2019年9月調査 日銀短観 予測

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

大企業・製造業・業況判断DIは▲9程度と13年3月調査以来のマイナスを予測

 

米中貿易摩擦などの負の影響が一段と感じられる内容に

 

非製造業・業況判断DIは大企業・中小企業ともプラス(「良い」超)を予測

 

先行き予測に消費税増税の影響が感じられる内容に

 

 

●9月調査日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIが▲2程度と6月調査の+7から9ポイント程度悪化するとみた。13年3月調査の▲8以来6年半ぶりのマイナスになろう。米中貿易摩擦などの負の影響が一段と感じられる内容になろう。

 

●また、大企業・非製造業の業況判断DIは+18程度とこちらは6月調査の+23から5ポイント程度やや悪化するとみた。但し、非製造業は11年9月調査以降33期連続で「良い」超のプラスになろう。

 

●この予測は、日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(9月調査)やロイター短観(9月調査)などを参考にした。

 

●9月11日に発表されたQUICK短観9月調査の調査期間は8月28日から9月8日である。製造業DIは6月調査の+12から9ポイント低い+3になった。13年3月の▲1以来6年半ぶりの低水準になった。また、非製造業DIは6月調査の+33から6ポイント低下の+27となった。

 

 

●9月12日に発表されたロイター短観9月調査の調査期間は8月29日から9月9日である。9月調査400社ベースの製造業DIは6月調査から13ポイント低下し▲7となった。13年3月の▲11以来6年半ぶりの低水準になった。一方、200社ベースの製造業の業況判断DIは6月調査の+4から6ポイント悪化の▲2となった。こちらは13年4月の▲5以来6年5カ月ぶりの低水準だ。

 

●また、ロイター短観9月調査400社ベースの非製造業DIは6月調査から3ポイント低下し+19となった。また、200社ベースの非製造業の業況判断DIは6月調査の+24から7ポイント悪化の+17となった。

 

 

●なお、9月調査の大企業・製造業の業況判断DIが予測通り▲2程度なら、6月調査の「先行き見通し」+7を9ポイント下回ることになる。事前の予想を上回り、思ったより景況感が下振れたことになる。また大企業・非製造業が予測通り+18程度なら、6月調査の「先行き見通し」の+17を若干上回り、思ったより景況感がやや上振れたことになる。非製造業では概ね前回調査時の先行き予想通りということになろう。+20弱の水準であることは内需の底堅さを示唆する内容であると言えよう。

 

●QUICK短観9月調査の製造業の12月までの「先行き見通し」は+3で9月実績の+3と同じである、非製造業の12月までの「先行き見通し」は+23で9月実績の+27から4ポイントの悪化予想である。非製造業の悪化は、10月に消費税率が引き上げられることを反映していよう。

 

●一方、ロイター短観9月調査の12月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで0と9月実績の▲2から2ポイント改善の見込み。一方、製造業・200社ベースで▲4と9月実績の▲2から2ポイント悪化の見込み。非製造業・400社ベースの12月までの「先行き見通し」は+10と、6月実績の+19から9ポイント悪化の見込み、非製造業・200社ベースの12月までの「先行き見通し」は+9と、9月実績の+17から8ポイント悪化見込みである。こちらも10月に消費税率が引き上げられることを反映している数字であると言えよう。

 

●日銀短観の大企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業で9月実績比2ポイント改善の0程度、非製造業は9月実績比7ポイント悪化の+11程度と予測した。

 

●9月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲7程度と6月調査の▲1から6ポイント程度悪化すると予測した。非製造業は6月調査の+10から8ポイント程度悪化し+2程度になるとみた。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。

 

●なお、中小企業・非製造業の業況判断DIは13年12月調査で92年2月調査以来のプラスにようやく転じた後、14年12月調査を新しい調査対象企業(DIは+1)でみると、この9月調査が予測通り+2程度のプラスになれば、24期(6年間)連続マイナスではない状況が続くことになる。このマイナスではない状況の連続記録は、87年9月調査から92年6月調査の20期連続というバブル期につけた最長記録を4期(1年間)上回ることになろう。雇用吸収力の大きい非製造業の業況判断DIの底堅さが、好調な雇用状況につながっていよう。

 

●参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が6月調査42.7、7月調査42.7、8月調査40.9と景気判断分岐点の50をかなり下回る水準での推移が続いている。一方、非製造業は6月調査45.1、7月調査46.6、8月調査44.7となっている。景気ウォッチャー調査の動きからは、弱い製造業に比べ非製造業の相対的な底堅さが感じられる。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

 

●日銀短観の中小企業・製造業の業況判断DIが▲7程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」の▲5より2ポイント悪かったことになる。事前の見通しより悪化したことになろう。また中小企業・非製造業が+2程度と予測通りなら、6月調査の「先行き見通し」+3を1ポイント下回り、こちらも景況感が事前に思ったよりも悪化したことになろう。

 

●日銀短観の中小企業・業況判断DIの12月までの「先行き見通し」は、消費税増税実施後の時点を予測するということで慎重な回答が多くなるように思われる。製造業で9月実績比4ポイント悪化の▲11程度、非製造業は9月実績比10ポイント悪化の▲8程度と予測した。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみるというクセも考慮した。

 

●2019年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+6.5%程度と予測した。6月調査の同+7.4%からは伸び率が鈍化しそうだ。法人企業景気予測調査などの他の統計の設備投資計画や、過去の修正パターンなどを参考にした。

 

●2019年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比▲5.7%程度と、6月調査の同▲9.3%から上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があることなどを参考にした。

 
<9月調査日銀短観・予測値>

 

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年9月調査 日銀短観 予測』を参照)。

 

2019年9月12日

 

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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