年々巧妙に…高齢者の預貯金を狙った「悪質な詐欺」4パターン

かつての日本では、老いた親は子どもに扶養されて一生を終えるのが「当たり前」でしたが、現在ではむしろ高齢になった親の方が経済的にも余裕があり、自力で生活しながら子どもや孫の面倒を見るというケースが増えています。…(本文より) ※ 本記事は、2015年11月25日刊行の書籍『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

高齢者の財産が狙われている

昨今、高齢者を狙った犯罪や「争続」の話題をテレビや新聞などで頻繁に見聞きするようになりました。事実、「オレオレ詐欺」など高齢者が狙われやすい特殊詐欺犯罪は増加する一方です。特殊詐欺とは、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺等の「振り込め詐欺」に加え、平成24年から増加している金融商品等取引名目の詐欺、ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺、異性との交際あっせん名目の詐欺、それ以外の特殊詐欺の8類型を総称したものです。

 

注:振り込め詐欺以外の特殊詐欺は、平成22年2月から集計 出所:警察庁「平成27年警察白書」
[図表1]特殊詐欺の認知件数・被害総額の推移(平成22〜25年)
注:振り込め詐欺以外の特殊詐欺は、平成22年2月から集計
出所:警察庁「平成27年警察白書」

 

「平成27年警察白書」によると、平成25年の特殊詐欺全体の認知件数は1万1998件で前年比38.0%増、被害総額は489億4949万円で前年より125億1338万円、34.4%の増加となっています。また最高裁判所の司法統計では、遺産分割をめぐる民事事件の件数が右肩上がりで増えていることも明らかになっています。

 

こうした状況の背景にあるのは、高齢者が単純に増えていることと、高齢者が保有している財産が多額であることです。

 

現在の高齢者は他の年代の人たちよりも突出して預貯金の額が多いことで知られており、詐欺のターゲットになっています。下の図表2は、2015年5月に発表された総務省統計局「家計調査」から引用したもので、年齢階級別の貯蓄現在高などを示しています。

 

出所:総務省統計局「家計調査」※2人以上の世帯、平成26年
[図表2]世帯主の年齢階級別貯蓄(単位:万円)
出所:総務省統計局「家計調査」※2人以上の世帯、平成26年

 

2人以上の世帯が調査対象となっているため単身高齢者世帯は含まれていませんが、60歳以上の世帯の貯蓄現在高が、他の年齢階級と比べて突出して高いことは一目瞭然です。

財産管理に不安を抱える高齢者たち

多額の財産を狙った詐欺の手口も年々巧妙になってきており、あの手この手で高齢者からお金を騙し取ろうとする犯罪者が後を絶ちません。前述した振り込め詐欺は特に被害が多く、警察では次の4種類に分類して注意を喚起しています。

 

① オレオレ詐欺

 

電話を利用して「オレだよ、オレ!」などと息子のふりをしたり、警察官や弁護士などを装ったりして、交通事故の示談金や「仕事のミスで損害賠償を求められた」などの名目で現金を騙し取ろうとするものです。

 

かつては現金を預金口座等に振り込ませる手口が主流でしたが、金融機関が高齢者による高額な現金の振り込みに目を光らせるようになってきたため、最近では現金での受け渡しを要求することが多くなってきました。

 

② 架空請求詐欺

 

郵便やインターネットなどを利用して、架空の事実を名目とした料金を請求する詐欺です。例えば、インターネットの特定ページを閲覧したとき「ご利用ありがとうございました。ただいまのご利用額は10万円です。ここをクリックして、手続きに進んでください」などと、高額の支払いに誘導されるケースがこれに当たります。

 

そのまま放っておけばいいのですが、繰り返し同じ画面が出てきて自力で消すことができないような場合、怖くなってつい手続きに応じてしまうと相手の思うツボです。

 

一度でも言いなりになってお金を払ってしまうと、ずっと付きまとわれて身ぐるみはがされることにもなりかねません。

 

