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フィリピンやマレーシアが今年に入って利下げに転じる中、インドネシアは17年9月の利下げを最後に、利上げか据え置き姿勢となっています。それでも、最近の経済指標などから判断して、インドネシアも次回の金融政策決定会合では利下げに踏み切る可能性が高いと見られます。ただ、据え置きの要因が残ることにも注意が必要です。

インドネシア金融政策決定会合:市場予想は大半が利下げを見込む

インドネシア銀行(中央銀行)は2019年7月18日に金融政策決定会合の開催を予定しています。市場予想では、政策金利を現在の6.00%から5.75%へ引き下げるとの見方が大半となっています(図表1参照)。

 

[図表1]インドネシアルピア(対ドル)と政府金利の推移 日次、期間:2017年7月16日~2019年7月16日
[図表1]インドネシアルピア(対ドル)と政府金利の推移
日次、期間:2017年7月16日~2019年7月16日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

なお、前回(6月)の会合でペリー・ワルジヨ総裁は、預金準備率の引き下げにとどめ、政策金利は据え置きました。

どこに注目すべきか:新興国、利下げ、ルピア、経常収支、FOMC

フィリピンやマレーシアが今年に入って利下げに転じる中、インドネシアは17年9月の利下げを最後に、利上げか据え置き姿勢となっています。それでも、最近の経済指標などから判断して、インドネシアも次回の金融政策決定会合では利下げに踏み切る可能性が高いと見られます。ただ、据え置きの要因が残ることにも注意が必要です。

 

まず、最近のインドネシアの金融政策を振り返ります。インドネシア中銀は18年5月から、主に通貨ルピア安抑制を背景に利上げを開始しました。ルピア安の背景は、昨年トルコやアルゼンチンの通貨が大幅に下落したことで新興国通貨が全般に不安定となったことや、インドネシアの経常収支が昨年前半まで赤字(経常収支のマイナス、図表2参照)が拡大傾向であったためです。

 

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[図表2]インドネシアの経常収支とGDP(国内総生産)の推移 四半期、期間:2009年1-3月期~2019年1-3月期
[図表2]インドネシアの経常収支とGDP(国内総生産)の推移
四半期、期間:2009年1-3月期~2019年1-3月期
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成


インドネシアに利下げ観測が台頭してきたのは、これらの要因に好転の兆しが見られるためです。例えば、通貨はインドネシア中銀の比較的高水準の政策金利を維持する金融政策運営や、ジョコ政権の外資誘致も徐々に効果が現れているようで、足元ルピア高傾向です。

 

経済指標を見ると、経常収支は依然赤字ながら、底打ちが見られます。また、GDP(国内総生産)成長率を見ると、5%台の水準は維持していますが、徐々に成長率が低下しています。さらに、インフレ率は6月の消費者物価指数(CPI)が前年比で3.3%と、インドネシア中銀のインフレ目標中央値の3.5%とほぼ一致しています。

 

 


外部要因として、米国が金融緩和姿勢に転じつつあることもインドネシアの利下げ姿勢をサポートしています。対外債務の水準が相対的に高いインドネシアにとり、外部要因の改善はインドネシアに大きな支えと見られます。

 

市場の大半が予想するように、18日の会合でのインドネシア中銀による利下げの決定がメインシナリオと見られます。ただ、据え置きの可能性もある点に注意が必要です。

 

まず、インフレ率ですが、食糧・エネルギーを除いたコアCPIも水準は3.3%と総合CPIと同じですが、昨年から緩やかながら上昇傾向が続いているのはやや気がかりです。


次に、影響が大きい米国の金融政策ですが、インドネシア中銀は米金融当局がどの程度金融緩和に積極的かを確認する可能性もあります。米連邦公開市場委員会(FOMC)は7月末に開催予定と、インドネシアの会合の後に控えているからです。

 

仮に、FOMCの結果、利下げは1回のみというトーンが表明された場合、インドネシアの利下げは見直しを迫られる可能性もあるため、様子見も一応選択肢としています。
 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『インドネシア、次回の金融政策決定会合で利下げに踏み切るか』を参照)。

 

(2019年7月17日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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