青色申告で「家族への給与」が必要経費に
あらかじめ、税務署へ届出を提出しておくことにより、所得税の計算上、有利な制度を活用することができます。ただし、この届出に関しては提出期限がありますので、遅れないよう事前の検討・準備が必要になります。
◆所得税の青色申告承認申請書
青色申告とは、簡単にいえば、所得税の申告のための帳簿をきちんとつける代わりに、所得税の計算上有利な制度を活用しようというものです。この制度の適用を受けるために提出するのが、「青色申告承認申請書」と呼ばれる書類になります。
●青色申告承認申請書を提出することによるメリット
・最高65万円の特別控除
・過去の赤字を3年間繰越しできる
・家族への給与が必要経費になる
・減価償却の特例が受けられる
・期末未収入金に対して貸倒引当金を計上することができる
●申請書届出の期限
・クリニック開業時 ⇒ クリニック開業の日から2ヵ月以内
・クリニック開業時以外 ⇒ 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
◆青色事業専従者給与に関する届出書
青色事業専従者給与とは、青色申告しているドクターが診療等に携わっている家族に対して支払う給与をいいます。通常家族に対して支払う給与は必要経費にできませんが、届出を提出することで事業の必要経費にすることができます。
ただし、専従者給与を経費にするためには、青色事業専従者の要件を満たす必要があり、注意が必要です。
●青色事業専従者を満たすための要件
・青色申告者と生計を同一にする配偶者その他の親族であること
・当該年度の12月31日に15歳以上であること
・ドクターの診療等に、6ヵ月を超える期間専従していること
※詳しくは国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」をご覧ください
●申請書届出の期限
・クリニック開業時 ⇒ クリニック開業の日から2ヵ月以内
・クリニック開業時以外 ⇒ 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
「iDeCo」「ふるさと納税」…税金対策は様々
所得控除とは、「ある一定の条件を満たすと所得から控除される金額」のことを指します。代表的なものを挙げれば、「扶養控除」や「配偶者控除」、「社会保険料控除」などです。
所得控除は全部で14種類あり、それぞれ適用できる要件が異なります。ここでは小規模企業共済等掛金控除としてのiDeCo、寄附金控除としてのふるさと納税に関して説明します。
◆個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度です。この制度への加入は任意です。自分で申し込み、自分で掛金を拠出し、自らが運用方法を選び、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受けられます。
掛金拠出時は掛金全額が所得控除の対象になる等、税制上の優遇措置が講じられています。
厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/ideco.html
◆ふるさと納税
「納税」という言葉がついている、ふるさと納税。しかし実際は、都道府県、市区町村への「寄附」です。
一般的に自治体へ寄附をした場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されます。
ふるさと納税では、原則として寄附金から2,000円を除いた額が所得控除の対象となります。さらに寄附した自治体より御礼品ももらえるので、ふるさと納税を利用している方は年々増加しています。
◆まとめ◆
個人クリニックを経営するドクターにも、税金対策はたくさんあります。ただ、法人成りをすることによって、さらなる節税が可能になるケースも多く存在します。この機会に、法人成りについても検討していいかもしれませんね。
ひかりアドバイザーグループ
ひかり税理士法人