外国人投資家の売買シェアは実に60%以上!?
日本の株式市場に大きな影響力を与えるのが外国人投資家の動向です。日本の株式市場は時価総額で世界3位の規模(※2015年11月現在)を誇り、その規模の大きさや流動性の高さから、外国人投資家の売買シェアが高くなっています。
世界の企業と比較しても引けを取らない知名度や売上規模を持ったグローバルな日本企業も多く、企業価値の向上も外国人投資家の売買シェアが高まっている理由の一つと言えます。
外国人投資家は、政府系ファンド、海外金融機関、年金基金などの長期運用を目的とした投資家もいれば、ヘッジファンド、超短期で売買を繰り返すファンドなど、その実態は多彩です。
以前から外国人投資家の動向が注目されていましたが、2013年にはアベノミクスによる脱デフレを背景に海外資金が流入しました。現物株式における外国人投資家の売買シェアは60%を超え、投資家別では最大となり、株価形成に大きな影響力を持っています。
以降、外国人投資家は、おおむね60%程度の売買シェアを維持しており、2015年9月には過去最高の72%を超える週も見られました。同時期の株価の値動きの荒さから、投資機会と見た海外ヘッジファンドなどが活発に動いた結果と言えます。
大量売買を行う外国人投資家に翻弄される個人投資家
売買シェアが拡大した理由の一つに、コンピューターを駆使して、高速・高頻度に取引するファンドの存在が挙げられます。彼らは売り、買いの両方の注文を出し、小刻みな売買を繰り返し、利ざやを積み上げるスタイルを持っています。
たとえば、「HFT(高頻度取引)」という手法があります。ハイスペックのコンピューターを駆使し、1000分の1秒以下という、人間では不可能な速度で自動発注を繰り返して大量に売買する取引です。超短期での狭い利ざやに照準を絞り、資金の回転率を上げて利益を積み上げていきます。
そのような自動的に大量売買を行う取引システムの登場を機に、板情報を読みながら投資をしていた個人投資家の多くが、投資スタイルを変更するか、撤退などの選択を迫られました。
このような状況のもと、日本の個人投資家からは「せっかく投資を始めたのに乱高下に耐えられない」という声も聞かれます。外国人投資家の大きな波に飲みこまれやすい日本の株式市場。個人投資家はその動きに翻弄され、利益を上げるのが難しい状況があることは否定できません。