不動産を有効利用できているか、改めて検討する
あなたがお持ちの不動産は、しっかり収益を上げていますか? あるいは快適な住まいとして活用できていますか?
普段は有効利用できているかどうかを意識されていない方が多いようです。一度あらためて検討してみてください。その上でもし、「あまり役立っていない」と感じられたら、財産の組み替えを考えてみてはいかがでしょう?
現在、保有している財産をより活用できる形に編成し直すのが財産の組み替えです。具体的には、収益の悪い不動産を売却して、もっと利益を上げられる物件を購入したり、活用していない不動産の一部を売却して、その資金で住まいのリフォームを行ったりすることなどがこれにあたります。
「先祖代々伝わってきた土地だから・・・」などの理由で、ためらう方も多いのですが、収益が悪かったり使い勝手に難があったりする不動産は、持っていてもあまり意味がありません。さらに固定資産税や相続税評価額が高い、といった条件が重なれば、今後保有することになる子どもたちや孫たちにとって、負担だけが大きい「負の財産」になってしまいます。
思い切って財産を組み替えてしまえば、相続税対策ができるだけでなく、資産としてしっかり活用できるようになります。ぜひ検討してみてください。
有益な財産に組み替えることで、投資価値を高める
筆者がご相談を受けた事例の中で、組み替えにより大きな効果が出たものを2つご紹介してみましょう。
●敷地の一部を売って自宅をバリアフリー化
Dさんが長く住んできた自宅は、広大な敷地に建つ古い大きなお屋敷でした。子どもたちが独立してしまうと、夫婦2人には広すぎ、また高齢化により段差などが悩みの種となってきました。
「住み心地のいい家が欲しい」と考えるようになったDさんは、思い切って自宅敷地の半分を売却。代金を利用して、バリアフリー構造の快適な住まいを新築しました。なお、売却した半分の敷地に対する税金も早期に相談を受けていたので、少額の納税で済み、残りを建築資金にあてることができました。
●収益の悪い青空駐車場を優良な賃貸物件に組み替え
青空駐車場を経営するEさんは、駐車場の空きに悩んでいました。以前は50台以上ある区画がいつもほぼ満車状態でした。最近では10台にも届かない上、1台あたりの料金も極端に低くなっています。また近隣はアパートなどの需要もない地域です。
「このまま駐車場経営を続けていても、収入が改善する見込みはない」と判断したEさんは、土地を売却して、約8000万円の手取額を取得。その資金と若干のローンをもとに、築3年の中古分譲マンション3室を購入しました。
建物の質が良く、交通の便が良い好立地であったため、すぐに入居者が見つかり、家賃収入ができました。いずれは子どもたちに相続させるつもりですが、青空駐車場に比べて、マンションの相続税価額はかなり低いため、相続税の軽減にも役立ちました。
「安定した収入源となる不動産を子どもたちに遺してやれる」とEさんは満足しておられます。
こういった組み替え事例をご紹介すると、「費用がけっこうかかりそう」と心配される方もいるでしょう。たしかに、不動産の組み替えには、売買の際にかかる税金や手数料など、ある程度のコストを要します。
ただしほとんどの場合は、売却により得られる収入でまかなうことができるので、それほど心配する必要はありません。有益な財産に組み替えることができれば、投資価値が高まります。不動産、建築に詳しい方に相談して、さまざまな組み替えを検討してみてください。