期比は+0.7%程度の増加と予測した。

 

●民間在庫投資(民間在庫変動)の前期比寄与度は▲0.0%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、7~9月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+105億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は▲5,707億円である。また、鉱工業在庫指数の前期比は、4~6月期は+0.9%だったが、7~9月期▲1.9%と伸び率が鈍化したことなどを考慮した。

 

●公共投資は前期比+2.0%程度の増加とみた。関連データの公共工事出来高・前年同月比は7月分+4.9%、8月分+7.7%で、4~6月期の前年同期比+2.5%から増加率が高まっている。7~9月期の公共投資は名目ベース、実質ベースともに4~6月期より前年同期比が改善すると考えた。

 

●実質輸出入の動向をみると輸出の7~9月期前期比は+1.7%と増加になったが、控除項目の輸入は▲0.1%の減少になっている。モノの外需の7~9月期の動向はプラス寄与になるとみられる。サービス面を考慮して、GDPの輸出の7~9月期前期比は+0.2%程度の増加、輸入は同▲0.3%程度の減少と予測した。7~9月期の外需の前期比寄与度は+0.1%程度になると予測する。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年7~9月期実質GDP(第1次速報値)について』を参照)。

 

2019年10月31日

 

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

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