税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
「毎年同時期に同額だと認められない」は都市伝説
相続税の節税を考えたとき、「贈与(生前贈与)」を検討している人は多いことでしょう。 贈与をする場合も贈与税はかかりますが、年間110万円までの非課税枠があるため、毎年小分けにして贈与することで、贈与税の負担を抑えることができます。
このように、毎年分割して贈与することで贈与税の節税が可能になりますが、一方で「毎年同時期に同額を贈与すると、税務署が認めない場合もあるから注意した方がいいよ」といった都市伝説を耳にすることもあります。
では、このような毎年贈与を継続する場合、税務署から問題視されないためにはどのように贈与すればいいのでしょうか。
毎年贈与を継続する場合の3つのポイント
相続税の節税を目的として「毎年贈与」をする場合、税務署から問題視されないためも、いくつかのポイントを理解しておく必要があります。具体的には、次の3点について、あらかじめ意識しておきましょう。
(1)贈与税がかかる場合・かからない場合
そもそも贈与とは、「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによってその効力を生ずる」契約のことです(民法第549条)。そのため毎年、贈与契約を結び、それに基づいて毎年贈与が行われることとなります。
このとき、毎年の贈与額が、基礎控除額である110万円以下の場合、贈与税はかかりません。そのような場合には、贈与税の申告は不要となります。これは仮に、毎年、同じ時期に同じ金額の贈与を継続していた場合も同様です。
ただし、贈与者と受贈者の間で、毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与する契約が交わされていた場合には、契約をした年に、「定期金給付契約に基づく定期金に関する権利(10年間にわたり100万円ずつの給付を受ける契約に係る権利)」の贈与があったものとみなされます。
つまり、このような場合には総額1,000万円(100万円×10年分)が契約した時に贈与されたものとみなされて、贈与税がかかってしまうので注意が必要です。
(2)贈与税を課税する場合の立証責任は「税務当局」にある
上記(1)の「ただし書き」のケースで、仮に税務当局が総額1,000万円に対して贈与税を課税しようとしたとしましょう。その場合には、“税務当局側”が1,000万円の贈与があった事実(課税要件事実)を明らかにしなければなりません。
つまり、贈与者と受贈者との間で、当初から総額1,000万円を贈与する契約(約束)があったことを立証する責任は、税務当局側にあるということです。
税務当局としても、単に毎年、同時期に、同額が、継続的に贈与されているという形式のみをもって、総額1,000万円の贈与があったと認定することはできません。あくまでも、総額1,000万円を贈与するという贈与者の「意思表示」と受贈者の「受諾」があったことを明確にする必要があるのです。
(3)贈与実行時の注意点
上記(1)および(2)を踏まえたうえで、同額の現金を毎年連続して贈与する場合には、「その贈与は一過性のものなのか」、それとも「一定額を贈与する約束のもとでそれを分割で履行しているのか」によって、贈与税の課税関係が異なるということをおさえておきましょう。
贈与者と受贈者との間において、「毎年100万円ずつ10年間にわたって総額1,000万円を贈与する」といった契約書等が存在しなければ、税務当局は、総額に対して贈与税を課税することは通常できません。
従って、毎年連続して贈与を行う場合には、その年その年の贈与契約にもとづくものであると証明できるようにしておくことが必要となります。その点を意識して、毎年贈与を行うようにしてください。
贈与の度に「贈与契約書」を作成しよう
以上のことから、毎年贈与を行う際には、贈与する度に、贈与者と受贈者との間で「贈与契約書」を交わすようにしましょう。そうすれば、その贈与が一過性のものであることを証明できます。
贈与の都度、法的に有効な贈与契約書を作成しておけば、仮に毎年続けて「同じ日」に「同じ金額」を贈与していたとしても、数年分を合計した金額に対して贈与税が課税されることはありません。わざわざ贈与の日を変えたり、贈与の金額を変えたりする必要もありません。
贈与の事実を証明できるよう贈与する度に「贈与契約書」を作成し、正しい贈与を行なうようにしましょう。
服部 誠
税理士法人レガート 代表社員・税理士
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