子どもが文字に興味を持つ1~2歳ぐらいには、絵本の読み聞かせを始めるタイミングです。英語の読み聞かせが入ったCD付きの絵本は、ヒアリング力を鍛えるために役立ちます。本記事では、子どもの英語学習に適した優れた絵本の選び方・探し方や、日常生活シーンでの活用術のほか、幼児英語教育研究家の著者が推薦する英語音声CD付きの絵本を紹介します。

子どもの「ヒアリング力」を鍛えるのに便利な教材

子どもに絵本を見せるのは、文字に興味を示すようになる1〜2歳くらいからでしょう。しかし、英語の読み聞かせが入ったCD付きの絵本に付いているCDは、0歳児から使い続けられるので、ヒアリング力を鍛えるために便利な教材です。

 

親は、CDを流しながら、一緒に絵本を眺めてあげるだけでOK。0歳のころは絵に集中するあまり、音と違うページを見ていることもあるかもしれませんが、それでもかまいません。子どもが興味を持って自分から見たり聞いたりすることが大切です。親は子どもに合わせてあげればよいでしょう。

 

夜寝る前に絵本の読み聞かせをすることがあると思いますが、そんなときにもこの英語音声が入ったCD付き絵本を使います。発音はネイティブのものを聞かせたほうがよいので、親が無理に読んであげる必要はありません。CDを聞きながら一緒にページをめくり、親も一緒に読んでいるのだということをわかってもらえるといいでしょう。

 

誰もが親しめる子ども向けの英語絵本としてお勧めしたいのは、前述のとおり『クマのプーさん』『おさるのジョージ』『はらぺこあおむし』など(以下参照)。洋書店や、インターネット上の書店で英語版を入手することができます。『はらぺこあおむし』は同じ言葉の繰り返しが多く、聞いているうちに自然にフレーズを覚えることができます。歌についてもいえることですが、繰り返し出てくるフレーズを子どもがCDと一緒に言えるよう、タイミングを見て誘導するといいでしょう。

 

良質な英語絵本を選ぶための指標に、アメリカで毎年最も優れた絵本に贈られる「Caldecott Medal」(コールデコット賞)があります。1938年に始まった賞で、内容も絵も親から見て安心、子どもが心から楽しめる作品ばかりです。1988年の受賞作品『Owl Moon』は、日本では『月夜のみみずく』というタイトルで出版され、公文教育研究会が選ぶ良書「くもんのすいせん図書」に選ばれました。コールデコット賞の基準が日本人にも合うことがわかる、一つの例だといえます。

 

もう一つ、有名な絵本作家のDr. Seuss(ドクター・スース)にちなみ「Theodorn Seuss Geisel Award」という賞もあります。コールデコット賞がアート的だとすれば、こちらはユーモアに富んだものが選ばれています。この賞も良質の本を選ぶ指標としてお勧めです。

 

また、『浦島太郎』『かぐや姫』など、日本の昔話を英語に翻訳し、英語の朗読をCDに収めたものもあります。親は英語だけで意味を理解することが難しかったら、日本語版を読んであらかじめストーリーを理解しておくのもいいでしょう。英語のCDを聞いている子どもと一緒に絵本を楽しむことができます。

 

グリム童話やアンデルセン童話、イソップ物語などの世界中で愛されている名作は、YouTubeでアニメーションや幼稚園の先生が読み聞かせをしている動画もあります。英語版の絵本(CD付き)も豊富です。

 

お話を聞くことに慣れてきたら、普段遊んでいるときや食事をするときなどに、CDで音だけ流しておくのもよいかと思います。ヒアリングは頻繁に、大量に音を聞くことが大切です。英語を聞くのが珍しい特別な機会ではなく、日常の一部なのだと感じてもらいましょう。そして、同じ物語を繰り返し聞いてもらえれば、それは子どもの耳に、聞き慣れた音としてスムーズに入っていくはずです。

 

外国の絵本の中には、ボタンを押すと絵本の中のキャラクターがセリフを言ったり、歌が流れたりするものもあります。そういったものも利用して、普段の遊びの中に自然に英語の音を取り入れていきましょう。習っているという意識を持つことなく、英語に親しんでもらうことが重要です。

 

<英語を原作とする絵本(読み聞かせCD付き)

 

『クマのプーさん』(Winnie-the-Pooh, A. A. Milne著)

ディズニーアニメでも知られる、クマのぬいぐるみプーと森の仲間の物語。

 

『おさるのジョージ』(Curious George, H. A. Rey,  Margaret Rey著)

英語圏では古典的名作。日本でもテレビアニメが放映されるなどして人気を博している。

 

『はらぺこあおむし』(The Very Hungry Caterpillar, Eric Carle著)

世界中に読者を持つ人気絵本作家エリック・カールの代表作。あおむしが食べたものに穴が空いているといった仕掛け絵本で、小さい子どもが触って楽しめる。

 

『くまさんくまさんなにみてるの?』(Brown Bear, Brown Bear, What Do You See? Bill Martin Jr.著、Eric Carle絵)

エリック・カールが絵を担当。動物の名前を当てたりクイズをしたり、親子で楽しめる絵本として人気。

 

『おやすみなさいおつきさま』(Goodnight Moon, Margaret Wise Brown著、Clement Hurd絵)

