人気再燃の「毎月分配型」投信…それでも高リスクと言えるワケ

2019年1月の国内公募投信の月間資金純増額のランキングより、毎月分配型投信に人気復活の兆しがあると日本経済新聞電子版(2019年3月19日)が報じた。毎月分配金を受け取れるこの種の商品は、リスクが高く長期投資には向かないと人気が低下していたが、安定した運用実績が評価されたとの見立てである。そこで本記事では精神科医兼投資コンサルタント小林武文氏の著書『攻防自在の投資戦略』より一部を抜粋し、毎月分配型投信やアクティブファンドのリスクについて、改めて取りあげる。

手数料を稼ぎたい金融機関が次々と商品を開発するワケ

投資家の心理的なワナにつけ込んで自らの利益を追求する、金融機関のワナについて見ていきたいと思います。さて、投資をするに当たって一番危険な考え方があるとしたら、どんなものだと思われるでしょうか。

 

色々な考え方があるでしょうが、私は「専門家やプロに任せておけば安心」というのが、一番危険な考え方ではないかと考えています。「有名な証券会社、銀行だから安心」といったものも同様です。

 

これから投資や資産運用を始めようと思った時、まずは金融機関や専門家に相談してみようという人は少なくないかと思います。しかし、それだけは絶対にするべきではない、というのが私の考えです。 金融機関は顧客のことなど全く考えていないに等しいからです。

 

それは、金融機関の窓口で資産運用の相談をした際に勧められる商品を見れば明らかです。つまり、手数料の高い金融商品(主に投資信託や保険)ばかりを勧めている場合がほとんどなのです。「手数料が高い」というのは、もちろん金融機関にとって利幅が大きく旨みのある商品ということで、そういったものばかりを積極的に勧めてくるのです。

 

なお、投資信託とは、投資家から集めたお金を、運用の専門家(とされる人)が株式や債券などに投資・運用する商品のことです。「(とされる人)」と書いたのは、日本では投資信託の運用に当たるのが、真の運用のプロというわけではなく、金融機関に雇われているサラリーマンに過ぎないためです。

 

そして、金融機関は、自分たちが儲かる手数料の高い投資信託を勧めるだけにとどまりません。次々と新商品を開発するなどして売り出し、数年おきに顧客に投資信託を乗換えさせて、手数料を稼いでいるのです。

毎月分配型という商品設計は「買い手にとって不利」

金融機関が積極的に販売しており、売れ筋の投信ランキングの中でも目立っていたのが、「毎月分配型」といわれるタイプの投資信託です。毎月分配型の投資信託は、その名の通り分配金が毎月支払われるため、年金代わりになるという謳(うた)い文句で、年配の方を中心に人気を博していました。

 

しかし、この毎月分配型という商品設計は実は買い手にとっては不利なものであり、本来であれば、一般的な投資信託以上に勧められるべきものではありません。

 

毎月のように分配金が支払われると聞くと、毎月コンスタントに利益を出していて、 そこから分配金が支払われていると思われる方が多いでしょう。ただ、どんな投資でもそうですが、毎月のように安定して利益を出し続けることは至難の業です。もちろん、投資信託においても、それは例外ではありません。

 

では、どのように分配金を出し続けているのかというと、利益だけから支払えない場合には、元本を取り崩して支払っているのです。利益から支払われる分配金のことを「普通分配金」というのに対し、元本を取り崩して支払われる分配金のことは、以前「特別分配金」といわれていました。

 

さすがに現在では「特別分配金」ではなく、「元本払戻金(特別分配金)」との表記に変更されましたが、「特別分配金」では投資家はまさか分配金が元本を取り崩して支払われたものだとは思わないでしょう。

 

こういったところにも、金融機関の投資家に対する営業姿勢がよく表れていると感じるのは筆者だけではないはずです。実際に、金融業界を監督する金融庁も、毎月分配型の投資信託については「顧客本位の商品ではない」と厳しく批判していました。

 

そもそも、銀行や郵便局では以前、投資信託は販売されていませんでした。金融業界の規制緩和により、1998年に銀行で、2005年に郵便局で投資信託の販売が解禁されたのです。これはつまり、銀行や郵便局が、楽に儲かる“おいしい” 商売に手を染めるようになったということにほかなりません。

 

