大阪ガス、米シェールガス開発のサビン買収
全上場企業に義務付けられた東証適時開示のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介大手のストライク(M&A Online)が集計した。
M&Aの総開示件数67件のうち、海外案件(日本企業が買収対象になるケースも含む)は17件だった。
日本企業によるM&Aで今年最大となったのが、豪ビール大手のカールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズ(CUB)を約1兆2000億円で買収するアサヒグループホールディングス(HD)の案件。CUBは、ビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)の子会社で、売上の規模は約1800億円。アサヒはCUBの販路を生かし、豪州で「スーパードライ」など主力商品の売り上げ拡大を目指す。
日本企業による酒類事業の買収としては、2014年にサントリーホールディングスが米ウイスキー大手のビームを約1兆6000億円で傘下に収めたのに次ぐ規模となる。
大阪ガスはシェールガス開発を手がける米サビン・オイル&ガス・コーポレーション(テキサス州)を買収すると発表した。サビンはテキサス州東部に琵琶湖の1.5倍にあたる約1000平方キロメートルの鉱区を保有し、現在1200本の井戸からLNG(液化天然ガス)換算で年間約170トン相当のガスを生産している。
早稲田アカデミー、NYの学習塾を傘下に
海外M&Aを国別にみると、米国5件(うち1件は売却)、英国4件(同)で、両国で全体の半分を占めた。一方、中国関連はゼロだった。
米国では、パスコが航空測量事業を手がける米子会社Keystone Aerial Surveys(ペンシルベニア州)を約32億円で現地企業に売却することを決めた。パスコは2011年に子会社化したが、異業種からの参入増による市場再編、外資規制強化の見通しなどを踏まえ、経営から手を引く。
早稲田アカデミーはニューヨーク在住の日本人中高生を対象に学習塾を経営するSHINKENSHA U.S.A.(ニューヨーク)を子会社化した。帰国生入試の分野で業容拡大を狙う。
京成電鉄、関東鉄道をTOBで子会社化
日本企業同士で最大案件は京成電鉄による関東鉄道(茨城県土浦市)の子会社化。京成電鉄はTOB(株式公開買い付け)を実施し、現在30.09%の出資比率を約99%に高める。買付代金は最大約35億4700万円。
関東鉄道は茨城県を中心に鉄道事業とバス事業を手がける。京成電鉄はこれまで関東鉄道と営業・安全面の情報交換、資材の共同購入、大規模自然災害時の復旧支援、高速バスの共同運行などで連携してきたが、子会社化を通じてグループ経営体制を強化する。
日本取引所グループは7月30日、経営統合で合意している東京商品取引所へのTOBの詳細を公表した。総額55億円で東商取の全株式を買い取る。両社は3月に経営統合計画を発表したが、買付価格などの条件面を詰めていた(ただし、7月のM&A件数には含まない)。
IT・ソフト関連が20件近く
業種別にみると、IT・ソフトウエア関連が20件近くに上った。デジタルハーツホールディングスがソフトウエアテスト事業の米LOGIGEAR(カリフォルニア州)を、伊藤忠テクノソリューションズがシステム構築を手がけるインドネシア企業2社を子会社化する。
アイリッジはシステム受託開発のキースミスワールド(東京都千代田区)を10月1日付で吸収合併する。Gunosyはブロックチェーン(分散型台帳)関連のシステム開発などを手がける子会社LayerX8(東京都港区)の株式45%をMBO(経営陣が参加する買収)の一環として譲渡することを決めた。
メルカリ、鹿島アントラーズの経営権を取得
メルカリはフリマアプリ事業を展開するため2016年に設立した英国子会社(ロンドン)を事業撤退に伴い、現地企業に譲渡した。その一方で、同社はJ1プロサッカー「鹿島アントラーズ」を運営する鹿島アントラーズ・エフ・シー(茨城県鹿嶋市)の株式61.6%を8月末に取得すると発表した。取得金額は約16億円。2017年からスポンサーとしてチームにかかわっていたが、経営権の取得に踏み切る。
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