「キャリア間決済システム」を20年にも首都圏で導入
23日、ソフトバンクは、日本IBMと通信事業者向けブロックチェーンを開発するTBCASoftとの戦略的な提携を発表した。ブロックチェーン技術を活用して、通信事業者やユーザへの革新的なサービスの提供を行う。
まずは、2020年度内に首都圏でキャリア間決済システムの導入を目指すという。
ソフトバンクとTBCASoftらは、2017年9月に通信事業者向けブロックチェーンコンソーシアム「Carrier Blockchain Study Group(以下CBSG)」を設立しており、同コンソーシアムを通じてこれらの取り組みを行っていくという。
TBCASoftは技術とソリューション、ソフトバンクは通信事業者の知見、IBM社はブロックチェーン技術や技術に関するノウハウを相互に提供する。
◆モバイル決済アプリが海外でも利用可能に
CBSGより、初の実用化が期待されるのが、今回のキャリア間決済システム(CCPS)だ。このシステムが実用化されることによって、スマホのユーザは、海外でもモバイル決済アプリを使って現地で買い物ができるようになるという。
海外でクレジットカードなどを利用すると、一般的に1~2%ほどの事務手数料がかかるが、そういった手数料のないキャリア間決済システムは、海外旅行やビジネスの際、有力な選択肢になると考えられる。
CCPSにはTBCASoftの開発する通信事業者向けブロックチェーン技術が使われており、TBCASoftはそのブロックチェーン基盤にIBM Blockchain Platformを使用している。
すでに今年の2月には、同じくコンソーシアムに加入する台湾の通信事業者FarEasToneとソフトバンクとの間で行われた実験が成功裏に終わっていた。
実験では、台湾の小売店でソフトバンクのネットワークを介して商品を購入する、あるいはその反対が行われ、無事にクロスボーダー、クロスキャリア決済に成功している。
IBMは、オープンソースのブロックチェーンプロジェクト「Hyperledger」の創立メンバーだ。IBMクラウドサービス上で、ブロックチェーン基盤や企業のブロックチェーン導入を支援するサービスなどを提供しており、ブロックチェーン事業に積極的に取り組んでいる企業のひとつだ。
ソフトバンクは、今回のTBCASoftを含めた複数のブロックチェーン企業に投資を行っているほか、ソフトバンクグループ傘下のヤフーは、暗号資産取引所TAOTAOを運営するZコーポレーションを設立している。
※本記事は、2019年10月23日に「CoinPost」で公開されたものです。