さらに、毎月の分配金が高いほど人気も出るため、高い分配金を支払えるような設計の投資信託が開発されるという経緯もありました。具体的には、投資対象を金利の高い新興国通貨建てのものにしたり、オプションという戦略を組み合わせたりするのです。確かに、それにより高い分配金を支払うことが可能にはなりますが、それは同時に値下がりリスクが高まることにもつながります。

 

そうした説明は一切しないまま、目先の高い分配金をエサにして、非常にリスクの高い商品を金融機関が販売するようになっていったのです。

 

ただ、そういった金融商品の開発者(運用会社)や販売者(金融機関)だけが悪いというつもりはありません。彼らは売れるから、そういった商品を作るという面もあるのです。何も考えずに、ただ目先の高い分配金に目がくらんで、自分が非常にリスクの高い商品を購入しているということを全く理解していない投資家にも責任があるといえます。

アクティブ・ファンドは看板倒れのゴミ商品

投資信託は、その運用方法の違いから、「パッシブ・ファンド」と「アクティブ・ファンド」の二つに分類されます。

 

パッシブは「受動的な」という意味ですが、パッシブ・ファンドは基本的に日経平均株価などのインデックス(指数)に連動するように設計されたもので、インデックス・ファンドとも呼ばれます。

 

これに対し、アクティブは「積極的な」という意味で、アクティブ・ファンドは何らかのインデックスを比較の基準(ベンチマーク)として、インデックスを上回る運用成果を目指すものになります。

 

つまり、パッシブ・ファンドでは市場全体の平均的な収益を目指すのに対し、アクティブ・ファンドは市場の平均を上回る収益を目指すのです。

 

これだけ聞くと、アクティブ・ファンドを選んだ方がよいのではないかと思われるかもしれませんが、これについては世界中で数多くの研究があります。それらの研究によると、10年間で6~8割のアクティブ・ファンドはベンチマークを下回ってしまうという結果が出ているのです。

 

この理由として、アクティブ・ファンドでは運用にかかる手数料が高かったり、活発な売買によって売買手数料や税金がより多くかかってしまったりすることが挙げられています。アクティブ・ファンドでは、ベンチマークを上回る運用成果を目指すために、市場や銘柄などに関する様々な調査を行うため、その分だけ運用にかかる手数料がパッシブ・ファンドよりも高く設定されているのです。

 

一方、先の研究結果からは、残り2~4割のアクティブ・ファンドはベンチマーク以上の収益を上げているといえます。では、そういった優れたアクティブ・ファンドを見つけ出すことはできないのでしょうか。過去によい成績を上げているアクティブ・ファンドを選べば、将来にわたってもよい成績を上げ続けることができるのではないかと考えられるからです。

 

しかし、結論からいうと、話はそう単純ではありません。アクティブ・ファンドにおいて、過去の好成績は、その後の好成績を何ら保証するものではないということが示されているためです。むしろ、過去に好成績を上げたファンドは、その後低迷してしまうといった傾向まで認められています。

 

こういったことを踏まえると、優れたアクティブ・ファンドを見つけ出そうとするのは、労多くして益少なしといえます。

 

なお、ファンドに関連して、次のような報告もあります。それは、仮にファンドが好成績を上げていたとしても、そのファンドを購入している平均的な投資家は損失を出してしまっているというものです。

 

信じられないかもしれませんが理由は単純で、ファンドが好成績を上げて高くなった時に購入し、ファンドの成績が落ちて安くなった時に解約してしまうという投資家が多いためです。つまり、「安く買って、高く売る」という投資の鉄則と正反対の行動をしてしまっている投資家が多いのです。

 

 

小林 武文

精神科医・投資コンサルタント

 

精神科医・投資コンサルタント

1984年東京生まれ。駒場東邦高校卒業後、山梨大学医学部医学科に進学。大学在学中に投資の勉強を開始し、2006年末より投資を始める。運用開始から2017年末までの個人での運用成績は、平均して年間17%強であり、2017年末からは全て法人名義での運用へと切り替える。現在は医師として勤務する傍ら、資産運用のコンサルティング業務や、開業医や経営者などといった富裕層向けの資産運用業務などを手がける、エッセンシャル・アセット・マネジメント合同会社の代表を務めている。

著者紹介

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小林 武文

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