大学教授が解説「70歳までに2億円を築く」科学的な株式投資術

「人生100年時代」という言葉もすっかり定着した感がありますが、では実際に、生涯安心して生活できる金融資産を築くにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、年代ごとに達成しておきたい目標金額と、それを実現する株式投資の具体的な手法を見ていきましょう。本記事は、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授の榊原正幸先生が、人生100年時代の資産形成に役立つ、堅実で科学的な株式投資術をわかりやすく解説します。

株式投資は20代のうちに始めればベスト

今回は、「人生100年時代に備えるお金の基盤作り」という視点から、株式投資による資産形成の長期的戦略についてまとめておきます。そうすることで、お金の面での「人生設計」の理想形を考えてみようと思います。

 

(1)いつから始めるか?

 

まず、株式投資は何歳から始めるのがいいのかですが、私の経験から言いますと、早くて20歳から、遅くて30歳からといったところです。つまり、株式投資は20代のうちに始めればベストだということです。

 

巷では、「小中学生の子供にもファイナンシャル教育を!」などと言って、まだ働いてもいない小さな子供に株式投資を教えようといったことを主張する向きもあるようですが、私はそれには賛成できません。小中学生のような子供にファイナンシャル教育を授けると、ともすれば「人生、お金がすべて」といったように勘違いしてしまう子供が出てきてしまうからです。

 

お金以外にも、人生で大事なことはいくらでもあります。健康・社会的信用・家族・友人・趣味・仕事を通じた社会貢献・・・こういった大切なことと合わせて、お金のこともバランスよく、20歳を過ぎたら考えていくべきことだというわけです。子供のうちは、学校で勉強したり運動したり友達と遊んだりして、すくすくと育つのが一番です。お金のことは、自分が働くようになって、多少なりとも自分のお金が貯まってきてから考えれば十分なのです。

 

(2)30歳から50歳までは、資産増殖期

 

そういったわけで、株式投資については30歳までに初心者マークがはずれれば、とりあえずよしとするという感じです。投資資金は30歳の時点で300万円あれば上出来でしょう。

 

そして30歳から50歳までが、「アクティブ投資」と「低PBR投資」で資金を積極的に増殖させる時期です(「PBR」とは「株価純資産倍率」の略称で、その計算式は「株価÷1株当たり純資産(BPS)」です)。

 

本連載の手法に愚直に従って地道に頑張れば、平均して年率で10%の利回り(税込みで12.5%の利回り)を狙うことは決して夢ではありませんし、それが実現できればかなり上出来でしょう。

 

たとえば30歳の時点において300万円でスタートして、株式投資を続けながら、毎月5万円を貯めていき、毎年末に(5万円×12ヶ月=)60万円を投資資金に追加していきます。それを元手に平均して(税引き後で)10%の利回りを達成できれば、複利で計算すると50歳の時点でおよそ5,400万円になります。

50歳から70歳までが「資産の維持・増殖期」

(3)70歳までに「パッシブ投資」へ徐々に移行

 

そして50歳から70歳までが「資産の維持・増殖期」です。50歳から70歳にかけて「アクティブ投資」から「パッシブ投資」へ徐々に移行していきます。この時期は、平均して8%の利回り(税込みで10%の利回り)を目標にします(資金総額が大きくなると、高い利回りを維持するのが難しくなりますし、パッシブ投資の方が、期待利回りが少し低いので、目標利回りを8%としました)。

 

複利の力とはもの凄いもので、50歳の時点でおよそ5,400万円の資金総額は、60歳の手前で1億円を突破し、70歳の時点ではおよそ2億8,000万円になります。ですから少し割り引いて考えたとしても、「70歳の時点で2億円」というのは目標として決して不可能なことではないのです。これが複利の力を駆使できる株式投資の威力なのです。

 

このようなわけで、理想的な目標は「70歳の時点で2億円の金融資産を持っていること」です。そして、70歳までにはすべての資金を「配当利回りが3%(税込みで3.75%)」の株式に切り替えていきます。そうすると70歳の時点で、手取りの受取配当が年額で600万円になります。

 

こうすれば仮に年金がまったく受け取れなくても、未来永劫(えいごう)、可処分所得が600万円(毎月50万円)あるという状態を構築できます。これで100歳まで生きても安心です。手取りの配当(600万円)だけを使って暮らしていけば、元本の2億円はずっと残っているわけですから。

 

なお、70歳までには住宅ローンも完済しておきましょう。また、70歳までには子供も自立しているでしょうから、夫婦2人で住宅ローンもなく、静かな老後を暮らしていくだけであれば、年額で600万円もあれば余裕です。これにさらに(年額120万円~300万円の)年金が受け取れたりすれば、手取りの年収が720万円とか900万円になりますから、まさに「余るくらい」でしょう。

 

しかも、老後に働かなくてもそれだけの年収がある上に、100歳まででも110歳まででも、金融資産総額の2億円は減らないままなのです。老後は、年額600万円~900万円の収入があり、何不自由ない生活をできて、「一生お金持ちのまま」でいられるのです。これぞ、「人生100年時代に備えるお金の基盤作り」の成果です。

60歳の時点で、金融資産が1億円を超えていれば…

(4)「老後の安心」を得つつ、「今を楽しむ」こともできる

 

