ストレス?脳の病気?「めまいの原因」をタイプ別に自己診断

耳鼻咽喉科渡辺医院の院長であり、めまい・耳鳴り・片頭痛の治療を行ってきた渡辺繁氏の著書『本当は怖い めまい・耳鳴り』より一部を抜粋し、めまいの原因をタイプ別に解説します。

めまいの危険度チェック!どんなときに起こるのか

皆さんが感じるめまいは、どんなときに起こるものでしょうか。めまいの発作は、特に前触れなくいきなり起こるパターンが最も多いのですが、いつも決まった状況で同じようなめまいが起こるなら、それも自分のめまいがどういうタイプかを見わける目安になることがあります。

 

朝起きるときにフラッとするというケースは、めまいの中でも、非常に訴える方が多い症状です。また、長時間立ち続ける仕事に就いている人の中には、仕事中、目の前が暗くなったような感じ(眼前暗黒感)がして、急にクラッとすることがあると訴える方もいらっしゃいます。こうしためまいをタイプでいうと、立ちくらみを起こしやすい「起立性調節障害」に当たります。

 

根を詰めて仕事を続け、強いストレスを感じているときにめまいを起こす人もいます。特に、パソコンを使った作業を続けたときなどに、クラッとするめまいや、頭がふらつく感じがしたという訴えはよく聞きます。

 

それだけで診断がつくわけではありませんが、目を酷使していると眼精疲労によって「視性めまい」を起こすことがあります。体のバランスには、耳の機能や脳血管の状態だけでなく、目からの視覚情報も関係しているからです。

 

さらに、特定の動作や状況によって起こるめまいがいくつかあります。めまいの中で最も多いのは、横になったときや寝返りを打ったときにグルグルめまいが起こる「良性発作性頭位めまい症」で、診断やリハビリは必要ですが、危険度の高いものではありません。

女性のめまいは「頭痛」と関係している可能性も

女性に多いめまいとしては、月経中に感じるフワフワするめまいや、閉経後の女性に更年期の症状として表れるめまいもあります。こうした女性のめまいは、貧血やホルモンバランスの問題として片づけられることが多いものです。

 

しかし、私は女性のめまいの場合には、片頭痛との関連も見落としてはならない要素だと思っています。そこで、女性のめまいを診る場合には、必ず「頭痛がすることはありますか?」とお尋ねするようにしています。

 

その理由は、長年、耳鼻咽喉科の医師として診療してきた中で、めまいを訴えて来院する女性の患者さんに、相当の割合で「頭痛持ち」の方がいらっしゃることに気づいたからです。

 

そこで、あらためて頭痛の勉強をし、特に片頭痛にはめまい・耳鳴りを伴うケースが多いということを再認識しました。本来なら、頭痛は耳鼻科だけの領域ではありません。しかし、考えてみると、縦割りの診療科目の中で、「頭痛」を扱う専門は従来あまりはっきりしていなかったのです。

 

最近でこそ頭痛外来や頭痛専門医が増えてきましたが、頭痛持ちの患者さんにとって、「自分が病院の何科に行けばよいか」は、まだまだわかりにくいのではないかと思います。そして、私のような耳鼻科の医師のところに来ても、「頭痛の相談をするところではないし・・・」ということで、黙っていらっしゃるという図式だったようです。

 

実際、「頭痛がすることはありますか?」とお尋ねすると、「えっ、どうしてわかったんですか?」という反応をされることが多く、7割前後にのぼります。

 

患者さんが直接訴えている症状は、めまいや耳鳴りであっても、よく聞くと、「頭痛にもひんぱんに悩まされている」、あるいは「昔ひどい頭痛持ちだった」という方が多いのです。傾向として、比較的若い世代の女性たちだと現役の頭痛持ち、年齢が上になると、今は治まったけれど、かつてよく頭痛に悩まされていて、年を経てめまいに悩まされるようになったというのです。

 

耳鼻科でめまいといえば、医師はまず良性発作性頭位めまい症やメニエール病などを疑います。しかし、めまいはかなりの頻度で片頭痛と密接につながっており、片頭痛である可能性を無視して治療はできないと認識しています。

グルグル、フワフワ…あなたのめまいはどのタイプ?

めまいは、ある程度までは自己診断ができる症状です。ここで、めまいの感じ方と、主に疑われる原因の関係を整理しておきましょう。さて、あなたのめまいの感じ方は、次のどれに当てはまりますか?

 

① グルグルするめまい(回転する感じ)

② フラフラするめまい(左右に揺れる感じ)

③ フワフワするめまい(上下に浮く感じ)

④ クラッとするめまい(目の前が暗くなる)

⑤ 動いていない物が揺れて見えるめまい

 

以下に、それぞれ考えられる病気や原因を挙げていきましょう。ただし、ここで述べるのは、あくまでも「ある程度までの自己診断」の目安です。

 

グルグルする回転性めまいと、フラフラする動揺性めまいの多くは、ほぼ同じ原因によって起こります。症状による危険度などを際立たせるために、かなり単純化していることをご承知おきください。

 

① グルグルするめまい――回転性めまい

 

グルグルする回転性のめまいは、主な原因として、三半規管など内耳の病気が疑われます。具体的には、「良性発作性頭位めまい症」「メニエール病」「前庭神経炎」を含む内耳炎などです。

 

前触れなく突然に起こり、吐き気、耳鳴り、耳が詰まったような感じがして聞こえづらくなる耳閉(じへい)感や、難聴などの症状を伴うことがあります。良性発作性頭位めまい症は、なんらかの衝撃を受けたときに前庭の耳石器からはがれた耳石が、三半規管に入り込んでしまうと起こります。内耳の器官はつながっているので、リンパ液を介して前庭から三半規管に迷い込んでしまうことがあるのです。

