「相続税の税務調査」に 選ばれる人 選ばれない人
>>1月16日(木)開催・WEBセミナー
相続発生から税務調査まで、どのような段階を経るのか
相続税の申告は、相続発生から10ヶ月以内に行わなければなりません。
申告する必要があるのは、課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合ですが、課税価格の合計額が基礎控除額を下回る場合でも小規模宅地等の特例を適用する場合には、申告が必要になります。
税務署では相続税の申告書の提出を受けて、申告漏れ等の有無を精査し、実地調査に入るか否かを検討します。
また、税務署では初めから申告書が提出されていない相続案件についても、各市区町村からの連絡によって相続発生の事実は把握しています。
このような相続案件については、各市区町村や税務署内部の資料を基に内部調査を行い、必要と認められる場合には、「相続税のお尋ね」や「相続税申告書」を送付し、その提出を促すことになります。それ以後は、申告済みのケースと同様の流れになります。
それでは、実際に相続税の税務調査に至るまでは、どのような流れになっているのかを見ていきましょう。主に、次のような段階を経ることとなります。
1:市区町村役場から税務署への通知
2:被相続人の財産の把握
3:相続人代表者への申告書(お尋ね)の送付
4:申告書の受理
5:申告に基づく資料の照会
6:申告審理
7:実地調査先の選定
1:市区町村役場から税務署への通知
各市区町村役場に死亡届が提出されると、その内容は自動的に税務署へと通知されます。相続税法第58条により、死亡届を受理した役場は、翌月の末日までにその届出書に記載された事項を管轄する税務署に通知することになっています。
これと共に、各役場では、亡くなった人の所有する不動産に係る固定資産税評価証明書等も送付するのが一般的です。これにより税務署では、すべての亡くなった人の情報と財産状況をある程度まで把握できることとなります。
2:被相続人の財産の把握
死亡通知を受け取った税務署は、役場からの情報や保有している資料をもとに、相続税の申告が必要か否か判断作業に入ります。国税庁は膨大な資料を蓄積しており、蓄積している資料の中には、亡くなった人の過去の所得税等の納税状況や、取引銀行・証券会社を特定できる情報なども含まれています。
また税務署では、被相続人が毎年の確定申告を行っていなかった場合についても、市区町村役場(所)を通して住民税等の申告状況を確認できる体制を整えています。まさに、個々人の財産に関する幅広い情報が、国税庁のコンピューター内に保存されているのです。
3:相続人代表者への申告書(お尋ね)の送付
税務署が「相続税の申告が必要」と判断した場合、申告期限の2~3ヶ月前までに、相続人代表者に対して申告書(あるいは「相続税についてのお尋ね」)が送付されます。この申告書が送られてきたということは、基礎控除額以上の財産があるであろうと推定されたこととなります。
ただし、申告書の送付がないからと言って、申告の必要がないと判断されたわけではありません。その時点において、税務署が財産状況を把握できていないだけです。
「何も送付されてこない=申告不要」というわけではないのです。
ちなみに、「相続税についてのお尋ね」には、被相続人の職業をはじめ、財産状況、相続関係者等について記入しなければなりません。
また別紙には、被相続人の略歴に関するものもあり、職歴、最終学歴、死亡原因などの記入が求められます。
4:申告書の提出
相続税の申告書は、被相続人の住所地を管轄する税務署に提出します。また申告書は、相続や遺贈、相続時精算課税に関係するすべての相続人が共同で提出するのが普通ですが、各人が別々に提出することもできます。
相続人が別々に申告書を提出する場合には、その相続に関する整合性に留意しなければなりません。とくに相続人の間でもめている案件は、税務署にとっては格好の調査対象となりますので、別々に申告する場合であっても、財産総額と相続税の総額は一致させることが重要です。
5:申告にもとづく資料の照会
申告書が提出されると、それに基づいてさらに詳しく、その相続案件について精査されます。
預貯金については、銀行等への照会により、被相続人やその家族の過去10年間程度の動きが調査されます。また、不動産については、市町村から送られてきた死亡届を被相続人の以前の住所地、本籍地等に回送することで、過去の不動産の所有状況まで把握します。
その他、証券会社や保険会社、貴金属店などにも、被相続人や家族との取引状況を確認します。これらに対する照会では、関係者の住所、氏名、生年月日など多岐に渡るキーワードで情報が照会・収集され、申告是認か要調査かの判定が行われるのです。
6:申告審理
資料の収集および整理が終わると、税務署の資産課税部門において「申告審理」が行われます。申告審理においては、案件ごとに、次のいずれかに振り分けられることとなります。
・実地調査事案
・事後処理事案
・省略・非課税事案
「実地調査事案」では、担当者がさらに精査して、実際に調査に入るか、それとも調査を省略するか、あるいは申告漏れ等が少ない場合には事後処理事案とするかが判断されます。
7:実地調査の担当は税務署か国税局
実地調査を実施すると判断された事案については、その内容・規模によって、税務署または国税局に担当が振り分けられます。
この区別は、課税遺産総額がおおむね5億円を超えていれば、国税局の資料調査課に送付されて調査が進められているようです。
また、資料が膨大で複雑なものや、他の税目と関連するような事案、外国の税制を巧みに利用して課税価格の縮小を企図しているとみられる案件についても、国税局資料調査課が担当し、特別調査・合同調査が行われることになります。
服部 誠
税理士法人レガート 代表社員・税理士
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