女性のめまいは「頭痛」と関係している可能性も
女性に多いめまいとしては、月経中に感じるフワフワするめまいや、閉経後の女性に更年期の症状として表れるめまいもあります。こうした女性のめまいは、貧血やホルモンバランスの問題として片づけられることが多いものです。
しかし、私は女性のめまいの場合には、片頭痛との関連も見落としてはならない要素だと思っています。そこで、女性のめまいを診る場合には、必ず「頭痛がすることはありますか?」とお尋ねするようにしています。
その理由は、長年、耳鼻咽喉科の医師として診療してきた中で、めまいを訴えて来院する女性の患者さんに、相当の割合で「頭痛持ち」の方がいらっしゃることに気づいたからです。
そこで、あらためて頭痛の勉強をし、特に片頭痛にはめまい・耳鳴りを伴うケースが多いということを再認識しました。本来なら、頭痛は耳鼻科だけの領域ではありません。しかし、考えてみると、縦割りの診療科目の中で、「頭痛」を扱う専門は従来あまりはっきりしていなかったのです。
最近でこそ頭痛外来や頭痛専門医が増えてきましたが、頭痛持ちの患者さんにとって、「自分が病院の何科に行けばよいか」は、まだまだわかりにくいのではないかと思います。そして、私のような耳鼻科の医師のところに来ても、「頭痛の相談をするところではないし・・・」ということで、黙っていらっしゃるという図式だったようです。
実際、「頭痛がすることはありますか?」とお尋ねすると、「えっ、どうしてわかったんですか?」という反応をされることが多く、7割前後にのぼります。
患者さんが直接訴えている症状は、めまいや耳鳴りであっても、よく聞くと、「頭痛にもひんぱんに悩まされている」、あるいは「昔ひどい頭痛持ちだった」という方が多いのです。傾向として、比較的若い世代の女性たちだと現役の頭痛持ち、年齢が上になると、今は治まったけれど、かつてよく頭痛に悩まされていて、年を経てめまいに悩まされるようになったというのです。
耳鼻科でめまいといえば、医師はまず良性発作性頭位めまい症やメニエール病などを疑います。しかし、めまいはかなりの頻度で片頭痛と密接につながっており、片頭痛である可能性を無視して治療はできないと認識しています。