③ 融資保証金詐欺

 

実際には融資をしないにも拘らず「特別に融資します」といった内容の文書を送ってきて、融資の申し込みをした人に対し、保証金等の名目で預金口座に振り込ませる詐欺です。

 

④ 還付金等詐欺

 

税務署や社会保険事務所等の職員を名乗り、税金や保険料を還付するのに必要な手続きだと偽って、金融機関のATMまで誘導して操作をさせ、口座間送金によって現金を騙し取る詐欺です。

 

これら振り込め詐欺の被害者の多くは、65歳以上の高齢者です。図表3は同白書に掲載された「平成25年の特殊詐欺認知・検挙状況等について」です。60歳以上の女性の比率が際立って大きくなっていることが、ひと目で分かります。

 

出所:警察庁「平成25年の特殊詐欺認知・検挙状況等について」
[図表3]特殊詐欺被害者の年齢・性別構成(単位:%)
出所:警察庁「平成25年の特殊詐欺認知・検挙状況等について」

 

前述したように高齢者は比較的多額の預貯金を保有していますが、その一方で不安を抱えていることも事実です。長寿化に伴って老後の生活期間が長くなると、「もう働けないのにお金は足りるのだろうか」「少しでも生活費を増やしておきたい」などと考えたり、子どもや孫の将来が心配になったりします。詐欺をたくらむ人たちは、そのような高齢者の弱みに付け込んでくるのです。

 

私の元を訪ねて来る高齢者のなかにも、当初遺産分割の相談をしていたはずが、途中から自分たちの今後の生活の話になる人がしばしばいます。彼らは「遺産分割も心配ですが、自分たちがどうやって暮らしていくかということも不安なのです」と口にします。これが高齢者の方たちの本音なのではないでしょうか。

 

かつての日本では、老いた親は子どもに扶養されて一生を終えるのが「当たり前」でしたが、現在ではむしろ高齢になった親の方が経済的にも余裕があり、自力で生活しながら子どもや孫の面倒を見るというケースが増えています。

 

そのため、長い老後の財産管理に不安を抱える高齢者が、うまい儲け話や子どもを装った詐欺のかっこうのターゲットにされてしまっているのです。

 

 

眞鍋 淳也

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員

一般社団法人社長の終活研究会 代表理事 弁護士/公認会計士

 

→毎日読むのが楽しみ!「幻冬舎ゴールドオンライン」無料メルマガ登録はこちら​

 

 

幻冬舎ゴールドオンラインの主催・共催・協賛セミナーをいち早くお届けする、

LINE@アカウントを始めました!お友達登録はこちらからお願いします。

 

友だち追加

 

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員
一般社団法人社長の終活研究会 代表理事 弁護士
公認会計士

弁護士・公認会計士。南青山M’s法律会計事務所代表。芦屋大学経営教育学部客員教授。
1973年愛媛県生まれ。1995年一橋大学経済学部卒業。2006年成蹊大学にて法務博士号取得。1995年監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)入社、上場企業の監査、M&A等に携わる。その後、会計事務所、法律事務所勤務等を経て2009年に南青山M’s法律会計事務所を設立。個人、企業にとって身近な法律問題はもちろん、税務問題、会計問題、それらが絡み合う複雑な問題についても、冷静に問題を分析し、依頼者にとって最も利益となる問題の解決方法を提案、実践している。著書に『ドロ沼相続の出口』『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』(幻冬舎)、『今すぐ取りかかりたい 最高の終活』(青月社、共著)。

著者紹介

連載幻冬舎ゴールドオンライン人気記事ピックアップ

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

眞鍋 淳也

幻冬舎メディアコンサルティング

昨今、高齢者を狙った詐欺や「争続」が新聞やテレビなどのメディアで盛んに取り沙汰され、老後の財産管理に対する不安が高まっています。高齢になると判断能力が低下してしまい、望まないかたちで財産を失ってしまうケースは多…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