日本の不動産常識=海外不動産の「非」常識⁉ その特殊性とは

不動産投資には特殊な才能やカンは必要ありません。充分な情報を得て比較検討し、論理的にリスクが低いと考えられる物件に投資することが重要なのです。本連載では、30年間のデベロッパー経験を持つ、株式会社国際不動産エージェント代表取締役・市川隆久氏の著書『海外不動産投資はなぜドイツがいいのかホンネでお話しいたします』(とりい書房)より一部を抜粋し、投資対象としてのドイツ不動産の魅力を解説します。本記事では、日本特有ともいえる「不動産常識」について見ていきます。

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日本の不動産常識は海外物件の投資判断には使えない⁉

海外不動産投資の情報を広める活動をしていると、いろいろな「不思議」に出会います。たとえば、日本でなら常識と思える判断が海外物件ではできない場合。具体的な例を挙げると、東京都心の利回り5%物件と、千葉市の利回り5%物件を同じレベルだと思う人は、少なくとも日本の不動産投資を理解している人の中にはいないでしょう。通常は前者は「買い」、後者は「見送り」と判断するはずです。

 

ところが、その同じ人がカナダのトロントやオーストラリアのメルボルンの都心地域で5%の利回りが出る物件を「利回りが低い」と簡単にスルーし、イギリスで千葉市よりも田舎の8%保証付き物件に飛びついてしまうのです。

 

なぜなのでしょうか。海外物件だということで、せっかく培った不動産知識にフィルターがかかってしまうからでしょうか。この例からわかるのは、海外不動産投資のためには、日本の不動産投資の知識がまず基本として備わったうえで、海外不動産のための別個の勉強もする必要があるということです。

 

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それにしても、日本の不動産投資家はあまりにも「利回り」の数字に振り回されすぎます。確かに利回りは儲けの指標として大事ですが、その数字がどこから出てきているかもチェックしなければなりません。利回りに目がくらんで大損をしてしまった人は、国内、海外問わずたくさんいます。

 

利回りが高いということは、反面「元の価格が異様に安い」ということでもあります。その場合、家賃は取れても売却益が出ないということにもなりかねません。何かの理由で物件の値段が水準以上に安いから、物件の価格に比べて家賃が高くなり、その結果として高利回りになることがたくさんあるのです。

 

そのへんを冷静に見つめるためには、まず日本の不動産常識を捨てて、世界の不動産常識を身につける必要があるでしょう。

 

私の知る限り「日本の常識は世界の非常識」と言うべきことがたくさんあり、それが海外不動産投資をやりにくくしている面が多々あるのです。

日本が抱える特殊な不動産の業界構造・融資慣行とは?

日本は先進国の中で、かなり特殊な不動産の業界構造と融資慣行を抱えています。その特殊な部分を簡単にまとめると、次のようになります。

 

【建てすぎ】

新築住宅が需要を超えて供給される状態が何十年間も恒常的に続いており、誰も総量を管理していません。

 

【壊しすぎ】

新築住宅がたくさん売れるようにするために、建物としてまだ使用価値のある中古住宅が人為的に価値を下げられ、スクラップ&ビルドを促進しています。

 

【貸しすぎ】

日本は建物の価値が経年ごとに下がる仕組みになっているため、銀行は土地に対してしか担保がつけられません。それでは担保力が不足してしまうので、借り手の属性に対して融資する慣行が成立しています。その結果、リコースローン、連帯保証人制度という先進国中でも独特な仕組みが発達しました。

 

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そのような日本不動産界の特殊な構造を背景にして、バブル期以降の経済低成長の現実の中で育まれた不動産投資の常識は、日本国内でこそ通用しますが、世界的に見ればかなり非常識なものとなっています。

 

その一つめは、「賃料低下」と「物件価値下落」が不動産投資の大前提となっていることです。アジア人に共通した日本人の新築志向と新築物件の供給過剰により、新築から年数が経った物件は競争力が落ちて賃料が下がります。それに加えてスクラップ&ビルドで建物が減価する分だけ、物件価値も経年とともに下がります。そのことが、「年数が経てば賃料が下がるのは当たり前」「年数が経った物件は価値が下がって当たり前」という日本だけの常識を生んでいるのです。

 

二つめの非常識は、日本の不動産投資が圧倒的にインカムゲイン志向であり、キャピタルゲイン狙いが非常に少ないという点です。なぜそうなるかというと、物件価値が経年とともに下がるため、その下落速度以上に賃貸家賃の取れる物件が投資家から好まれるようになったためです。たとえば一棟アパートのような物件に人気が集まるのは、インカムゲイン重視、利回り重視の結果です。

 

そのような、値上がり益が望めず、インカムゲインしか取れない不動産投資が成り立つ前提になっているのが三つめの非常識で、「驚くほど緩い日本の融資」です。勤め人でもフルローンで物件が購入でき、年利2%以下の低金利で資金調達が可能です。そのおかげで高いイールドギャップ(利回りから返済金利を引いたもの)が実現し、長期保有による賃貸経営型投資ができるのです。

 

 

市川隆久

株式会社国際不動産エージェント 代表取締役

 

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株式会社国際不動産エージェント 代表取締役

1961年生まれ。1984年株式会社リクルート入社。1986年株式会社リクルートコスモス転籍。2004年同社九州支社長。2008年同社千葉支社長。2009年株式会社アイランド東京支店長。2015年独立、国際不動産コンサルタント。2017年株式会社国際不動産エージェント代表取締役。東京外国語大学中国語学科卒業。
25年間、不動産営業・マーケティング・商品企画に従事。その後、海外不動産の販売に従事し独立。世界各国の不動産を視察、販売・セミナー講師を務める。30年間のデベロッパー経験を活かし、独自の不動産マーケティング理論と組み合わせた分析を得意とする。27ケ国78都市の不動産を視察し現在も継続中。

著者紹介

連載日本人投資家にピッタリ!投資対象としてのドイツ不動産の魅力

本連載は、2019年5月15日刊行の書籍『海外不動産投資はなぜドイツがいいのかホンネでお話しいたします』(とりい書房)から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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市川 隆久

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