「おしゃべり」を誘導する罠が!? 相続税の税務調査…恐い実態

相続税の申告をした人の10~20%に行われるとされるのが「税務調査」です。税務上の判断が分かれるグレーゾーンの処理が論点になることが多く、対応の仕方で結果が大きく変わることもあるといわれています。本記事では、相続・事業承継を専門とする税理士法人ブライト相続の竹下祐史税理士、天満亮税理士が、「相続税の税務調査のポイント」等について説明します。

相続税の税務調査に「入られやすい人」の特徴

最近の国税庁の統計データによりますと、相続税の申告をされた方の10~20%の方に税務調査が入っているのが実情です。

 

以前は遺産総額3億円以上の方に税務調査が入られるケースが多いと言われていました。確かに税務署側の視点から見ると、遺産総額が多い方の方が相続税率も高くなり、財産の申告漏れを見つけた時に効率よく多くの追徴税額をとれることになりますので、金額の基準があるのも事実です。

 

ただ最近では、必ずしも遺産総額のみを基準としていない調査事例も見受けられ、遺産総額3億円未満の方が調査に入られるケースが散見されます。そのような場合、税務署は特定の調査ポイント(税務署が追徴課税をとれると考えているポイント)を事前に調べてきているようです。

 

税務調査で計上漏れを指摘されることが多い財産は現金・預貯金が34.1%、有価証券が15.2%と、金融資産で50%近くを占めており(平成29事務年度)、金融資産が重点的に調査されていることがわかります。実際に税務調査の現場でも、相続税額に大きな影響を与える土地の評価よりも、親族間のお金のやりとりについて質問を受けることが多いです。

 

相続税の税務調査に入られやすい方の特徴をまとめてみました。

 

・遺産総額3億円以上の方

・遺産に占める金融資産の割合が多い方

・親族間での送金が多くあった方

・預金口座から多額の不明な出金があった方

・現金商売の事業をされていた方

・専業主婦の配偶者名義の預金や若い子供

・孫名義の預金が多額にある方

・多額の海外送金の履歴のある方

・海外財産(不動産等)をお持ちの方

・職業や収入と比べて申告した財産が少ない方

・税理士に頼まずにご自身で相続税の申告をされた方

・相続税の申告が必要なのに申告しなかった方

 

これらの特徴に当てはまったとしても、必ず追徴課税がとられるわけではありません。生前にしっかりと対策を行ったり、相続税を専門とする税理士に相談していれば、結果が大きく変わります。

 

当てはまる可能性のある方は、ぜひ相続税の経験が豊富な税理士にご相談されることをお勧めします。

税務調査の連絡は「7月~9月」に来ることが多い

税務調査の場面では、税務上の判断が分かれるグレーゾーンの処理が論点になることが多く、対応の仕方で結果が大きく変わることもあります。最悪の場合、答え方によっては悪気がないのに悪質と結論づけられ重い重加算税が課せられることもあります。

 

そうならないためにも、経験豊富な税理士に対応してもらうと共に、税務署のやり方、調査の進め方を把握していることがとても大事です

 

相続税の税務調査は相続税の申告期限(お亡くなりになられてから10ヶ月)から5年間は行われる可能性があります。申告書を提出した直後に行われる可能性は高くなく(元々目をつけられている場合を除きます)、通常申告後1年~3年以内に行われるケースが殆どです。

 

税務署からの税務調査の連絡は、申告した時期にかかわらず、7月~9月に来ることが多いです。税理士に相続税申告を依頼されていた方は税理士経由で、ご自身で申告された方や、そもそも申告されていない方には、税務署から直接連絡が来るはずです。

 

よほど悪質なことや、意図せずに税務署に大きな疑念を抱かれるようなことをしていない限り、アポなしで調査が来ることはなく、一般的には事前に連絡が来て、日程調整をしたうえで調査が行われます。

 

税務署からは、可能であれば、調査当日に相続人全員が同席をすることを求めてきます。

 

なお、税務署から調査の連絡がきたからと言って、必ずしも税務署が具体的な問題点を把握しているとは限りません。筆者の経験でも、ご自宅での調査時点では論点を特定しておらず、調査後に銀行・証券会社等の口座の調査をスタートするケースもありました。

 

調査は原則として亡くなられた方のご自宅で行われます(臨宅調査とも言います)。ただ、稀に故人の財産に関する資料の多くが自宅以外にある場合には、その多くの資料の所在する場所で調査が行われるケースもあります。

 

ご自宅等での調査は、ほとんどの場合1日で行われるます。当日は午前10時にスタートし、夕方16時から17時くらいに終わります。途中12時から13時が昼休憩になり、調査官は外に昼ご飯を食べに行きます。調査官が納税者の準備した食事を食べることはありません。

 

午前中は質問等が中心で、午後は預金通帳を含む書類等の現物調査が行われます。

税理士法人ブライト相続 税理士・公認会計士

東京都国立市出身。2006年、監査法人トーマツ入社。上場企業の財務諸表監査、内部統制監査、上場支援、M&Aアドバイザリー業務等に従事。2012年、税理士法人レガシィ入社。200件以上の相続税申告、生前の相続対策、事業承継対策、家族信託・遺言作成コンサルティングなどの資産税業務に従事。2019年に税理士法人ブライト相続を開業。

著者紹介

税理士法人ブライト相続 税理士

東京都江東区出身。2004年、金井公認会計士事務所入所。中小企業者の法人税、所得税及び消費税申告業務を中心に、資産税業務、月次経理業務、給与計算業務その他幅広く従事。2012年、税理士法人レガシィ入社。200件超の相続税申告、相続税還付、遺言その他相続対策コンサルティング業務、相続セミナー講師、税制改正プロジェクト等に幅広く従事した後、2019年税理士法人ブライト相続開業。

著者紹介

連載相続専門税理士が教える!今すぐできる相続税対策~「生前贈与」の安全な進め方

本連載は、「贈与のススメ」の記事を抜粋、一部改変したものです。

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