マネロン対策機関FinCEN(Financial Crime Enforcement Network)に対し、ブロックチェーン等の先進技術を、情報収集や各捜査当局との共有に用いることを義務付ける法案が、米国の下院で可決された。

米国、金融犯罪の捜査にブロックチェーン技術を活用へ

金融犯罪の規制を行う当局に対し、ブロックチェーンを含む「革新的なテクノロジー」を研究し、捜査への応用を呼びかける法案が、米国会下院で可決された。同法案は現在、上院で審議されているところだ。

 

この法案は、「法執行を補助するために技術革新を促進すること」を目的としている。米国財務省所属部門であるFinCEN(Financial Crime Enforcement Network:マネーロンダリングを検知するための政策を確立し実行するための法執行機関)の長官に、ブロックチェーン等の先進的技術を、金融犯罪捜査に役立てる方法の考案を義務付けるものである。

 

◆法案趣旨

 

「先進的技術」には、人工知能、デジタル認証技術と並んで、ブロックチェーン技術も挙げられている。

FinCENが行う、資金洗浄に関する捜査をさらに効率的で効果の高いものにすることが目的だ。金融犯罪についてのデータ分析を収集し、情報を連邦、州、地方など様々なレベルで共有し、捜査に役立てることを目指す。

 

この法案が上院でも可決されれば、FinCENはブロックチェーンを悪用する個体を取り締まるだけではなく、自らも捜査のためにブロックチェーンなどの最新テクノロジーを導入するよう促されることになる。

 

◆取締まり強化に

 

FinCENは、最近オンラインカジノに対して、暗号資産を用いたマネーロンダリングへの対策を要求したばかりだ。

 

なお今年7月には、麻薬密売人が逮捕された際、ブロックチェーン解析が役立った事例もある。HSI(国土安全保障調査団)がブロックチェーン分析家を雇用して、容疑者のビットコインによる資金洗浄の証拠を捉え、犯罪利益を押収することができたという。

 

ハッキングをはじめ、暗号資産が犯罪組織に利用されることが多い現在。犯罪撲滅を目指し、捜査する側の技術が向上していくことは、暗号資産・ブロックチェーン業界の安全にとっても大きな進歩といえるだろう。

 

※本記事は、2019年9月25日に「CoinPost」で公開されたものです。

 

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