ここに書いたことは絵に描いた餅のような話にもみえますが、70歳になる前の時点でも、50代後半か60歳の時点で、金融資産が1億円を超えていれば、先行きの「安心」が手に取るように実感できるようになります。「あぁ、このままいけば、老後は安泰なんだなぁ」という、昭和時代の楽隠居のような古き良き感覚を、このご時世にして感じることができるようになります。

 

なお、スタートが遅くて、50歳の時に5,400万円もなくても、1,600万円以上に達していれば、70歳の時点で1億円を突破します。そうすれば、70歳以降は配当だけで年間に300万円を受け取ることが期待できます。そして、年金を普通どおりに(年額120万円~300万円)受け取れると仮定すれば、金融資産残高が2億円ではなく1億円でも、配当と年金を合わせて年額で420万円~600万円は得られますから、それでも十分でしょう。

 

ちなみに、1億円ないし2億円という金融資産総額は一生減らさないのが原則ですが、大きな病気をしたり、何らかの大きな出費が必要になった場合の財源にもなるので、そういう意味でも「老後の安心」を得られます。盤石(ばんじゃく)の態勢を築けるのです。

 

また、株式投資の効用として忘れてはならないのは、「資産を増やしながら、インフレ対策にもなる」ということです。長い人生において、今後もしかすると日本経済が強いインフレに見舞われるかもしれません。すでにインフレは始まっています。そういった場合の備えとしても、資産を株式で保有しているのは有利だといえます。

 

そして、株式投資の究極の目的は、ここに書いたように「老後の安心を自分で築くこと」です。こう言うと、遠い先の老後のためだけにお金を増やしても「今」が楽しくないじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、それは間違いです。株式投資をきちんと実践して、資産を着実に形成していけば、毎月の収入やボーナスを貯金に回す必要がなくなるのです。

 

「毎月5万円は貯めておいて、年末に株式に投入する」ということを先に書きましたから、それを実践するためには、「毎月5万円」の貯金だけは必要になりますが、それ以外は安心してつかってしまって「今」の生活も最大限楽しむことができます。そうやって「今」を楽しむことができるのも、堅実な株式投資を続けていくことで「将来への備えは万全だ」と思えるからです。

 

このように、株式投資を実践し続けることは、遠い将来のためだけではなく「今を楽しむ」ことにも大きく寄与するのです。

株式投資は「10年続けて培った自信」こそ最大の財産

(5)「自信」こそが最大の財産

 

本連載で紹介する投資手法を基軸にして、堅実で科学的な株式投資を「少なくとも10年」続けてください。そうすれば誰にでも「自信」がつきます。それが最大の財産です。

 

最初は少なめの金額で、たとえば100万円から始めたとしても、毎年60万円ずつ追加投入していけば、株式投資を始めてから10年後には金融資産総額は(100万円+60万円×10年+運用益で)1,000万円をゆうに超えてくるでしょう。

 

もちろん、10年後でも金融資産総額は1億円や2億円にはまだ遠いですけれども、「10年続けて培った自信」が最大の財産となるのです。

 

「10年続けて培った自信」があれば(スタートした時の年齢にもよりますが)、「70歳になるまでに1億円(~2億円)を創り上げることはできそうだな」という自信が芽生えてきますから、そうなったらもう安心です。生き馬の目を抜くともいわれる株式市場を相手にしているのですから油断は大敵ですが、自信と安心を胸に秘めながら、「70歳になるまでに2億円」という最終目標に向かって実践あるのみです。

 

最後に、今回書いたことを簡潔にまとめておきます。

 

ここまでのまとめ

〜お金の面での人生設計〜

 

●株式投資を始める年代は20代が理想だが、30代や40代でも手遅れではない。とにかく「始めること」と「続けること」が大切。

 

●50歳までは、「アクティブ投資」と「低PBR投資」で資金を積極的に増殖させる。目標利回りは、手取りで年率10%とする。そして、最初に目標とする資金総額は「50歳の時点でおよそ5,400万円」。

 

●50歳から70歳にかけて「アクティブ投資」から「パッシブ投資」へ徐々に移行させる。この時期の目標利回りは、手取りで8%とする。

 

●複利の力をフルに活用すれば、資金総額は60歳の手前で1億円を突破し、70歳の時点ではおよそ2億8,000万円になる。

この「70歳の時点で2億円以上の金融資産」を築き上げるのが最終目標。

 

70歳までにはすべての資金を「手取りの配当利回りが3%」の株式に切り替え、手取りの受取配当を年額600万円(またはそれ以上)にする。

 

年金をあてにしなくても、70歳からは未来永劫、「手取り年収600万円(またはそれ以上)」が確定する。

 

これで100歳まで生きても安心!

 

これを可能にする科学的で堅実な投資手法は、拙著『現役大学教授が実践している堅実で科学的な株式投資法』で詳しく解説しています。

 

皆さん、一緒に頑張りましょう。10年後、20年後の皆さんの「笑顔」を楽しみにしながら、私もまだまだ走り続けます!

 

 

榊原 正幸

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

 

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科教授

専攻は会計学。1961年、名古屋市に生まれる。1984年、名古屋大学経済学部卒業。1990年、名古屋大学大学院経済学研究科博士課程修了。1997年、東北大学助教授。2001年、レディング大学よりPhDを授与される。2003年、東北大学大学院教授を経て、2004年から現職。

著者紹介

連載会計学の教授に学ぶ、堅実な資産運用としての「株式投資」ノウハウ

本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、PHP研究所、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

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