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「高利回り」「賃貸保証付き」「節税」のワードに注意
日本不動産の常識だけを持って海外不動産を買おうとすると、さまざまな失敗の可能性が生じます。その一つは、「利回り重視による危険な物件の選択」です。
海外の多くの国では高利回りの物件は競争力の低さやリスクの高さの裏返しと考えられていて、不動産投資の上級者はまず手を出しません。ところが日本人の投資家は高利回りに飛びつくので、そこを突いてくる悪徳業者がいるのです。
次に、イールドギャップ重視で海外不動産投資をしようとする人がいますが、これは海外ではまず成立しません。
前述したように、イールドギャップとは物件の利回りから返済金利を引いた数字ですが、海外では日本の金融機関のように低金利で貸してくれるところはありませんし、外国人の立場で借りるのですから、そもそも不利です。しかも、海外ではフルローンはもちろんのこと、物件価格の半分以上を融資でまかなおうとすることも困難です。
そのため、イールドギャップを活かして不動産投資をしようとする考えは、海外では捨てなければなりません。
そして日本人投資家がよく飛びついてしまうのが、「賃貸保証付き物件」。海外不動産投資の常識として、賃貸保証は競争力の低さや売却の難しさの裏返しであることを知っておきましょう。賃貸保証付きという言葉に惑わされやすい日本人に向けて、本来の価値より大幅に利益を乗せて割高な価格で販売する悪質な業者も存在するのです。
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同じく日本人狙いの悪質な業者には、「節税」というキーワードで売り込んでくる者もいます。日本独特の税制を利用して快速減価償却できる中古物件を購入させようとするのですが、節税に大きく注目させて、大幅な利益を乗せて販売するという手法です。割高な価格ですから賃貸収入では赤字になりますが、「節税できるからトータルでは黒字」と言ってごまかします。でもどのくらいの節税になるのかどうかは、最終的にその物件を販売したときの課税額も加味して判断する必要があります。
減価償却については、本書(『海外不動産投資はなぜドイツがいいのかホンネでお話しいたします』)第6章でさらにくわしく解説しますので、そちらもあわせてじっくりお読みください。
キャピタルゲイン:インカムゲイン=7:3が標準
一般に不動産投資のテーマは、次の6タイプです。
①安いタイミングで買って値上がりを取る
②賃貸に出して利回りを取る
③難あり物件をバリューアップして収益性を上げる
④民泊、シェアハウスなど運営方法を変えて収益性を上げる
⑤土地から仕込んで建物を企画・建設する
⑥自主管理、セルフリフォームなどで運営コストを下げる
①から⑥に向かうにつれて難易度が上がります。①と②は低難度、③と④が中難度、⑤と⑥が高難度です。
このうち、物件の所在地が自分の住所から遠いほど、難度の高いテーマは採用しづらくなります。とくに海外の不動産の場合は、①と②しか狙えないと考えたほうがいいでしょう。
言い換えれば、海外不動産投資では「安く買って高く売る」キャピタルゲイン狙いで儲けを出すか、「賃貸家賃を取る」インカムゲイン狙いで利益を得るかの二つしか方法がありません。海外不動産投資をしようと考えるのなら、まずこのことをしっかりと頭に入れる必要があるでしょう。
ちなみに、世界中の投資家がキャピタルゲインとインカムゲインを目指して不動産投資ゲームに参戦していますが、彼らのウェイトは「キャピタルゲイン=7」「インカムゲイン=3」が多いようです。
つまり値上がり益7、賃貸益3が世界の標準であり、日本の不動産投資のような値上がり益0、賃貸益10のような構造は異常です。
まずはこのルールをしっかり頭に置いて、素直に「キャピタルゲインの得られる物件」を探しましょう。「インカムゲインの得られること」は、キャピタルゲインの裏付けでしかありません。
したがって、高利回りに目がくらみ、その物件が将来高く売れるかどうかを見ようとしない日本人投資家は、グローバルな不動産投資の世界では勝ち目がないと言えます。
市川 隆久
株式会社国際不動産エージェント
代表取締役
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