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2016年、日本の株式市場は年央までに2度も大きく下落
積立投資のメリットを、わかりやすい事例で紹介しましょう。
習いごとなどと同じで、積立投資をスタートさせる月も、1月が多いようです。ボーナスが出た翌月ということもあるのかもしれませんし、「1年の計は元旦にあり」というように、年の初めは新しいことをスタートさせるのに適したタイミングなのかもしれません。
積立投資の効果を知るうえでとても良い事例があります。2016年の国内株式市場です。2016年1月から積立投資を始めた人は、スタートした直後から後悔の念に駆られたと思います。日経平均株価が急落したからです。
2015年12月の大納会で、日経平均株価の終値は1万9033円でした。それが、年明け1月4日に中国の経済指標が悪化したことを受けて、その日の終値は1万8450円まで大幅に下落しました。チャイナショックです。その後も株価は下がり続け、2月12日の終値は1万4952円となりました。
そこからは徐々に回復する兆しも見えてきましたが、円高の影響で日本企業の業績悪化懸念が広まり、株価は一進一退が続きました。そして、6月にはイギリスの国民投票でEU離脱が決定したことから、日経平均株価は6月24日終値で、再び1万4952円まで下落しました。
このように、年央までに2度の大きな下落を経験した日本の株式市場ですが、11月になって米国大統領選挙が行なわれ、周囲の予想を覆してトランプ大統領が誕生すると、彼の政策に対する不安から再び株価は下がり、11月9日の日経平均株価は前日比で1000円超下げました。
ただ、トランプ大統領については、その実力に関して疑問符が付いたものの、打ち出された政策はマーケットにとって好感されるような内容だったことから、いわゆるトランプラリーが始まり、2016年12月30日の日経平均株価は1万9145円で1年の取引を終えました。
積立投資を続けた人が得た「大きなプラス」
この間、あるネット証券会社では年明けから4月前後までに、投資信託の月次の積立金額が1割以上減りました。それだけ積立投資を止めた人が大量に出たということです。積立投資を止める一方、新たに始める人もいますから、通常のペースであれば、これだけ短期間のうちに1割も解約する人が出ること自体、極めて異例です。しかし、それが現実になるほど、2016年初頭のマーケットは先行きが不透明でした。
もちろん解約したくなる気持ちはよくわかります。2016年1月から積立投資を始めて、「さあ、頑張って資産を増やすぞ」と意気込んだものの、たった半年間で2割、3割という損失を被ったら、続けていくモチベーションが落ちてしまいます。「積み立てていけば大丈夫」と事前に学習して心の準備をしていたとしても、いざ現実に自分の大事なお金が目減りすれば、心が揺らぎます。解約したくなる気持ちは、痛いほどわかります。
しかし、そのときに解約をせずにひたすらコツコツと積立投資をし続けたら、どういう結果になったでしょうか。
2016年1月にコモンズ30ファンドをまとめて買い、それを年末まで持ち続けた場合のリターンは4%でした。決して良い成績とはいえませんが、年末にかけてトランプラリーにより株価が一気に持ち直してきたことが奏功してプラスで終えることができました。
一方、2016年を通じて積立投資で買い続けてきた人のリターンは、1月にまとめて投資をした人の4%を大きく上回る13%だったのです。チャイナショック、ブレクジットショックという、2度にわたる株価の暴落を受けたにもかかわらず、結果は大きなプラスでした。
基準価格が急落したら、買い付けた受益権口数を見る
なぜ、そのようなことが起きたのかというと、定額購入を続けていたからです。投資信託の積立は基本的に定額購入になりますから、株価の暴落などで基準価額が大きく下げたときに購入すると、基準価額が下落する前に買った場合に比べて、より多くの口数を買い付けることができます。2016年は、そういう大きな基準価額の下落が2度もあったので、そのときにかなりの口数を購入できたということです。
買い付ける口数が多くなればなるほど、基準価額が戻したときには、より大きなリターンが得られることになります。
たとえば、1万口=1万円の基準価額で1万口分の投資信託を買った翌月、マーケットが大暴落し、1万口の基準価額が3000円になったとします。このときに、1万円でこの投資信託を買うと、購入口数は3万3333口になります。すると、この時点で保有している口数は、最初の1万口と合わせて4万3333口になりますから、その後、再び基準価額が上昇して1万口=1万円になったら、保有している投資信託は4万3333円の価値を持つことになります。
これは極めて極端な事例ですが、「基準価額が下げたときに、より多くの口数を買うことができる」ため、定額購入を続けると、次の上昇局面ではより早い段階で収益をプラスにできるのです。
実は、こういう経験を数多く積み重ねていくことによって、マーケットの低迷によって基準価額が下落したときの耐性、すなわち腹の据わり方が変わってきます。うまくいった経験したことのない人が危機に直面すると、ひたすら狼狽してしまうのですが、過去に基準価額の下落と、そこからの回復を経験していると、下落したときでも「これで安いところをしっかり買えるな」と思えるようになれます。良い意味での鈍感力が身に付くのです。
したがって、基準価額が急落したようなときは、「基準価額」を見ずに、買い付けた受益権口数を見ることが、積立投資を続けるコツです。たしかに基準価額は下落し、それによって評価益が目減りしたり、場合によっては評価損が生じたりしますが、受益権口数だけは着実に増えています。それも、基準価額が大幅に値下がりしたときほど、より多くの受益権口数を買えているのですから、考えようによっては、暴落ほどチャンスともいえるのです。
このように書くと、「投資信託運用会社が自分に都合の良いことを言っているだけでしょ」と思う人もいるでしょう。また、積立投資を始めたばかりの投資初心者の方にとっては、いくら「大丈夫ですよ」と言われても、自分が保有している投資信託の基準価額が大きく下がれば、間違いなく狼狽するでしょう。
その場合は私たちのセミナーに参加してみてください。セミナーの最後に質問の時間を設けているのですが、たまたまマーケット環境が悪いときに開催すると、初心者の方から「このまま続けていて本当に大丈夫なのでしょうか」といった質問が出てきます。セミナーには、すでにコモンズ投信で積立投資を始めてそれなりの経験を積んだ方もいらっしゃっており、私が答える前に、そういう方が「大丈夫です。私も同じ経験をしましたが、安いところでたくさん買えたお蔭で、いまはきちんとリターンが出ています。止めたらダメです。続けることが大事です」などと答えてくれるのです。
そういう意味では、積立を続ける仲間をもつこともお勧めです。投資環境が悪化して、積立の継続に心が折れそうになったとき、仲間がいればお互いに励まし合って続けやすくなります。セミナーに参加し、帰りに少し感想などを話してみて、その後はSNSでつながるなどして、つながりをつくっていくのは長く継続できるコツだと思います。また、当社自身もSNSでの情報の伝達に工夫をしたり、お客さまの声をシェアさせていただいたりしていますので、参考にしていただければ幸いです。運用会社やそのお客さまと「つながり」を持つことは資産形成に大切なのです。
伊井 哲朗
コモンズ投信株式会社 代表取締役社長/最高運用責任者
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