ゼロから学ぶ!子に資産を残すための「生前贈与」で大切なこと

平成27年1月より相続税が増税され、早や4年以上が経過しました。増税により、相続税の申告件数は倍増したともいわれており、決して他人事ではなくなりました。そこで最近は、贈与による相続税の節税が注目されています。しかし、そもそも何故、贈与をすることで相続税の節税ができるのでしょうか?

生前から少しずつ資産を移す「生前贈与」という方法

◆贈与による節税が注目されています

 

相続が発生した際は、亡くなったときにある相続財産に対して、相続税がかかります。

 

一方、贈与をすると、自分が死ぬ前に所有している財産を少しずつ移すことができ、かつ、受け取る側(渡す側ではありません)の金額が毎年110万円までであれば、贈与税はかかりません。そのため、継続して複数人に110万円の贈与をしていけば、贈与税を支払わなくても、相続財産を大きく減らすことができ、結果として節税ができるのです。

 

たとえば、110万円を3人に贈与して、それを10年間継続したとすると、合計で3,300万円もの財産を子や孫に移すことができます。そうすると、3,300万円分の相続財産を減らすことができるので、贈与をしなかった場合と比べて、相続税も大幅に減額されることになります。

 

◆贈与ってどうやるの?

 

それでは、贈与をしようとする場合、どうすればいいのでしょうか?

 

実は、「贈与」自体は、そんなに難しくありません。贈与は、「○○円をあげます」「もらいます」といった意思がそれぞれにありさえすれば、口頭で成立します。贈与する財産は何でもよく、また、誰にでも贈与することができます。

 

このように、法律的には、お互いの「意思」がありさえすればよく、契約書を作らないと贈与が成立しないということはありません。

 

◆それなら、贈与をするときに契約書は作らなくてもいいの?

 

上記のように、贈与をする場合、法律的には契約書を作らないといけないわけではありません。しかし、契約書を作っておかないと、あとで色々な問題が起こる可能性が高くなります。

 

たとえば、亡くなった人の通帳に記録されているお金の流れは、実は、相続人であれば調べることができます。そのため、亡くなってから「○月×日に、お父さんの口座から兄さんの口座にお金が振り込まれているけど、これは通帳を預かっていた兄さんが勝手に振り込んだんじゃないの?」などと言われる可能性があるのです。

 

そのときに贈与の契約書がなければ、「これはお父さんがあげると言っていたんだ」といくら主張しても、それを完全に証明することは難しいでしょう。一方、贈与の契約書があれば、きちんとお互いの意思(特にお父さんの「あげるよ」という意思)をハッキリさせることができます。

 

このように、贈与の契約書は、お互いの意思、特に財産を渡す側の「あげるよ」という意思を明確にするために必要なのです。

 

また、不動産の贈与をする場合は、贈与の契約書がないと、そもそも不動産の名義変更をすることができないので、契約書の作成は必須となります。

 

そのほかに、会社経営をしている方が、自社株の贈与をする場合は、契約書がないと贈与の事実が客観的に証明できません。不動産であれば登記により、誰から、誰に、いつ移ったか記録が残りますが、自社株の場合は、ほかに証明するものがありません。また、税務調査で否認されることがないようにするためにも、やはり契約書を作っておくべきです。

「争続」を避けるためにも、署名・日付を忘れないこと

◆贈与の契約書を作るときの注意点は?

 

贈与の契約書を作る際の注意点がいくつかあります。

 

まず、契約書には、お互いに署名(自署)をきちんとしておくということです。もちろん、お互いの名前をワープロで入力して印字していても、贈与自体が成立していれば、契約書としては有効です。しかし、契約書に署名をしておけば、証拠としての効力が非常に高まります。もし、病気などで手が動かせず、契約書への署名が難しければ、実印を押してください。

 

次に、確定日付を貰っておくと、契約書の証拠としての効力がさらに高まります。確定日付とは、「令和○年○月○日に、この文書(今回でいうと贈与契約書)が存在していた」との証明をしてもらうことです。この確定日付をもらっておけば、「後付けで作ったんじゃないのか?」といった指摘を避けることができます。確定日付は、公証役場にて貰うことができます。費用は1通700円で、契約書をもっていけば、誰でも確定日付を貰うことができます。

 

最後に、お互いの「あげます」「貰います」の意思確認がしっかりできるかにも気を付けるべきです(特に「あげます」の方)。たとえば、あげる側が高齢で、すでに重度の認知症になっているような状態では、いくら本人が「あげます」と言っていても、その贈与は有効なものとはいえないでしょう。

 

本人の意思確認ができるかどうかは、契約書をどのように作るか以前の問題です。この意思確認の問題も、あとから「○月○日に、お父さんから兄さんへ贈与をしているようだけど、あのときはすでにお父さんは認知症になっていたんじゃないの?」などと言われる可能性があるので注意が必要です。

 

◆まとめ◆

 

このように、贈与をするときは、どんな場合でも契約書は作っておくべきです。さらには、契約書にお互いに署名(もしくは実印)をしておき、公証役場で確定日付をもらっておくといいでしょう。また、あげる側に認知症などの懸念があるようなケースでは、「判断能力に問題がない」旨の診断書をあらかじめ貰っておくほうが望ましいでしょう。

 

 

ひかりアドバイザーグループ

ひかり税理士法人 

 

ひかり税理士法人 代表社員
 公認会計士・税理士

1956年 京都市生まれ
1979年 同志社大学経済学部卒業
1985年 公認会計士・税理士登録

ひかりアドバイザーグループ 最高経営責任者
ひかり監査法人 代表社員
京都市 監査委員
京都家庭裁判所 家事調停委員
立命館大学大学院法学研究科 非常勤講師

ひかり税理士法人

著者紹介


 

先行き不透明な経営環境、加速度を増す少子高齢化、
人工知能(AI)がもたらす第二の産業革命。
こうしたキーワードで語られる混沌とした経済社会を企業が首尾良く生き抜くためには、
的確な経営意思決定と適切な資産防衛ノウハウが不可欠です。

一方、迅速な意思決定と卓越したノウハウを実践するためには、
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「最適解」によってサポートされる必要があります。
私たちは、各種の課題解決にタイムリーに対応することによって、
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私たちは、このミッションを完遂するために知と技の錬磨を通じて最強のプロ集団を目指しています。

ひかり税理士法人の役職員の合言葉は、「人間、一生勉強」。
弛みのない不断の努力は、先行きを明るく照らし出す「ひかり」でありたいとの願いそのものなのです。

著者紹介

連載税務、会計、経営…税理士が教える「混沌社会」を生き抜くための資産防衛ノウハウ

本記事は、『ひかり税理士法人』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。

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