「株主名簿の作成」は株式会社の必須事項
不動産投資をしている会社員で資産管理会社をつくったという方に質問です。「株式名簿」はつくりましたか? 株主が自分一人だけという場合、「株式名簿」は必要ないと思っているケースが多く見受けられますが、株主名簿の作成は、株式会社に義務づけられている事柄です。
株主名簿は、株式会社が作成しなければならない帳簿で、株主や債権者から閲覧請求があったら応じられるよう、会社の本店に備え置く必要があります。つまり、株主が一人でも作成しなければいけないのです。
■株主名簿を作るメリット
わざわざ株主名簿を作成するのを手間に思う方も多いでしょう。しかし株主名簿を作成しておくと、以下のようなメリットがあります。
(1)登記変更のときにラク
会社の登記を変更しようとして、法務局に株主総会議事録を提出するときに、株主リストを求められます。株主リストは、株主名簿があればすぐに作成できます。
(2)会社に出資したい人が現れたときに必要
会社に出資したい人が現れた場合、株主名簿の開示を求められるでしょう。事前に作っておけば速やかに応じることができます。
(3)トラブルから守られる
株主をしっかり把握しておくことで、紛争の予防につながります。たとえば、株主を把握せずに長期間ほったらかしにしていて、ある日突然、知らない人物から「株主の○○が亡くなり、相続で私が株主になりました。取引きを見直してください」などといわれたら困ることになるでしょう。
株主名簿は「作成」も「管理」も簡単
■株主名簿への記載する4つの項目
では、株主名簿に何を記載すればいいのでしょうか? 株主名簿に記載する4つの項目を見ていきます。
(1)株主の氏名・名称及び住所
株主の氏名及び住所を記載します。
(2)株式の種類及び数
特に定款で定めていなければ、発行している株式は1種類だと思われますので、数を間違いなく記しましょう。
(3)株式の取得日
株式を取得した日の年月日を記載します。
(4)株券を発行している場合にはその株券の番号
作成した株券に書いた番号を、間違いなく株主名簿に控えましょう。その他、質権の登録、信託財産の表示、振替株式についても記載するよう会社法で定められています。しかし一人会社の場合、株式をそのような状態にしていることは少ないので、ここでの説明は省略します。興味があれば、下記見本を参考にしてみてください。
■株主名簿の管理法
株主名簿は、記載事項を記載していれば、任意の書式で管理して構いません。紙で持っていたり、ノートに書くのもいいですが、エクセルやワードなどのデータで持つことおすすめします。なお、株主の住所が変わったときや、株式を譲渡などしたときは、株主名簿を変更します。株主名簿を変更すべき事由が発生しなくとも、一年に一度、事業年度末を過ぎたら、定時株主総会の準備として、株主名簿を見返すのがいいでしょう。
■株主名簿を作成しなかったら?
一人会社の場合、株主名簿の作成は忘れがちです。では、作成をしなかったらどうなるのでしょうか? 会社法上、株主名簿を作成しなかった場合、代表取締役は「過料」、ようは金銭でのペナルティに処される規定があります。たかが知れてる金額かもしれないですが、作成しておくことでメリットもあるので、面倒くさがらずに会社を設立する際に作成しておきましょう。
まとめ
株主名簿に記載する事項は限られており、作成も簡単です。もしもまだ株主名簿を作成していないという場合には、今すぐ作成しましょう。