つみたてNISAは「割に合わない」とサラリーマンが思うワケ

21日、金融庁がつみたてNISAへの優遇措置として、企業が支給する奨励金の一部を非課税にすることを検討していると時事通信が報じた。「年金だけでは老後資金が足りなくなる」ことが問題視されており、自身での資産運用が促されているが、そもそも運用に当てる資金など捻出できないサラリーマンも少なくない。奨励金への非課税制度は、その打開策となりうるのか? 本記事では少額から利用できるつみたてNISAすらも「現実的ではない」というサラリーマンの実態を紹介する。

30代、年収650万円でも「貯金はゼロ」

「年収が増えるほど、貯金は減っていく気がします。現在、貯金と呼べるものはありません。ゼロ円。銀行の預金口座には20万円ほど残っていますが、クレジットカードの引き落としで18万円ほど消えます。残りの2万円弱で、次の給料日まで頑張るしかない状況です。とても投資に回す余裕などありません」

 

自身の悲惨な財政状況を語るのは、都内在住38歳のA氏(会社員)。結婚4年目で1歳の子供がいるが「貯金はゼロ」で大丈夫なのだろうか?

 

「老後にお金が必要となるのはわかりますが、“今を生きる”のに必要なお金で精一杯です。妻も働いていますが、お互い仕事は順調なので、将来は収入が増えることを期待するしかありません。しかし、その頃には子供の教育費もかかるし、親も介護が必要だろうから、やはり老後のために投資する余裕はないでしょうが……」

 

年収650万円で共働き。世帯年収は1,000万円を超える。なぜ、そんなにお金がないのだろう?

つみたてNISAよりも「出世」のほうが稼げる!?

「居住費は駐車場代込みで約18万円。車のローンもあります。生活は節約をしていないわけではないですが、週に1回の飲み会と半年に1回の家族旅行、そして盆暮れの帰省で残りはほとんど消えてしまいます。飲み会は仕事上の人脈作りの意味もあるため、外せません。もう少し家賃の安い部屋に引っ越すことも考えましたが、やはり仕事のパフォーマンスを考えると……生活レベルは落としづらいです。残りは家族旅行ですが、これがなくなると、もう何のために働いているのか?という気分になります」

 

収入はあるわけだから、身の丈にあった生活をすれば、もう少し老後のために投資をする余裕も出てきそうではあるが、A氏は否定する。

 

「つみたてNISAなどの制度も知っています。でも、ずっと積み立てて、20年後、58歳になったときに増えていたとして、よくて利回り3〜4%、年間上限40万円だから、20年間で800万円投資しても複利で1,600万円くらいにしかならないでしょう。はっきり言って、損ですよ。仕事のパフォーマンス次第で、年収はこれから45歳までの7年間で300万円くらいは変わりますから。そうすると、そこから58歳まで、それ以上給与が上がらないとしても(上がるだろうけど)4,200万円も差が出る。だったら、今は投資よりも自身のパフォーマンスを上げることに集中して、仕事を頑張ったほうがいい」

「会社の業績アップ」に投資するサラリーマンたち

年功序列、終身雇用は崩れたと言われるが、世の中にはA氏のようなサラリーマンも多い。自身の資産形成を直接的に行うのではなく「会社の業績アップ=自身の収入アップ」と信じて、日々、懸命に働いている。

 

“優秀な”サラリーマンであるには「お金」がかかる?
“優秀な”サラリーマンであるには「お金」がかかる?

 

会社が競合との競争に勝ち、自身が社内での出世競争に勝つのであればいいのかもしれないが、それを達成できるのは一握りの勝ち組である。負けてしまったときのリスクはどうするのか? 資産を形成するには、もう間に合わないかもしれない。

 

だからと言って、投資のための「節約」に時間と労力を割くことを嫌がるサラリーマンは多い。そこで今回報じられた「奨励金の一部非課税制度」は重要となってくる。会社がメリットを考えて導入するのであれば、それをきっかけとしたい層は少なくないはずだ。

国や金融機関に「お金を巻き上げられるのでは?」

本業での業績アップにしか興味のなかった、ある意味“優秀な”サラリーマンが「どのファンドが有利だろう?」と投資の世界に参戦してくる。積立投資の仕組みや、投資対象の見極め方などを学ぶことによって、本業を見る視点も変わる。ファイナンスに強くなることで、起業や投資家への転身ができる人も出てくるだろう。A氏のように「飲み会」で人脈作りをするような人種も、「投資勉強会」などで新たな人脈を開拓するようになるかもしれない。

 

投資を学び、実践することは、それ自体が楽しみのある趣味的行為にもなる。実際、海外のビジネスマンが集まると「投資」に関する話題がメインテーマとなりやすい。その点、日本人の「サラリーマン」は、比較するとやはり驚くほど無頓着だ。

 

日本人は特に、投資を推奨されるほど、「国や金融機関に金を巻き上げられるのでは?」と疑心暗鬼になってしまう人が多い。もちろん、お金の話であるわけだから、その疑い深さは大切だ。投資案件を勧めてくる人は、ほとんどがポジショントークだと思って間違いはない。加えて「そもそも投資に回すお金など一銭もない」という状況では、興味が持てなくても仕方がない。

 

しかし、一度興味を持って動き出せば、なかなかに面白いものであるし、上達もする。ビジネススキルとして、本業へも好影響が出やすい。ここまで国が推奨してくるとなると、そのうち半ば強制的に参戦させられる……ということもないとは言い切れない。であれば、早めに上達しておいて「勝つ」という戦略も考えておくべきだ。

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している(写真は編集長の立本正樹)。

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