死亡保険金は、「保険料負担者」「被保険者」「保険金受取人」の関係性によって、所得税、相続税、贈与税など課税される税金の種類が異なります。また、相続税が発生した場合、「死亡保険金の非課税制度」の枠を超えしまうと、多額の税金を徴収されることもあるため、契約形態には注意が必要です。そこで本記事では、相続税やその税務調査の実態に詳しい、税理士の服部誠が「死亡保険金」の仕組みを解説します。

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死亡保険金に発生する税金は、契約形態ごとに異なる

Q.死亡保険金にかかる税金について教えてください。

 

現在、将来の相続に備えて生命保険の追加加入を考えているのですが、自分にかける死亡保険金(生命保険金)にはどのような税金が発生するのでしょうか。また、どのような点を考慮して死亡保険金の加入を検討するべきでしょうか。

 

A.生命保険の契約をする前に課税される税金をチェックしましょう!

 

(1)死亡保険金にかかる税金

 

死亡保険金にかかる税金は、「被保険者」「保険料負担者」「保険金受取人」が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの対象となります。

 

①所得税が課税される場合

「保険料負担者」と「保険金受取人」が同一人の場合には、“所得税”が課税されます(一時所得または雑所得)。

 

②相続税が課税される場合

「被保険者」と「保険料負担者」が同一人の場合には、“相続税”が課税されます。

 

③贈与税が課税される場合

「被保険者」「保険料負担者」「保険金受取人」がすべて異なる場合には、“贈与税”が課税されます。

 

 

質問のケースは②に該当しますので、死亡保険金は“相続税”の対象となります。

税額に大幅な差が生じるため、今一度契約形態の確認を

(2)相続税の税額について

 

上記のとおり、被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金のうち、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。

 

ただし、「死亡保険金の非課税制度」があるため、次の算式で計算した非課税限度額を超える部分が、相続税の課税対象となることに注意しましょう(相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税制度の適用はありません)。

 

「非課税限度額=500万円×法定相続人の数」

 

(注1)法定相続人の数は、たとえ相続放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数を指します。

 

(注2)法定相続人のなかに養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。

 

たとえば、家族構成を父・母・長男・長女とし、保険契約者(保険料負担者)かつ被保険者である父が死亡した場合で考えてみましょう。もし、死亡保険金3,000万円を母(保険受取人)が受け取った場合、相続税の課税対象額は次のとおりです。

 

非課税限度額:500万円×3人(法定相続人)=1,500万円

相続税の課税対象額:3,000万円(死亡保険金)-1,500万円(非課税限度額)=1,500万円

 

(3)生命保険加入時の注意点

 

死亡保険金は、「保険料負担者」「被保険者」「保険金受取人」の関係性によって課税される税金の種類が異なります。そのなかでも、贈与税が課税される契約形態(③のケース)は避けるようにしましょう。

 

万一、贈与税が課税される契約形態になっている場合には、速やかに保険金受取人の変更を検討してください。保険会社に申請すればいつでも変更が可能です。

 

ちなみに、遺産が預貯金のみである場合、そのすべてが相続税の課税対象になります。一方で、預貯金が生命保険金に変わった場合には、一定額まで非課税となります。

 

このように、自身の相続を想定した場合の非課税限度額を確認して、その非課税枠が十分活用できるかどうかを、今一度確認しておくことをオススメします。

 

 

服部 誠

税理士法人レガート 代表社員・税理士

 

 

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本記事は、『税理士法人レガート』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。

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