五輪終了後の不動産投資市場は?
東京都内では競技場や選手村の建設、各種のインフラ投資などが進みました。2012年末に誕生した第2次安倍政権によるアベノミクスもあいまって、景気回復を呼び起こし、都心部の地価の上昇につながったといわれています。
ただ、こうした地価上昇は五輪に対する期待感による一時的なものであり、「五輪終了以降は大きく地価が下落するだろう」という意見があります。しかし、諸外国の事例を見てみると、必ずしも五輪終了後に不景気や地価下落が起きているわけではありません。
たしかに、五輪終了後に景気や地価の下落を経験した国もあります。ただ、近年、先進国で開催された五輪では、軽微な影響こそありますが、大きな景気後退はほとんど起きていません。先進国は経済規模が大きいので、「五輪に対する期待による上昇分」「終了による影響」なども、経済全体のなかに吸収されてしまい、大きなインパクトを残さないからだとみられています。
特に日本の場合、都心部の地価上昇は、開発や人口集中、インバウンドによる商業地の活性化など、2020年東京五輪とは関係ない要素が要因だとされています。そのため、五輪終了後に景気後退や地価の下落が多少起きるとしても、その影響は限定的なものになる可能性が高いでしょう。
「都心部」と「郊外の再開発地域」に期待
ただ、2020年の五輪終了後を考えたときに、全国一律ですべての不動産が安心して投資をできるというわけではありません。残念ながら利便性に欠けたり、過疎化が進んでいたりする地域の不動産は、五輪とは関係なく地価が下落し、賃貸物件で空室が増えたり、賃料が下がったりする可能性が高いのです。
その一方で、東京はオリンピック終了後も各所で再開発が進みます。地方の過疎化が進めば進むほど、その分、人口は都心部(東京)に集まる流れが加速するでしょう。人口が集中しても土地そのものが増やせるわけではありません。地方の土地需要が減退していくトレンドのなか、東京などの都市部の土地需要は逆行して高くなる可能性があります。日本中から人口が集まる東京をはじめとした都心部は、今後、より有望な投資対象となるのではないでしょうか。
都心部に近い郊外エリアのなかでも、再開発が進んで利便性が高まっているエリアは、人口増加の傾向にあり、不動産投資の対象としておすすめできます。都心部の物件が、「予算的に難しい」という人は、再開発が進む郊外エリアまで広げて、物件候補に探してみましょう。ただし、郊外物件への投資では、今後、開発が行われない地域も少なくない点に気をつけてください。
東京でも空き家の問題が深刻化し始めています。エリアによってはハズレ物件が多くあるのが現状です。そうしたエリアの物件をつかんでしまわないように、信頼できる不動産会社から、情報をしっかりと集めて、細心の注意を払ってください。
同じエリアでも、物件の良し悪しで評価される
再開発が進んでいる地域でも、駅から離れているような利便性の悪い物件は注意が必要です。最近、高齢者による自動車事故に社会的な関心が高まっています。今後は、免許証を返納し車を持たない生活に切り替える高齢者も増加するのではないでしょうか。そうなると、駅近など公共交通機関へのアクセスがしやすい物件の人気が高まる可能性があります。行政もコンパクトシティを推進しており、今後は、自家用車での生活が前提となっているような物件を選ぶ人が減りそうです。
また、設備に関しても注目してみると良いでしょう。不動産投資で成功を収めている方のなかには、安い中古物件をリノベーションし、相場よりもやや高い家賃で貸し出して成功を収めている人がいます。「新築か」「中古か」には、こだわらないけれど、物件の設備にこだわる入居者が少なくありません。中古のリノベーション物件という選択肢も頭に入れて、不動産投資を検討していきましょう。