「来てもらえればわかる」というオーナーも多いが…
教室というものは、10人の先生がいれば10個の個性のある教室になるはずなので一つとして同じ教室はありません。それなのに、WEBサイトで見る限りは「ほぼ同じような教室」に見えてしまうケースも多々あります。
その大きな要因として挙げられるのは「特徴の見せ方」だと思っています。
「教室の特徴」=「個性」は、本来人の個性と同様に「千差万別」であるはず。ところがそれがのっぺりした平坦なものに見えてしまうのは、「表現不足」が原因です。
こんな飲食店のオーナーの話を聞いたことはありませんか?
「うちの店はどこにも負けない味を提供しているから、とにかく一度来てくれればわかるよ」。「一度来てもらえればわかる」。
これは、現代では非常にハードルが高いことです。なぜなら情報が多い時代。お客さまは簡単にたくさんのお店と比較できるからです。
「一度来てもらう」以前に、WEBサイトを見て行く行かないを決めることが多いのです。時間とお金をかけて現地に行って「がっかりだった」という体験をしたくないから「事前調査」をします。特に「口コミ」(教室でいうと生徒さんの感想です)がよく見られています。
これを念頭に置くと、「特徴」の伝え方が曖昧だとそれだけでお客さまを逃す可能性がとても高い。「人は見た目が勝負」という言葉もあるぐらい、第一印象が重要です。
「誰に何を教えたいのか」を意識した伝え方が大切
同様に教室を知ってもらう窓口としての「WEBサイト」の役割はとても重要です。
料理関連の教室集客のセミナーなどでよくお話ししているのですが、教室の特徴を教えてくださいと尋ねると、「親切・丁寧・少人数・楽しい・おいしい・材料にこだわる・体に優しい」という答えがよく返ってきます。
一度、料理教室を検索してみるとわかりますが、この言葉はどの教室でも普通に使われています。もちろん事実はそうであっても、それだけだと求める顧客層に響きません。
ですから、「来てほしい生徒さんに対するメリット」をわかりやすく伝える必要があります。
たとえば、私がもっていたパンのクラスで「低糖質パン」のコースがありました。こちらは低糖質ですから、もちろん基本ターゲットの顧客層は「糖質制限」をしている人になります。それが、「健康の面から糖質制限しなくてはならない事情で習いたい方」と「普通のパンが食べられるけれど、プチダイエットとして糖質制限を取り入れたい方」の2種の顧客層がありました。
私のパン教室の大きなコンセプトのなかに「おしゃれな成型」というものがありましたので、「低糖質パン」にもその内容を踏襲して、可能な限り「作る喜び」も体験してほしくて低糖質パンらしからぬ成型にするようにレシピを考案しました。
「低糖質」という身体的なメリットと同時に「デザイン性のあるパンを作る喜び」も提供した点が、当時なかった低糖質パン教室の特徴となったのです。
その結果、上記の2種の顧客層に支持されて全国から生徒さんが習いに来る、他にはない特徴あるレッスンとなりました。
「私の技術なんてそんなに特徴ないし」という先生の声もよく聞きますが、生きてきた経験値と性格、いわゆるバックグラウンドをきちんと見つめて掘り下げると必ずオンリーワンの特徴は導き出せます。そこに実際の技術スキルを掛け合わせて「教室の特徴」を作ります。
この作業の際に絶対に外せないのが、「誰に何を教えたいのか」ということ。
「ここしかない」「ここに行きたい!」という内容になっているのならば、成約率は上がります。教室業の面白さは画一的な物販と違って「技術」×「先生の個性」が掛け合わせになって魅力を作り出していることです。
だからこそ、その魅力を最大限に伝えるための「文章」「写真」といった見せ方は手を抜くことができません。いいレッスンであることは大前提。それを「どのように伝えるか」というスキルが結果として成約率を大きく左右するのです。
ですから、教室の魅力が最大限に伝わるように「伝え方」を意識しましょう。