超少子高齢化の日本を「フィリピン人」が救うかもしれないワケ

深刻化する人手不足を解消しようと、今年4月から「特定技能」での新たな外国人材の受入れが可能になった。しかし、ひと口に外国といっても選択肢はあまりにも幅広い。本記事では、フィリピンで不動産等のビジネスを展開するハロハロホーム Founderの鈴木廣政氏が、フィリピン人材の可能性について解説する。

中小企業の人手不足を解消する「特定技能」制度とは?

コンビニエンスストアや飲食店などで、外国人労働者をよく見かけるようになって久しいです。日本の中小企業は慢性的な人手不足で、今や外国人労働者なくしては経営が成り立たない、というところもあるでしょう。

 

人手不足の現状は統計にも表れています。厚生労働省(平成30年)によると、全産業では -31%ポイントと20期連続で不足超となり(図表1)、充足していない求人数(未充足求人数)をみると、2013年以降、フルタイム求人・パート求人ともに大きく増加しています(図表2)

 

出所:厚生労働省職業安定局
[図表1]国内企業の雇用状況 出所:厚生労働省職業安定局

 

出所:厚生労働省職業安定局
[図表2]国内求人の推移 出所:厚生労働省職業安定局

 

今後、国内の人手不足を解消するためには、外国人人材の受入れが不可欠だといえるでしょう。

 

このような現状に対応するために、2018年12月、臨時国会で「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が可決・成立し、2019年4月1日より「特定技能」での新たな外国人材の受入れが可能になりました。これは特定の業種において一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていくものです。

 

在留資格「特定技能」は、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります(図表3)。

 

[図表3]特定技能1号・2号の比較

 

そして「特定技能外国人」を受け入れる分野については、「生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にあるため、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)」とし、以下14分野と定められています。

 

①介護 ②ビルクリーニング ③素形材産業 ④産業機械製造業 ⑤電気・電子情報関連産業 ⑥建設 ⑦造船・舶用工業 ⑧自動車整備 ⑨航空 ⑩宿泊 ⑪農業 ⑫漁業 ⑬飲食料品製造業 ⑭外食業

 

制度がスタートして半年弱なので、まだ目立った動きは見られませんが、下記報道があったように、着実に取り組みは進んでいます。

 

政府は看護師を目指して来日した外国人について、新在留資格「特定技能1号」の介護業への移行を認める方向で検討に入った。複数の政府関係者が5日、明らかにした。介護業での深刻な人手不足解消に向け、外国人材の弾力的活用を図る。政府は2008年度以降、経済連携協定(EPA)を締結したインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国から約1400人を看護師候補者として受け入れている。候補者は国家試験合格まで、病院などで看護師を補助して患者の食事や入浴、排せつの介助を担っており、介護業との共通点が多い。(時事通信2019年8月6日報道より)

 

本日7月31日、出入国在留管理庁により、フィリピン人3名に対し、在留資格「技能実習2号」から「特定技能1号」への在留資格変更が許可されました。これにより、造船・舶用工業分野における特定技能外国人が初めて誕生したことになります。(国土交通省 2019年7月31日報道資料より)

 

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日本とフィリピンの「親和性の高さ」に注目

外国人といっても、世界には200近い国と地域があります。今後、日本を支える人材として、どの国からの労働者を受け入れるのがいいのでしょうか? 筆者は長年、フィリピンを中心にビジネスを行っていますが、今後、日本の労働力不足を補う外国人人材として、フィリピン人は非常に適していると考えています。その理由は大きく4つあります。

 

まず若年労働力人口が豊富な点です。日本の人口ピラミッドはいわゆる「つぼ型」というカタチで、少子化の影響で若年人口が少ない、非常に不安定なカタチをしています。一方人口が1億人を突破しているフィリピンの人口ピラミッドは、きれいな「ピラミッド型」をしています。現在平均出生率は3.08人で、平均年齢は約23歳。ちょうど日本には少ない若年労働者層をフィリピンは補完できる関係にある、というわけです。

 

日本はステージ5の「つぼ型」なのに対し、フィリピンはステージ1~2の「ピラミッド型」をしている
[図表4]様々な人口ピラミッド 日本はステージ5の「つぼ型」なのに対し、フィリピンはステージ1~2の「ピラミッド型」をしている

 

では同じ東南アジアの国々と比較するとどうでしょうか。実はタイやベトナムではすでに高齢化が始まり、人口が先細りしています。人口ボーナス期(総人口に占める生産年齢人口が増え続ける状態)の終了年は、タイでは2031年、ベトナムで2041年、ミャンマーで2053年などと予測されている一方で、フィリピンは2062年とされています。周辺諸国と比較しても、フィリピンの人口増加がいかに力強いかがわかります。

 

次に海外に出稼ぎする労働者が豊富な点です。フィリピンでは約1,000万人国民の1割が海外に出稼ぎ労働をしており、2016年の送金額は約3兆円に迫る勢いです。つまり、海外で働く経験豊富な人材がすでに多数いるということであり、即戦力人材としても期待できるのです。

 

続いて語学です。フィリピンでは、公用語はフィリピノ語と英語とされています。Global English社によるビジネス英語ランキングによると、フィリピンは世界第1位に選ばれています。日本語検定4級以上を取得しているフィリピン人も多く、他の外国人に比べてコミュニケーションが容易といえるでしょう。

 

最後に、国民性です。フィリピン人の勤勉さは、よく知られていることです。さらに電通が行っている「ジャパンブランド調査」などのリサーチからも、フィリピンが世界トップクラスの親日国であることがわかります。日本に対する好感度は、企業側にとてもプラスに働くでしょう。

 

このように様々な観点から、日本とフィリピンは非常に親和性が高いのです。筆者の個人的な感覚ですが、国民性などから、特に介護や外食、サービス業、IT関連の職業が、フィリピン人には適していると感じています。受け入れる日本企業側にとっても、他の国に比べて受け入れに手間暇がかからないだろうフィリピン人材は、大きな魅力なのではないでしょうか。

 

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鈴木廣政

ハロハロホーム Founder

GATE of ASSETS 財団 常任理事 

 

ハロハロホーム Founder
GATE of ASSETS 財団 常任理事 

1979年、愛知県生まれ。大原簿記専門学校卒業後、アパレル会社での勤務をへて、2000年、同業種で独立。同年自社ブランドを立ち上げ、卸、直営店舗を展開。その後、海外生産拠点を背景にOEM事業を開始。2005年にフィリピンに行き、1人のタクシードライバーに人生の生き方を考えさせられ、同地にて為替&アテンドビジネスをはじめ、もともとの事業を売却。その後、2007年にコンサル会社、2009年にPR会社を設立。2010年にフィリピンでオフショアのシステム会社を経営するO氏と出会い、同年Hallohallo incの立上げに従事する。
2014年にHallohallo Home incを立ち上げ、不動産売買仲介、管理、リーシング、内装、建築、ストリートチルドレン復学プログラム、人材派遣等、日本とフィリピンの双方にメリットのある事業に従事する。

著者紹介

連載投資すべき国No.1「フィリピン」を取り巻く最新事情

  • 【第1回】 超少子高齢化の日本を「フィリピン人」が救うかもしれないワケ