不動産投資は超富裕層がやるもの…サラリーマンには無理なワケ

本記事では精神科医兼投資コンサルタント小林武文氏の著書『攻防自在の投資戦略』より一部を抜粋し、「不動産投資」について取り上げる。

借入比率を大きく下げ、都心の一等地を選ぶべきだが…

不動産投資では、金融機関からの借入比率が80〜90%のことが多く、場合によってはフルローンやオーバーローンで物件を購入している投資家も珍しくありません。

 

そして、金融機関からの借り入れの際には、固定金利よりも利率の低い変動金利で融資を組んでいる投資家が多いのですが、現在の低金利環境がいつまでも続くわけではありません。

 

現在は、世界的にも歴史的な低金利環境となっているため、今後は金利が上昇していく可能性の方が高いといえますが、そうなると金利負担が増えていってしまうことになります。

 

ただでさえ、不動産投資はかかる税金や経費の多い投資です。例えば、購入時には不動産取得税や登録免許税、印紙税といった税金に加え、仲介手数料、銀行手数料、保険料などを支払う必要があります。また、以後も毎年、固定資産税や所得税、住民税がかかってきます。

 

そこへさらに金利負担の増加となると、毎月の収支が赤字となり、自分の収入などから補填しなければならない“持ち出し”の状況になることが容易に想像できます。

 

それだけで済めばまだよいのですが、日本では既に総人口の減少が続いており、このままでは空室率が増加したり、家賃を下げざるを得なくなったりすることは間違いありません。それによって、ローンが支払えなくなり、自己破産する投資家も決して少なくないのです。

 

他にも、築年数の経過や災害によって大規模修繕の費用が必要となったり、物件が孤独死、殺人、放火などの不運な事故に巻き込まれたりしてしまうことも十分に考えられます。

 

そして、たとえ物件を手放したくなっても、不動産市場というのは流動性が低いため、なかなか売却できないことの方が多いでしょう。

 

こういった不動産投資のリスクを少しでも回避するには、借入比率を大きく下げること、地価が下がりにくい都心の一等地の物件を選ぶこと、物件を分散して保有することなどが挙げられます。

 

つまり、不動産投資は本来、普通のサラリーマンが無理してローンを組んで行うようなものではなく、超富裕層向けの投資なのです。

 

極端な例で挙げると、2013年にソフトバンクの孫正義社長が、ティファニーの銀座本店ビルを230億円で購入していましたが、こちらの方が不動産投資の本来あるべき姿に近いものだと思っていただいて差し支えないでしょう。

 

なお、不動産投資に関して、一棟買い以上に注意が必要なのが、ワンルームマンションへの投資です。

 

ワンルームマンションは、一棟買いとは対照的に新築で販売されることがほとんどですが、その場合は新築プレミアムといって買った瞬間に物件価格が1〜2割下がってしまいます。

 

一般的に、まとめ買いをすることで個別に購入するよりも割引きされることがほとんどですが、それは不動産投資においても例外ではありません。一棟買いよりもワンルームマンションの方が、相場と比較して割高で購入せざるを得ないのです。

 

ワンルームマンション購入後も、サブリース契約を結んだりしていると、購入当初から赤字収支ということがあったり、節税効果は初めのうちだけで、節税分以上に赤字が出たりすることも少なくありません。

 

また、ワンルームマンションは土地の持ち分が少ないため、資産価値がほとんど残らず、売却できたとしても二束三文です。

 

ワンルームマンションの販売業者は、インターネットやチラシなどによる宣伝広告を特に精力的に行っていますし、数多くの営業人員も抱えています。

 

そういった莫大な宣伝広告費や営業活動費に加え、業者の利益までもがワンルームマンションの販売価格に転嫁されているわけで、割高となるのも無理はありません。

 

ワンルームマンション投資は不動産投資の中でも敷居の高いものではありませんが、失敗する確率が極めて高く、絶対に手を出すべきではないのです。

高利回りも成長に乏しい「REIT(不動産投資信託)」

ワンルームマンションは手を出すべきではなく、不動産の一棟買いも超富裕層向けの投資であると書きました。

 

しかし、実はそういったもの以外に、不動産市場へと手軽に投資することができる方法があるのです。それは、不動産投資信託(REIT:Real Estate Investment Trust)というものになります。

 

このREIT(リート)というのは、投資家から集めた資金と金融機関からの借入金を使って、複数の不動産に投資し、そこから得られる賃料収入などを投資家に分配するという仕組みのファンドです。なお、J-REITにおける金融機関からの借入比率は50%前後のものが多くなっています。

 

REITは、証券会社の口座から普通の株式と同様に市場で売買することができ、実物不動産とは異なり流動性が高いといえます。

 

そして、REITの特徴は何といっても、分配利回りが高いことです。それは、利益の90%以上を投資家に分配することで、法人税を支払わなくてよいといった税制面での優遇措置が関係しています。そのため、ほとんどのREIT銘柄では利益のほぼ100%が分配されているため、利回りが高いのです。

 

REITは、米国を中心とした海外REITと、日本国内のJ-REITとに大きく分けることができます。

 

海外REITには、グローバルREITや、先進国、新興国、米国、欧州、豪州、シンガポールなどのREITがあります。

 

また、J-REITには、住居、オフィス・店舗、ホテル、商業施設、物流施設などの単一用途に特化したものや、複数の用途に投資するものがあります。J-REITでは、こうした用途の違い以外にも、銘柄によって国内の投資している地域も異なります。

 

大まかにですが、住居系は景気に左右されにくいのに対し、それ以外の用途では景気がよければ賃料や物件価格の上昇を期待できるといえます。

 

こうして見てみると、REITだけでもいくつか投資戦略を練ることができそうですし、REITはとてもよい金融商品のように思えます。

 

ただ、REITにもやはり注意点があります。

 

それは、REITの性質は、不動産というよりは株式に近いものであるということです。現物不動産と違って、市場で容易に売買できることもあり、日経平均株価など株式市場の影響を受けやすいのです。つまり、ポートフォリオにREITを加えて、株式と不動産とに分散投資をしているつもりでも、期待するほどの分散効果を得られない可能性が高いのです。

 

また、REITではその高い分配金利回りばかりが注目され、長期金利や株式の配当利回りなどと比較して利回りが高いということで、必要以上に買い進まれてしまうこともあります。

 

しかし、ここで忘れてはいけないのは、REITでは利益のほぼ100%が分配されているということです。参考までにですが、株式においては、配当性向が平均して利益の3割前後となっています。ですから、REITの分配金利回りが高いのはある意味で当然のことなのです。

 

そして、REITでは利益のほぼ全てを分配金へと回しているため、企業と違って利益を将来的な成長のための投資へと充てることができません。ですから、REITでは価格や分配金の大幅な上昇というのは、まず期待できないでしょう。

 

REITに投資する際には、少なくとも上記は意識しておく必要があるといえます。

 

 

 

小林 武文

精神科医・投資コンサルタント

 

 

精神科医・投資コンサルタント

1984年東京生まれ。駒場東邦高校卒業後、山梨大学医学部医学科に進学。大学在学中に投資の勉強を開始し、2006年末より投資を始める。運用開始から2017年末までの個人での運用成績は、平均して年間17%強であり、2017年末からは全て法人名義での運用へと切り替える。現在は医師として勤務する傍ら、資産運用のコンサルティング業務や、開業医や経営者などといった富裕層向けの資産運用業務などを手がける、エッセンシャル・アセット・マネジメント合同会社の代表を務めている。

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