アメリカの子どもなら誰もが読んだことがあるとされる名作絵本。ウサギの子どもが眠りにつくまでの物語で、寝る前に読む絵本として最適。

英語の音声が出るおもちゃや、YouTubeの活用も

1〜2歳になるまでの子どもは、歌を聞いたりテレビを見たりするほか、握ったり触ったり叩いたり、手の触感を楽しむおもちゃで遊ぶのが大好きです。トイザらスなど輸入おもちゃが置かれているお店に行くと、英語圏の子どもが使うような、触ると音の出るおもちゃを見つけることができます。ぬいぐるみのお腹を押すと声を出したり、楽器を叩くと「A、B、C」といった音が出てきたり、そういったおもちゃを与えてあげるのもいいでしょう。

 

子どものころに電話のおもちゃで遊んだことのある人は多いと思いますが、最近のおもちゃの電話は、ボタンを押すとセリフが出てきたり、音楽が流れたりします。その英語版を使えば、Hello!(もしもし)、Who’s speaking?(どちらさまですか)といった表現に、自然に触れることができます。日本語のセリフが出てくるおもちゃの場合、大人がしていることをまねしながら、自分でも道具の使い方を覚えるという目的がありますが、英語を話すおもちゃには、日常的な行為を英語で行うことに慣れるという利点があるのです。

 

子どもが少し大きくなってきたら、YouTubeの動画などをお手本として、自宅で英語アクティビティを楽しみましょう。

 

YouTubeには、世界中の無数のお料理レシピ動画がアップロードされています。「Christmas cake」と検索すると、ケーキの作り方をワンステップずつ丁寧に紹介した動画が出てきます。親は画面を見ながら、子どもは音声も楽しみながら、一緒に作り方を覚え、家庭で実践してみましょう。日本では「クリスマスケーキ」と言えば白いクリームにイチゴを載せたものが一般的ですが、欧米ではドライフルーツやナッツがたくさん入ったシンプルなものをよく見かけます。こういった文化の違いがあることも、英語のケーキ作りの動画を見ているうちにわかってくるはずです。

 

女の子であれば、おしゃれをするための動画に興味を持つかもしれません。インターネットの動画には「上手なネイルの塗り方」「かわいいメイクの仕方」などを教えてくれるものがたくさんあります。小さい子ども向けに、「ディズニープリンセスになるためのメイクアップ方法」というものもあるのです。子ども向けの安全なメイクセットなどを用意して、動画を見ながら家の中でプリンセスメイクにチャレンジしてみましょう。

 

例えばYouTubeで「Frozen Ana Makeup」と検索すると、ディズニー映画『アナと雪の女王』風のメイクをする方法が、「SnownWhite Makeup」と検索すると、白雪姫風にメイクする方法がわかります。子どもの好きなディズニーキャラクターの英語名を調べて検索してみるといいでしょう。「子どものためにやってあげている」というのではなく、親も一緒に楽しんでみることをお勧めします。こういったアクティビティを続けているうちに、次第に「英語のヒアリングをしている」という気負いが薄れ、家庭の中の普段の遊びの一つとして定着していきます。

 

アメリカやカナダでは、ハロウィンのときに大きいオレンジのカボチャを買ってきて、自分で「お化けランタン」(ジャック・オー・ランタン)を作ります。私はこれを娘と一緒にYouTubeの動画を見ながら作りました。削り取った部分を利用して牙をつけてみたり、金具をつけて上から吊るせるようにしたり、いろいろ工夫しながら自分なりのランタンを作ることができるのが魅力です。ハロウィン用のカボチャは大型のスーパーで手に入るほか、インターネットのショップでも見つけることができます。

 

そのほか、最近のアメリカのパーティーで人気なのが「ピニャータ」という手作りのくす玉です。くす玉の中にお菓子や人形を詰め、割ると同時に紙くずとともにそれらが降ってくるという仕掛けで、元はメキシコの遊びのようです。私は子どもの誕生パーティーのときに動画を参考にしてそれを作ってみました。家事、育児の合間に工作をするのは大変ではあるのですが、いつしかそれが自分にとっての楽しみとなり、子どももそういう親の姿を見ながら、自らの創作意欲がかきたてられるようになるはずです。

 

工作にチャレンジしてみたい人には、「グルーガン」をお勧めします。接着剤を熱して溶かし、紙や布、プラスチックなどを容易に接着させることができる道具で、日本でもアクセサリー作りが好きな人の間でよく使われています。例えばインターネットで「hot glue gun ring」と検索すると、このグルーガンを使ってプラスチックやビニールの指輪を作る方法を紹介した動画を見ることができます。動画を見ながら子どもと一緒に英語で工作に取り組んでみてください。クリスマスツリーに飾るオーナメントを作るのも、このグルーガンを使えば簡単です。毎年七夕飾りを作っているならば、クリスマスのオーナメントを作るのも、そうハードルは高くないはずです。

 

 

三幣 真理

幼児英語教育研究家

 

バイリンガルは5歳までにつくられる

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三幣 真理

幻冬舎メディアコンサルティング

グローバル化が叫ばれている昨今、世間では英語力が問われる風潮になりつつありますが、日本の英語力は依然として低いまま。 学校での英語教育も戦後間もない頃からのスタイルとほとんど変わらないのが現状です。 そのためか…

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