ルール変更も頻発…「慎重さ」が不可欠なベトナム不動産投資

近年、ベトナムの不動産投資に関心を持つ日本人が増えてきました。しかし、いい加減な業者に「ハズレ物件」をつかまされる例や、購入後の法改正で契約内容が強制的に変更される例など、大きな損失を被ってしまうケースが増えています。また、ここ最近は都市部の開発事業に行政機関の調査が入るなど、法的な締め付けもかなり厳しくなっています。今回は、ベトナム不動産の購入を考えている人に向け、今後どのような注意が必要かを解説します。

「ハズレ物件」をつかまされる日本人が急増中

筆者はベトナムのなかでも、南部ホーチミンを中心に不動産事業を手掛けています。さらにつけ加えるなら、ホーチミンでも限定した地域の物件案内を行っています。ニッチな場所ですが、現地で事業を行っていくなかで会社の規模を考えると、ほかの地域まで調査し、責任を持って勧められる物件を探すのは難しく、自然とこの形になっているのです。

 

現在当方で取り扱っている物件は、METRO1号線駅沿線です。ご存じない方に少しだけ説明しましょう。ホーチミン市では、6路線8区画のMETRO(都市鉄道)設置の交通インフラ計画があります。そのなかで進んでいるのがMETRO1号線です。これは日本のODA事業として行われており、計画よりだいぶ遅れていますが、2021年開業を目指し、工事を進めています。これと並行して2号線、3号線も順に開通する予定です。

 

筆者は現在まで、始発から3駅目のGolden Riverと、4駅目、5駅目の間にあるCentral Park、7駅目のMasteri Thao Dien、An Phuと限られたなかにある物件の販売仲介、賃貸仲介、管理を行っています。

 

METRO1号線の開通はまだですが、扱ってきた物件はインカム、キャピタルとも順調に伸びています。キャピタルに関しては、2015年7月の外国人販売解禁時の売り出し価格から2倍近くに跳ね上がっている物件も数多くあります。賃貸客付に関しても、人気のエリアとして認知され安定した集客を続けています。

 

以上を踏まえたうえで、ホーチミンに特化していうならば、ホーチミン市内の物件がすべて当たりではない、ということです。とくに最近は当たり外れの差が大きく、「ハズレ物件」をつかまされる日本人が多くいることを筆者は危惧しています。筆者も同業なので、ほかの事業者のことはいいにくいのですが、現地の事情を理解していない、もしくは売りつけることだけを考えている業者が、頻繁に不動産セミナーで勧誘を行っています。

 

誤解のないように付け加えますが、すべての事業者が悪いというわけではありません。大多数は、正しい情報を開示しながらリスクもしっかりと説明しています。しかし、一部の業者においては、過大な期待をあおり、根拠のない話を広げて販売する者も少なからず存在するということです。購入を検討されている方は現地をしっかり視察し、複数の業者、もしくは現地在住者に実際の状況を聞いたり、ベトナムの国としてのリスクや法律を最低限理解したりしておかないと、ベトナムでの不動産投資は失敗する可能性が高くなるのです。

売り出されている物件の契約書に「追加・変更」が発生

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。現在、ホーチミン市中心部や周辺地区の開発事業に関して、行政機関より事業調査が入っています。

 

調査の対象は、すでに売り出した開発物件や、売り出し開始前の物件などです。それらの開発物件の許可や認証が適切に行われているか、法律に則って違法な売り出しをしていないか等々、いままで比較的緩かったものが厳密に調査されています。

 

これにより、売り出されている物件の契約書の追加、変更等が起こっており、2017年1月に掲載した連載第3回の記事『住宅法改正から1年半・・・外国人が買えるベトナム不動産の条件』中の「⑤外国人に投資開放していない地域」についても調査を行っています。

 

この条件に引っかかった場合は、販売契約済であっても強制的にサブリース契約に変更されます。リース期間として50年制限が設けられ、所有者(デベロッパー)の承認なしには賃貸、転売はできない法律となっています。にわかに契約が変更され、追加資料のなかにこの文言が記載されている事例も出てきています。この場合、いわれるがままにサインをせず、デベロッパーにしっかりと内容を説明させ、最低限の保証と権利を確保してからサインすることが必要です。

 

ほかにも、販売物件の延期があります。特に2区の開発地域や9区の大型開発に関しても厳密な調査が行われています。こちらの連載でも何度か取り上げている9区の大型開発物件も、何度となく売り出し開始の話がありましたが、実際にはいつ売り出しになるかわからない状況です。

 

この大型開発も日本で大々的にセミナーを行い、購入予約を行っています。この場合、注意しなければいけないのは、信用できる販売会社をどう見定めるかです。開催者は販売代理店であり、デベロッパーとはまったく関係ありません。筆者は以前、立ち上げた合弁会社のベトナム人パートナーにお客様から預かった購入予約金を不正流用され、決裂しました。2年がかりで全員分を回収しましたが、非常に苦労しました。現在も社名を変えて大型開発の販売代理店としてセミナーを行い、多くの予約金を集めているようですが、同じ過ちを起こさないように祈るばかりです。

 

今回は事業調査について少しネガティブに書きましたが、ベトナムは社会主義の国なので、政府の指導によるさまざまな条件変更や規制などの見直しが頻繁に行われます。これまでも、2008年のリーマンショック前は、不動産の高騰を抑制するための不動産・金融政策、2011年には、インフレ制御のための金融政策等が実施されてきました。今回も、中心地及び周辺のコンドミニアムや住宅地など、一般庶民も巻き込んだ2017年頃からの不動産市場の高騰の鎮静化が図られているように筆者は思います。

 

大切なのは、いかなるときにも慌てず、アップデートしながら問題を解決していくことです。とくにベトナムでは、この対応ができないと事業を継続することができません。投資家の皆さんも、投資する国の事情を踏まえ、リスクヘッジを行いながら利益を上げていくことが必要です。ベトナムは、今後ますます発展が期待できる魅力的な国ですが、進む方向を一歩間違えれば、落とし穴だらけの方向へと向かうことになるのです。

 

VINA COMPASS Co., Ltd. General Director

沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。現地企業やベトナム政府事業の実績を活かし、越人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサル支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店としてCentral Parkプロジェクトの販売を手掛けた。2018年、SHINY社、合弁解消後、新たに独資でVINA COMPASS社を設立。不動産販売仲介、賃貸仲介、管理運営、内装工事、進出支援コンサル業を手掛ける。特に進出時の事業許可、会社設立時のリスクヘッジ関連を得意としている。

VINA COMPASS社ウェブサイト:http://www.vinacompass.com/

著者紹介

連載ASEAN諸国で最も熱いベトナム――現地から探る不動産投資と事業の可能性

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