法律違反をすると厳しい処罰も…ベトナム不動産投資の留意点

近年では、日本人にもベトナム不動産投資に関心を持つ人が増えてきました。しかし、現地の法律をよく調べずに安易な投資を行い、痛い目に遭う人も少なくありません。今回は、日本人の購入者から寄せられた相談事例をもとに、ベトナムの不動産投資において必ず留意すべき点を見ていきます。

外国人が購入できない物件に手付金を払ってしまい…

近年、ベトナムにも多くの日本人が足を運ぶようになりました。観光はもちろんですが、不動産への投資に関心を寄せる人も、目に見えて増加しつつあります。


不動産業界に身を置く筆者は仕事柄、日本企業(日本人)からベトナムへの事業進出や、法律関連、税務関連、人事関連、現地トラブル等々、さまざまな相談を受けています。とくに多いのは法律関係です。日本ではしっかりと法律を理解し、順守している人が、海外では知らず知らずのうちに法律違反をしているケースというのは、じつは少なくありません。

 

状況をくわしく聞いてみると、人から聞いた話を鵜呑みにしていたり、裏付けを取らない情報を根拠に判断・行動していたりする企業や日本人が多く、驚かされます。もちろん、不動産に関しても例外ではありません。

 

今回は、最近よく相談を寄せられる、不動産購入時のトラブル等を見ていきましょう。

 

 事例1  外国人(外国企業)が買えない物件なのに、手付金を支払ってしまう

創業時から勤務しているベトナム人マネージャーより、事務所として中古の一軒家購入(土地使用権含む)を勧められ、手付金を支払った。その後、外国人(外国企業)が購入できない物件であることが判明。手付金の払い戻しを要求したが難航中。(契約書購入条件内容により)ベトナム人マネージャーからの提案で、彼の名義で購入後、サブリースで会社事務所として使用しないかと言われている。

 

当方の見解としては、そもそも法律上、中古住宅には外国人(外国企業)の購入制限があり、やすやすと購入することはできません。

 

サブリースでの提案もありますが、できなくはないもののハードルは高く、外国人にはグレーゾーンです。したがって、法的処置を踏まえ慎重に対応すべき問題であり、今後のリスク(他人であるベトナム人名義)を考えると、お勧めできるものではありません。

 

この事例はサブリースではなく、単に会社のお金でベトナム人名義の一軒家を購入してそこを賃貸で借りる、通常の賃貸借契約であり、わざわざサブリースを結ぶものではありません。単純にベトナム人マネージャーに金銭貸借後、購入させて使用する形でとなります。

 

問題は、名義がベトナム人マネージャーになっている点で、悪意を持って時間を掛けながら準備されれば、一軒家を取られてしまう可能性は高く、取られてから訴えたところで、うまくいっても民事事件どまりで、仮に外国人が民事で勝訴したとしても、資金を回収できるかはわかりません。よって、この一軒家は残念ながら、ベトナム人マネージャーの所有となる確率が高いでしょう。

 

さらに、物件に関しても明らかに相場より高い価格であり、改めて契約を白紙にし、手付金を取り戻すことをお勧めします。うがった見方をすれば、このマネージャーは売主と組んでいると疑われても仕方のない状況です。

 

現在は、ネット上でもベトナムでの不動産購入に関しての法的事項が日本語で掲載されており、以前よりは圧倒的に情報が取れる時代になりましたが、相談者の社長いわく、「長年会社に貢献してきたので、全面的に信じて任せていた」とのことで、サブリースのリスク説明に関しても、このマネージャーに限っては大丈夫だと言い張っている時点で、リスク回避にはなっていません。信じて任せた以上はどのような結果が出ても、任せた人の責任なのです。

外国人の法律違反には、厳しい処罰が待っている!

 事例2  サブリースで権利購入後、外国人の購入は法的にグレーと判明

すでにデベロッパーの販売枠がない人気の物件をサブリースで権利購入。外国人販売枠がない物件をデベロッパーのサブリースで仮契約したが、その後不安になり、このままサブリース契約を進めてよいものか考えている。

 

最近、同じような相談が多くあります。サブリース仮契約書を確認したところ、デベロッパーとの直接契約ではなく、販売代理店(1次)所有の物件をサブリース契約で行う内容でした。そもそも法律上では外国人が個人でサブリース事業を行うことは認められておらず、ベトナム国内法人を立ち上げる必要があり、その際は最低資本金200億ドン(約1億円)が必要になります。これはベトナム人も同様です。しかし、現状はベトナム人個人でサブリース事業を行っている人が多く、実質的に黙認されている状態です。だからといって外国人個人がサブリース事業を行ってもいいのかというと何の保証もなく、逆に法的なリスクしかありません。

 

私が今まで培ってきた経験のなかで思うのは、この国では法律を理解している人が少なく、「周りがやっているので大丈夫」といった程度の認識の人が、とても多いということです。その乗りで、会社のスタッフや取引先、販売店などに適当なことを言う人も多く、ネット上でもフェイク記事があふれ、何が正解なのかわからないといった事態に陥りがちです。

 

また、ベトナムでは多少の法律違反は何とかなるだろうと考える外国人が多いことにも驚きます。自国ではしっかりコンプライアンスを守っているのに、海外に来た途端豹変するなど、いろいろな人がいます。

 

ぜひ理解しておいてもらいたいのは、外国人が法律違反をすれば、国外退去、事業・資金の没収、さらには留置、拘留といった、厳しい処置があるということです。

 

※本相談内容に関しては、相談者の同意を取り掲載しております。法的内容も当方が信頼し得ると判断した各種の情報源から入手した情報等に基づいていますが、その正確性・真実性について当方が保証するものではありません。

 

VINA COMPASS Co., Ltd. General Director

沖縄県宮古島生まれ。久留米工業大学を卒業後、トヨタグループ系列の株式会社アイチコーポレーション入社。特殊車両メーカーの営業部門で16年勤務。
2004年、商談で訪れたベトナムホーチミンに魅了され、独立起業、単身にて渡越。 2006年、取引先の製薬会社と合弁で排水処理会社を設立。
国営事業であるホーチミン市病院排水処理事業の入札業者として認証を受け、在籍中235ヶ所の病院排水処理を手掛ける。2012年、合弁会社の株を売却。新たに浄排水処理会社としてSHINY VIETNAM社、不動産・建築会社としてSHINY REAL社を設立。現地企業やベトナム政府事業の実績を活かし、越人コミュニティに入り、浄排水処理事業を手掛ける傍ら、日系大手への環境コンサル支援や、現地最大手の不動産デベロッパー、VINHOMESの日系唯一の販売代理店としてCentral Parkプロジェクトの販売を手掛けた。2018年、SHINY社、合弁解消後、新たに独資でVINA COMPASS社を設立。不動産販売仲介、賃貸仲介、管理運営、内装工事、進出支援コンサル業を手掛ける。特に進出時の事業許可、会社設立時のリスクヘッジ関連を得意としている。

VINA COMPASS社ウェブサイト:http://www.vinacompass.com/

著者紹介

連載ASEAN諸国で最も熱いベトナム――現地から探る不動産投資と事業の可能性

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