インデックスファンドとアクティブファンドにはそれぞれメリットがありますが、積立投資の観点から見た場合はどうでしょうか? それぞれを検証してみましょう。※本記事は、コモンズ投信株式会社代表取締役社長兼最高運用責任者の伊井哲朗氏の著書、『97.7%の人が儲けている投資の成功法則』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、長期投資を成功させるポイントを解説します。

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低コストが魅力の「インデックスファンド」だが…

ここ数年来の傾向として、インデックスファンドが人気を集めています。なかには「インデックスファンドにあらずんば投資信託にあらず」といった主張をされる方もいるようですが、インデックスファンドなら何でもいいという風潮は、さすがにバランスを欠いた議論ではないでしょうか。

 

なぜインデックスファンドをそこまで支持するのかというと、多くのインデックスファンド支持派がまずおっしゃるのは、「コストが安いから」ということです。

 

たしかに、インデックスファンドはそもそも調査コストがかかりませんから、運用管理費用がアクティブファンドに比べて安く設定されています。最近では、インデックスファンドであればお金が集められると考えたからかどうかわかりませんが、非常に低廉なコストのインデックスファンドを設定する投資信託運用会社も出てきました。

 

もともと、インデックスファンドではETFが運用管理費用の安さで注目されていましたが、最近はETF以外のインデックスファンドでも、ETF並みの運用管理費用で運用されているものがあります。

 

「リターンを1%上げるのは非常にむずかしいし、優れたファンドマネジャーを個人が見分けるのは不可能に近い。けれども、アクティブファンドに比べて運用管理費用が1%安いインデックスファンドを探すことはできる。運用管理費用を1%節約することは、運用利回りを1%上げるのと同じ効果だ」

 

コストももちろん大切ですし、長期の運用になればなおのこと重要性は増します。しかし、私自身は、インデックスファンドかアクティブファンドかではなく、どちらも必要との考え方です。そもそも、まともなアクティブファンドが市場原理を働かせる(良い会社が買われて、悪い会社は売られて産業の新陳代謝が行なわれる)ことで、はじめてインデックスのパフォーマンスも上がるはずだからです。市場がすべてインデックス投資家ばかりになると、ゾンビ企業が増え続けることになってしまいます。産業界の新陳代謝や市場の活性化の観点からも、良質なアクティブファンドは必要だと考えています。

 

また、もちろん投資対象としてより高いリターンを得られる可能性があるのはインデックスなのか厳選されたアクティブの銘柄群なのかという視点もありますが、もうひとつ、運用で絶大な効果をもつ「積み立て」に向いているのはインデックスなのか厳選された銘柄群なのか、という視点もあると思います。ここではまず、後者の積み立てに向いているのかどうかという視点から、インデックスファンドよりもアクティブファンドのほうがいい、ということを書いていきます。

 

たとえば、積立投資をしているうちにマーケット環境が悪化して基準価額が大きく下げたとき、そのまま積立投資を継続できるかどうかです。インデックスファンドは、「日経平均株価やS&P500などのインデックスと、ほぼ同じ値動きを実現できるポートフォリオを組んで運用される投資信託」です。

 

たとえば日経平均株価に連動するインデックスファンドを買えば、日経平均株価に採用されている225銘柄に分散投資しているのとほぼ同じ投資効果が得られるわけですが、果たしてそういう銘柄に投資して、長期間、積立投資をするモチベーションが維持できるでしょうか。

 

私は、なかなかむずかしいのではないかと思います。たとえば、日経平均株価に連動するインデックスファンドに投資をしていたとすると、日経平均株価は225社に幅広く投資されていますが、日経平均株価が下落するときは、日本の景気が悪くなっているタイミングだったりします。当然、テレビや新聞などのメディアは日本経済が悪化していることを報道しています。これでは当分、景気は持ち直しそうもないなという気分になりますから、日経平均株価を利用して投資を続けることに躊躇したくなります。

 

リスク軽減の努力が払われる「アクティブファンド」

そもそもインデックスファンドは、運用者の顔もわかりませんし、想いはまったく込められていません。さらに、インデックスファンドは常にほぼ全額株式市場に投資されていますので100%リスクに晒されたままです。どうしても心が折れやすくなり、投資を止めてしまうことにつながっていきます。

 

一方で、アクティブファンドの場合は、日本の景気が悪いことでの影響は同様に避けられませんが、その打撃を軽微にする努力が払われます。景気の影響を受けにくい銘柄に入れ替えたり、現金の比率を引き上げたり、さまざまな工夫が行なわれるわけです。

 

また、インデックスファンドとの大きな違いとしては、運用者の顔が見え、想いもわかります。運用哲学に共感でき、運用者の顔が思い浮かび、ピンチの場面でもその対応をしっかりと説明してくれるファンドであれば、苦しい局面を一緒に乗り越えられることもあると思います。こうした点は、アクティブファンドのほうが優れていると思っています。

 

ちなみにコモンズ投信の場合、「運用哲学に共感」という部分を重視しているため、ファンドを購入してくださっているお客様との接点を、できるだけ増やすような仕組みをつくっています。

 

それはセミナーであったり、月次のレターをはじめとする情報開示だったりするわけですが、これらをできるだけわかりやすく、運用者がいま、何を考えているのかを伝える工夫をしています。とくに、マーケット環境が悪化して、運用成績が低迷しているときほど、運用の現状に対する説明は綿密に行ないます。基準価額が大きく下げれば、当然のことですが投資家は非常に不安になります。その不安を取り除くことも、投資信託運用会社の大切な役割だと思います。

 

もちろん、これはコモンズ投信に限ったことではなく、他の直販系といわれている投資信託運用会社の多くが、工夫を凝らしているところでもあります。投資信託運用会社が投資家の立場に立ち、可能な限り距離を縮めることが長いお付き合いにつながるとともに、長期の積立投資のモチベーションとなり、最終的に投資家の大きなリターンにも反映されていくのです。

 

 

伊井 哲朗

コモンズ投信株式会社 代表取締役社長/最高運用責任者

 

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本連載は、特定の金融商品の推奨や投資勧誘を意図するものではありません。また、投資にはリスクがあります。積立による購入は将来の収益を保証したり、基準価額下落時における損失を防止するものではありません。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、日本実業出版社、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

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