 

メニエール病は内耳のリンパ水腫が原因です。内耳のリンパ液が異常に増える理由は必ずしもはっきりわかっているわけではありませんが、メニエール病も前庭神経炎なども、ストレスや自律神経の失調によって免疫力が低下すると起こりやすくなります。

 

こうした内耳の病気で耳鼻科にかかると、薬での治療とリハビリが主体になります。また、片頭痛でも、良性発作性頭位めまい症やメニエール病と同じようなめまいの症状を伴うことが少なくありません。

 

【グルグルする回転性めまいの主な原因】

●トラブルを生じた部位・・・三半規管などの内耳、脳血管

●主な病名・・・良性発作性頭位めまい症、メニエール病、内耳炎、前庭神経炎、片頭痛

 

② フラフラするめまい――動揺性めまい

 

体が左右にフラフラする感じのめまいは、良性発作性頭位めまい症やメニエール病でも起こりますが、「足元がふらついてまっすぐ歩けない」といったケースでは、脳にトラブルが起こっていることも疑われます。

 

具体的には、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や、聴神経腫瘍をはじめ、脳内にできる「腫瘍」などです。体の機能をコントロールしている中枢に原因があるという意味で「中枢性めまい」と呼ばれます。運動機能の中枢である小脳や脳幹で脳梗塞や腫瘍が生じると、うまく歩けなくなってフラフラするわけです。

 

発作は急に起こることも、徐々に症状が強くなってくることもあります。また、手足のしびれや頭痛を伴うことがあります。前庭神経炎やメニエール病、片頭痛などでも、立ち上がれなくなることがあってつらいものです。そして、動揺性めまいだからといって、脳梗塞や聴神経腫瘍の割合が多いというわけでもありません。

 

しかし、体が言うことを聞かずにフラフラするめまいは、一般の方が自己診断で「大丈夫」とはいえない危険なめまいの筆頭だと理解してください。

 

【フラフラする動揺性めまいで注意したい原因】

●トラブルを生じた部位・・・脳

●主な病名・・・脳梗塞、脳腫瘍(聴神経腫瘍)

 

③ フワフワするめまい――浮動性めまい

 

めまいやのぼせは、体が丈夫でない方や年配の方には、わりと起こりやすい症状です。特に、足元に力が入らずフワフワする感じは病後などに多く、体力が低下したり、自律神経のバランスが乱れたりしているときに珍しくありません。カゼや貧血なども、フワフワするめまいの原因となることがあります。

 

【フワフワする浮動性めまいの原因】

●トラブルを生じた部位・・・全身

●主な病名・・・自律神経の失調、カゼ、貧血など

 

④ クラッとするめまい――立ちくらみ、眼前暗黒感

 

急に立ち上がったときなどにクラッと立ちくらみがしたり、ずっと立っていると目の前が暗くなって、意識を失ってしまうこともある。これは、低血圧の方や子どもたちに多く見られる「起立性調節障害」です。

 

起立性調節障害は、異常な部位を特定できない障害ですが、主な原因は血圧の低下や貧血による脳への血流不足です。起立性調節障害の子どもは、立ちくらみのほかにもさまざまな症状を訴えるので、ひとりひとりに適した対処法を考えてあげることが必要です。

 

私は、「ときどき頭痛がする」という起立性調節障害のお子さんには、片頭痛を念頭に置いた治療(頭痛を悪化させない治療)を検討してあげるべきだと考えています。

 

【クラッとするめまいの原因】

●トラブルを生じた部位・・・全身

●主な原因・・・血圧の低下、貧血など

 

⑤ 動いていない物が揺れて見えるめまい――動揺視

 

めまいには、原因が耳や聴神経(前庭神経、蝸牛神経)にはなく、脳梗塞や脳腫瘍でもないタイプもあります。目や視神経のトラブルです。ここは、本当は眼科の先生にご解説いただかないといけないのですが、とりあえずめまいの種類のひとつとして挙げておきます。

 

自分自身がふらついている感じはそれほど強くないけれども、物が揺れて見えるという症状が表れるのは、「動揺視」というめまいの一種です。危険な病気として、脳腫瘍(眼窩腫瘍など)や心臓の病気が疑われます。眼科の病院で診てもらってください。

 

また、目の疲れから起こるめまいに、「視性めまい」もあります。仕事で目を酷使したりしていると、ひどい眼精疲労を起こすことがあります。そのような状態が続くと、人によっては視性めまいを起こしてしまいます。視性めまいの原因はいろいろあって、眼精疲労だけではありませんが、パソコンやスマートフォンの画面を見すぎたりしがちな人は、視力を守る意味でも気をつけたほうがよいと思います。

 

【目に関係するめまいの原因】

●トラブルを生じた部位・・・目、脳、心臓

●主な原因・・・眼精疲労、眼窩腫瘍、心臓病

 

 

渡辺 繁

医療法人社団一医会 耳鼻咽喉科渡辺医院 院長

 

医療法人社団一医会 耳鼻咽喉科渡辺医院 院長 

1951年、東京生まれ。岐阜大学医学部卒業。東大病院分院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を通して、めまい、耳鳴り、難聴、いびきなど多くの症状に接し研鑽を積む。1988年に渡辺医院を開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医の資格を持つ。日本耳鼻咽喉科学会、日本めまい平衡医学会、日本聴覚医学会、日本頭痛学会、日本気管食道科学会所属。めまい・耳鳴りのみならず、耳鼻科の切り口から危険な頭痛を見抜き、片頭痛の治療を行っている。

医療法人 社団一医会 耳鼻咽喉科 渡辺医院
https://miminari-watanabe.com/

著者紹介

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